レゴ®︎シリアスプレイ®︎が「学習する組織」をつくる理由
ピーター・センゲという研究者が書いた『学習する組織(英題:The Fifth Discipline)』という本がある。より複雑で動的になっている世界の中で生き残っていく組織がもつべきディシプリンを明らかにした本書は、世界中で読まれている。
学習する組織のメンバーが理解し、実践に活かすべき、5つのディシプリン(教義)は以下の通りである。
・自己マスタリー
・メンタル・モデル
・共有ビジョン
・チーム学習
・システム思考
この5つの教義をメンバーが身につけることが、学習する組織を作り上げていくのだが、これを見ていれば見ているほど、レゴ®︎シリアスプレイ®︎メソッドとの親和性が高いと感じる。
まず「自己マスタリー」である。これは、彼の表現を借りれば「独創的な仕事として自分の人生に取り組み、受身的な視点ではなく、創造的な視点で生きるということ」である。※ピーター・M・センゲ. 学習する組織 システム思考で未来を創造する (Japanese Edition) (Kindle の位置No.2904-2905). Kindle 版.
そのためには「自分にとって大事なことを意識する」「現実をよりよく見る方法を学び続ける」ことが必要だとセンゲはいう。これは、過去に、レゴ®︎シリアスプレイ®︎メソッドの特性として、以下のノートで書いたことに付合する。
次に「メンタル・モデル」であるが、正確には「メンタル・モデルの管理技術」といえる。すなわち、自分自身が「信じているものを見ている」と自覚することであり、それを必要に応じて更新する能力である。レゴ®︎シリアスプレイ®︎は、例えば、以下のような方法でその能力を開発できる(他にもある)。
「共有ビジョン」を見出すことはまさにレゴ®︎シリアスプレイ®︎メソッドの基本応用テクニックの1つに位置付けられている手法だ。
ブロックで、それぞれの望ましい将来についての考えが可視化されているので、それらをどう組み合わせて関係づけ、一つのまとまったモデルへと持っていくことができる。これは実際に体験してもらいたいのだが今回は、写真で。
レゴ®︎シリアスプレイ®︎の毎回のワークで共有されたモデルができあがることも重要だが、これを繰り返し体験していくことで「対話し、お互いの考えを活かしてに一つにまとめる」という感覚を掴むことができる。
「チーム学習」もまた、レゴ®︎シリアスプレイ®︎メソッドの根底に流れている考え方である。チーム学習にはお互いを尊重し、差異を良いものとして認め、新しい考え方を探求する精神とスキルが必要である。その育て方(特に日本において)は以下の記事にまとめている。
残り一つ。最も大事なものが英題にもなっている第5の教義「システム思考」である。
この「システム思考」は、レゴ®︎シリアスプレイ®︎メソッドの中核的な思想と全く一致する。なぜなら、作るモデルは基本的に「システム」であるので、プレイの中でシステムということを学ばせるメソッドであるともいえるからだ。以下の記事にまとめてある。
『学習する組織』では、システム思考を学ぶために、マサチューセッツ工科大学で発展したシステム・ダイナミクス(因果ループ)の考え方と表現を採用しているが、レゴ®︎シリアスプレイ®︎でも同じような表現を追求することができる。例えば、以下の写真のようになシステムを皆で作って考えていく。
このように、『学習する組織』を作ることと、レゴ®︎シリアスプレイ®︎メソッドを使って何かのテーマを考えていくことはとても相性が良い。
最初はブロック表現のやり方、対話の仕方に戸惑うかもしれないが、手順やポイントを押さえて進めていけば必ずできるし、そのワークに参加したチームは、学習する組織へと、間違いなく近づいていくのである。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?