作りたい女と食べたい女
私はBLと少女漫画は好みますが百合モノを手に取った事がありませんでした。
実際の性癖とは関係なく、百合もので描かれる空気感が自分と合わない事が多かったからです。
この作品を手に取ったきっかけは覚えていませんが、少し読んで私の好きな空気感だったのだと思います。
読みながら、なんでこの作品はよくて他のはダメなんだろう…と自分でも不思議に思っていました。
読み進めて行くうちに、自分の感じる百合モノ と言う概念ではなく、ただひたすらに女性同士の恋愛 言う部分に惹かれたのだと思いました。
何言ってるかわかんねーと思うが、本当なんだぜ。
女性同士の恋愛って所がベースでも、BLみたいに性行為が主体だと途端に萎えるんです。
好き…///ってときめく気持ちに共感できても女性同士の性行為に興味が無いと言うか…
むしろ私の好みのエロ漫画なんて可愛くて巨乳ありきなんですが、女性同士の絡みになると途端に萎える。
と、いうのもですね。
自分にも僅かながら女性同士の恋愛に覚えがあってですね。
その昔、職場の同僚に密かにときめいた事があったんです。
女性だらけの職場の中で女性特有の陰湿な虐や確執争いがある中、彼女が移動して来てからは楽しくて楽しくて、それはそれは輝いた日々に変わりました。
彼女とアシスタントの私。
距離が近くなるとドキドキしたものです。
彼女が休みだと寂しいし、私が先に出社していると後から彼女が来るのを今か今かと待ち侘び、彼女の書く文字、持っているモノ、着ている服、全てが愛おしくて可愛くて毎日一緒に居たいと思ってしまった。
私はずっと異性愛者で結婚して子供もいて、勿論彼女とどうこうなりたいとかは考えていませんでした。
特に性行為をしたいなどと思った事もありません。
でも、どう考えても、私の初恋の相手に感じた感情と違いがないんです。
今日はいるかな?
近くに居たら話しかけてくれるかな?
私の事を見てほしい!!
そうした気持ちが恋心だと気付くのには時間がかかったけれど、作りたい女と食べたい女を読んで、作中出てきたアセクシャルと言う言葉を知って、自分でストーーーンと腑に落ちたんだす。
性的な欲求が無くても恋と決めていいんだ。
その恋は勿論叶わなかったけれど、自分の気持ちを受け入れてあげる事で凄くスッキリしたんです。
世の中、同性同士の恋愛や結婚が認められ始めているとは言ってもまだまだ制度や周りの理解は追いついていません。
テレビの画面の中で、頑張っている人たちが大変さを訴えているのを知っていても、その悩みの具体的な部分まで理解する事はできません。
どこか物語の様な気持ちで見てしまうんです。
でも、こう言う悩みがいつまでも誰かを苦しませ続けているのだとすると、それは取り除いてあげたらいいんじゃないかと思う。
この漫画を読む事で気づいて、救われて、先に進める人がいるのだとしたら、もっともっと世の中に知られるべきなんです。
前置きが長くなりましたが、この漫画は表紙の二人の女性がマンションの隣同士に暮らしていて、ご近所さんとして関わるうちにこれが恋愛感情なのだと気付きます。
この物語に出てくる彼女達はまた、同性愛以外にも家族の悩みや摂食の障害など様々な悩みを抱えています。
その中にレズビアンでアセクシャルである女性が出てきます。
好きなのに性的欲求が無いってどうゆう事??
これを理解するのは難しい人もいるかもしれません。
好き同士でお付き合いしていたら尚更。
自分は触れたいと思うのに、相手は触れてくれない。
昨今ずっと話題のセックスレスにも通じるかもしれません。
自分と他人が違う事を理解するのは難しいかもしれませんが、想像力が豊かになって、こう言う事もあるかもしれないと考える人が増えたらもう少し優しくなれるのかな、と考えます。
レズビアンや女性に限らず、全ての少し苦しい人に是非読んでもらいたい作品です。
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