#14 本気で社会を変えるにはーたった1つの成功
システムを変えるのは容易ではありません。長い年月を経て、極めて効率的に築き上げられたこと、それに人々が依存し、過剰に適応していった結果、多くの人が精神的な自立も、経済的な自立も失ってしまいました。「政治はプロに任せればいい。私たちには関係ないことだ。」「私たちは何も悪くない。悪いのは政治家だ。」と、そうやってずっと甘えてきたのです。
絶えず日本は信賞必罰の考えに毒されてきました。学校での教育から会社での仕事まで、あらゆることが成績やお金に換算され、周囲から褒められるからする、お金がもらえるからすると言った風に、行動自体に疑問を持ちません。その結果、自分にとって利益が出ないこと、他人から認められないこと、非効率ですぐに結果が出ないことにはとことん無気力です。お金という物差しだけを信じ、自発的に考えること・行動することをやめてしまったのです。
それでも残された時間は短く、システムを変えないという選択肢は許されません。法律を変えて済む次元の話ではなく、社会に生きる人々の意識を変えなければ、変化は表面的なものに終始し、実のところ何一つ変わらないのです。これは今まさにSDGsの活動で起きていることそのものです。所詮他人の意識は変えられないという言説に甘えてられる余裕はどこにもありません。
リーダーが果たすべき役割が大きいのは当然ですが、意識の変革という意味で、市民が持つ役割は重要です。市民一人ひとりが自立して考え、団結し、流れを作らなければなりません。
いきなり高すぎる目標を掲げても、成功する確率は極めて低く、次第に組織は勢いを失っていきます。地道であっても、課題を小さく分割し、まずは達成可能な小さな目標――政治家ではなく、自分たちの力で勝ち取れたんだと思えるたった1つの成功が勇気を与え、組織に推進力を与えます。最初は本当に小さくて良いのです。勇気を持ち、協力し、社会を変えることができたという成功体験を持つこと、それを積み上げることが、今の社会には必要で、渇望されていることなのです。
(#15へ続きます)