組織進化論とレゴシリアスプレイメソッドとの接点(3)組織の規模について
ハワード・オルドリッチの『組織進化論』を少しずつ読みながら、考えたことを書き下ろしていく。今回も序論で取り上げられている話題について。
それは、組織の規模のばらつきについてである。オルドリッチが組織の規模についてのデータを概観してみると、対数グラフに近い分布になるということである。
小規模の企業や団体が多く、1990年のデータではあるがアメリカでデータで確認できる、ほぼ9割の組織が20人以下である。100人以下となると98%となる。EUでも状況はあまり変わらない。
では、労働者の雇用比率となるとどうなるだろうか。アメリカでは産業によってややばらつきがあるものの、全体では6割の従業員が100人以上の組織に雇用されている。EUでは5割弱ぐらいの人々が100人以上の組織に参加している。
また、資産という観点からいうと、大企業への偏りが従業員の雇用比率以上に激しい。1994年の段階で0.002%の株式会社が、全株式会社の8割以上の資産を占めている。
このような状況のなかで、多くの組織研究、企業研究が大企業に目を向けてきた。資産や従業員雇用比率という点で考えると、少数の大企業の動向は社会的・経済的に大きなインパクトをもつ。
一方で、組織の実態やその性質を考察するという点では、小規模組織が多くを占めているのであり、小規模組織の研究をもっと深めていくことには大きな価値があるにもかかわらず、研究が多くないことをオルドリッチは指摘し、その側面を解明できるものとして、進化論アプローチの重要性を示している。
さて、レゴシリアスプレイメソッドにおける、実施先の組織の規模の問題を考えてみる。
ワークショップを実施するにはしばしばコストがかかるため、そのコストを負担できる組織規模は100人以上の会社が多い。
その一方で、ワークショップのオーダーとしては一部部署での、チームビルディングやキャリア研修など個人に影響を与えるというものが多く、会社全体の方針や方向性を決めるためのワークショップのオーダーはとても少ない。
要するに、大きい組織でも小さい組織でも、組織全体を対象にして、組織にインパクトをもたらすようなワークショップが実施されることが、まだまだ少ない。
大きい組織で一部の人に行っても組織内の他の要因でその効果が吸収されてしまうことは、レゴシリアスプレイメソッドの知見を蓄積していく上での課題であると感じている。
大きな組織では難しいだろうから、小さな組織で全体に影響を与え、支援できる機会を積極的にみつけてメソッドの発展に貢献していきたい。