初めて食べたのに、懐かしい味。
いまでも時々思い出す、昨年ひとり旅をしたときにモーニングで食べたのりトースト。
普段は電車に乗らない生活をしている田舎者の私、一人で東京に行くことにすごく緊張していた。前回一人旅をしたのは、数えてみたら16年前。
乗り継ぎできるのか、迷子にならないか、
不安はあったけれど、以前から気になっていたお店で純喫茶の雰囲気を味わいたいと、神田の『珈琲専門店エース』へ行くことに決めた。
実際行ってみると何てことはなかったのだけれど、ホテルを取っていた水道橋駅から神田駅まで、平常心の顔をして。
『ひとりで来れた!』と内心ガッツポーズをして入店。
コーヒーの良い香り。
店内はほとんどが一人で来られていて、思いおもいの朝を過ごしていた。
私もそのひとりとなって、元祖のりトーストとコーヒーを。
『お待ちどおーさまっ』と笑顔でお皿を置かれて和む。
薄めのトーストにバターと焼きのり、しょうゆ。
パンにしょうゆ?と最初は少し疑ってしまっていたのだけど、和風と洋風の間をうまくいっている感じで、コーヒーにもよく合う^-^
この薄いパンが重ねられているところもナイスだな☺️なんだか懐かしい味。
満足してお会計をしにいくと『ここ、初めて?』と聞かれたので、はい、と言うと、エースと名前の入った小さなのぼりとマッチ箱をもらえた!
味ももちろん美味しくて、家でも再現しようとするくらい気に入ったのだけど、私にとっては16年ぶりに自分の殻をやぶれたような、自分の欲を自分できちんと満たせたような気持ちも相まって、思い出の味になった。
のりトーストは大好きなフードエッセイスト・平野紗季子さんの本にも登場します。↓
いまでも自宅のリビングにはエースのミニのぼりが飾ってある。