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フクギ並木のトンネルを抜けると目の前にビーチが広がり、
伊江島タッチューを一望できる。
今日も私は三線を弾く。
キジムナーがガジュマルの枝に腰掛け、自慢の笛でリードする。
チントゥンテントゥン テントゥルルン
オジィは観光客に自転車を貸して、お小遣いを稼ぐ。
その柔和な言葉の真似をして、学生たちが大笑いする。
キジムナーがウインクすると、3羽のヤンバルクイナが森の奥へと消えて行った。
チントゥンテントゥン テントゥルルン
今日も私は三線を弾く。
キジムナーが笛を吹くと、落ち葉の三板も踊り出す。
チントゥンテントゥン テントゥルルン
「三線を教えてもらえませんか?」
旅の青年が声をかける。
キジムナーが嬉しそうに手招きする。
チントゥンテントゥン テントゥルルン
旅の間、青年は毎日、ここで三線と戯れた。
キジムナーが流れ星のウインドチャイムをキラキラと奏でる。
ブーゲンビリアが、私の頬を赤く染める。
チントゥンテントゥン テントゥルルン
お別れの日、彼は私に「約束」というプレゼントをくれた。
キジムナーの姿はもう、見えなくなった。
夕陽が沈むビーチに立ち、東に帰る飛行機をいつまでも見送った。
海からの初夏の風に、解いた髪がなびいた。
風待 栞
彩(あや) 作詞・作曲 森田智子
藍色ぬ空ぬ 月あかり美らさ
里想い心 星とぅなりてぃ
赤花や髪に 星砂や胸に
子守唄 肝に 想い乗してぃ
青空に架きゅる 虹橋ゆ渡てぃ
紡ぐ恋ぬ唄 届きたぼり