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『ティール組織』をレゴシリアスプレイメソッドの文脈で読む(3)第1部第2章 発達段階

 このNoteのシリーズでは、『ティール組織』を読んでレゴシリアスプレイメソッドとの関連を考察していく。

 第2章では、第1章で紹介したいくつかのパラダイム(組織モデル)の存在を前提に、あるパラダイムから別のパラダイムへの移行について議論する。

 なお、前章では以下のようなパラダイムが存在すると指摘された。

(A)受動的パラダイム(無色)
(B)神秘的パラダイム(マゼンタ)
(C)衝動型パラダイム(レッド)
(D)順応型パラダイム(アンバー)
(E)達成型パラダイム(オレンジ)
(F)多元型パラダイム(グリーン)
(G)進化型パラダイム(ティール)
※第1章では解説なし

 これらの各パラダイムの特徴については、このシリーズの前回のNoteを見てもらうとして、これらパラダイムの相互の関係はどうなっているといえるだろうか。

 パラダイム間の相互関係については、この章のタイトルに「発達段階」という言葉がついているように、段階によって相互が関係づけられている。(A)受動的パラダイムが一番原初的な段階で、(G)進化型パラダイムが最も高い発達レベルにあるものとして位置付けられている。

 そして、「どの段階のパラダイムも前の段階のパラダイムを内包し、それを超えている」という。これは、より高い段階のパラダイムに達している人や組織は、時と場合によって前の段階のパラダイムに沿って行動することができるということである。また、そのことはより高い段階のパラダイムの人はより前の段階のパラダイムの人の思考を理解できるということである(その逆は難しい)。

 ただし、同じ段階のパラダイムでも、それが存在する世界や環境によっては、同じ問題に対して違う答えを出す可能性がある。例えば、公立学校と宗教団体は両方とも「順応型パラダイム」に属するが、この世界がどのようにして生まれたかについては異なる答えを持っているし、困ったら誰の声を聞くべきかについても異なる答えをもっている。
 私たちは同じパラダイムに属する組織や個人に共通の行動上の特徴を見出すけれども、同じパラダイムの組織が激しく対立する可能性は十分にあるということである。

 もうひとつは、パラダイム間の移行である。高いパラダイムから低いパラダイムへは比較的、移行して行動を変化させやすい。逆に低いパラダイムから高いパラダイムへは、パラダイムを乗り越えていくるための努力がいる。

 個人レベルで乗り越えていくには、安心して心理的葛藤に向かいあい解決を探求する環境、できればすでに次のパラダイムに到達している人たちが共にいる環境が望ましいという。

 一方、組織レベルで乗り越えていくときには、鍵を握るのは組織のリーダーであるという。組織のリーダーがどのような考え方を好み、それにしたがってどのような仕組みを導入するかで、組織があるパラダイムに留まったり、前進したり、後退していくかが決まる。組織のリーダーも個人なので、リーダーがどのパラダイムに立脚して思考しているかによって取り組みは変わってくる。
 ただし、個人は色々な場面で異なるパラダイムに立脚している可能性があることに注意しておきたい。例えば、勤め先では達成型で考え行動するが、趣味のコミュニティでは多元型で考え、家庭では衝動型で行動することも十分に起こりうるのである。総じて考えれば、その組織のリーダーがより高い段階のパラダイムに到達していれば、その組織が高い段階へと引っ張り上げられる可能性は高くなるということである。

レゴシリアスプレイメソッドとの関連

 レゴシリアスプレイメソッドは基本的に多元的パラダイムに基づいたメソッドである(進化型であるかどうかは第2章の段階では断言できない)ため、組織のリーダーの視点を多元的パラダイムへと引き上げるために、ワークショップを体験させていくのは考えられる一つの方法である。この場合には、題材はそこまで重要ではなく、さまざまな問いを通じて異なる考え方があることや、その異なる考え方をどうやって一つの結論へと昇華させていくのかを体感してもらうことが狙いとなる。

 レゴシリアスプレイメソッドは「安心して心理的葛藤に向かいあい解決を探求する環境」作りにも向いている。モデルを作ってテーブルに置くことによって人格と意見を切り離して考えることがしやすくなるからである。個人が心理的な葛藤をモデルを通じて、どういう考え方が葛藤から解放されるために必要なのかをゆっくりと探るということである。これはオットー・シャーマーのU理論のプロセスとも通じるかもしれない。
 レゴシリアスプレイメソッドとU理論との関係は以下のマガジンで検討している。すでにU理論をレゴシリアスプレイメソッドで進めるためのプログラムも開発しており、それを使ってパラダイムをより高い段階へと引き上げるというアプローチもよさそうだ。


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