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プロチチ #漫画
逢坂みえこさんの漫画をいくつか読ませて貰ってます。
最初に読んだのは #プロチチ で、自閉傾向のある夫が専業主夫で、ほんわかなのにバリキャリ編集者の奥さんと、生まれたばかりの赤ちゃん太郎ちゃんとの日々の話し。
高学歴だがコミュニケーションに問題があり、どの職場も長続きしない。
そこで妻の出産に合わせて夫が休職する事に。
乳児の太郎と発達障害のパパ直ちゃんの生活はどうなる??という感じで始まるが、絵柄が可愛く深刻な空気にならずに進んでいきます。
特に赤ちゃんの描写がすごい。
赤ちゃんのミルクを飲む音、じゅご〜〜!!って描いた人初めて見たんですが、ほんとにああいう音する!
よく、んくんく…とかちゅぱ…とか可愛く描かれるんだけど、少なくともうちの子達はミルクも母乳もほんとじゅごーーー!って音でした。
子供の一般的な可愛い認識だけでなく、本物のエグい所もちゃんと描かれていて素晴らしいです
でもテーマはヘビーです。
自閉傾向のある人には赤ちゃんみたいなイレギュラーしかない生き物と生活をするのは並大抵の事ではないはず。
大抵の赤ちゃんは、3時間おきのミルク、泣いたらオムツを綺麗に、とか育児書に書いてある事なぞなんっっっにも役に立たないもの。
オムツ変えたしお腹もいっぱい、なんで泣くの?!眠いなら寝ればいいのに!!の連続。
連続と言うか終わりがない。休みもない。
とりあえず抱っこすれば泣かないから抱っこする。
おろすと泣く。
抱っこしてると、他の事なんにもできない…
(だって両手が塞がってるから)
溜まる家事、家にいるだけなのになんで何にもやってないんだと思われる家の中、夜中も細切れに授乳で起こされるので続く寝不足と疲労感。多分定型発達の私でもこれだけの事がとても辛かった。
自閉の人はルーティンがこなせないと言うのは大変なストレスらしい。
心理士の先生に聞いたんだけど、定型発達の人はやらなきゃいけない事とやりたい事のバランスが崩れたら、やりたい事を減らしてこなすらしいんだけど、発達障害のある人はやりたい事を減らす事ができないので、他のとこにしわ寄せがくるんだって。
だから、一日の中でも三時間漫画読むって決めてて二時間残業したら今日は漫画一時間しか読めない…じゃなくて、例えばだけど寝る時間二時間減らして今日も三時間漫画読むんですって。
毎日やってたら寝不足ですよね、しにますよね。
漫画の中で、キチンと洗濯物を干し終えたい直ちゃんが太郎ちゃんの泣き声で途中放棄しなきゃいけない場面をこう例えます。排泄を無理やり止める様だと。
洗濯物が綺麗に並ぶ事、最初から最後までスムーズに行われる事が気持ちよく、残り数枚で中断するのはまさしく断腸の思い!すんごく気持ち悪い。少し几帳面な人なら充分理解できる事だと思う。
でも直ちゃんは太郎ちゃんの為に自分を制します。
こういうのって本当は病院でコントロールの療育とかを受けないとできる様にならないかなと思うんだけど、まぁ漫画なので、社会ではコントロール出来ずに変な人扱いされてきた直ちゃんが、育児によって成長すると言うお話になってますね。
そして直ちゃんは、真面目なお母さんがペアレントトレーニングは受けず、この子は普通じゃないからと、普通になるようにびしばし普通を押しつけて躾けられます。
他の子より劣ってないと思いたいお母さんの一方的な愛なんです。完全なる毒親です。
太郎が一歳を過ぎてから保活を頑張り、地元の本屋でバイトを始め、周りに恵まれて少しずつ社会に再び進出していく直ちゃんの前にラスボス母が職場参観に訪れます。
正しい事を押しつけて子供を傷付け、決め台詞は「貴方のためなのよ」
赤ちゃんの頃から少しの事で大パニックを起こしては周囲からあぶれて過ごし、親からも認めてもらえず生きてきた直ちゃんの、太郎を育てる事に関してはプロである、プロのチチである!と言う自分で自分を認める作業、発達障害と言う言葉が余り有名でなかった頃の人達には、難しいけどとても大事な事です。
うちの子供も発達障害の傾向があり、早くに気付いて病院に行きましたが、まだ充実してなかった為に思う様な結果は得られず、中途半端なまま子供はもうすぐ社会に出て行く歳になりました。
幸いに症状が軽く、どこの学校でも担任にそんな兆しは全く見えない、ムードメーカーで人懐こく、コミュニケーション能力に長けてますと言われます。
外で気張る分、家では酷く、反抗期は血をみる争いが続きました。
おそらく定型発達である第二子は、カサンドラ症候群とでも言うべき状態で、時々一緒に暮らすのが辛そうです。
障害者のできない事は、一緒に暮らすできる人の所にしわ寄せがきてしまうから。
世の中に沢山いる発達障害の人やその家族がもっと周りに理解されて、もっと助けてもらえる社会になる為に、漫画という手段で投げかけてくれた素晴らしい作品だと思います。
そして小さなお子さんを何か他の子と違う、育て難いと思ったり、ちゃんと躾けなきゃと思ってるのに周りから責められてしまう、そんなお母さんが減ってほしいと私はずっと願ってます。
プロチチはもっともっと色んな人に読んでほしいそんな作品です。
https://kc.kodansha.co.jp/product?item=0000039002
他にも、毒親ラインナップで #お母さんとごいっしょ
男女に友情は成立するのか?! #木村くんは男友だち
など、思い当たる節がある人には共感性の高い作品があります。
本当にいいか悪いかは別の話で、これらを読む事で気持ちが軽くなったり、大切な人を傷つけない為に自分も気をつけようとか思たらいいと思うんです。
そして重たいテーマに臨みながら可愛らしい絵柄と人を貶めない演出で読後感も良いです。
古い作品も読んでみようと思います!