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色彩

私たちは何十年も目を使うと、蚊を飼える約束になっているけれど
蚊を飼えた喜びより、他の人から零れ落ちた色彩の跡を辿るのが好きだ。
色彩は、目の中で飼うことはできないから
辿る誰かのために零すものなのだろう。
そういうのを、空しいことだという人もいるかもしれない。
けれど、そこにはいない誰かが辿れば迷わずに済むもので。
迷わずに済むのであれば、明日も明後日も色彩を零すためにご飯を食べて
私たちは生きていくのだと思う。