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「チーム学校」の落とし穴
阪神タイガースの監督となった藤川球児さん。昨年の球団納会において、チームの常勝軍団化を宣言しています。その宣言の中でも、とても頼もしいのが、次に示す『油断せず、強気で攻めるための「3ない」』です。
おごりを持たない。
慣れない。
冷めない。
これに加えて、「荒ぶった状態でグラウンドに出る。」という藤川監督のアツい言葉もまた印象的でした。現在、春季キャンプにおいて「強いチーム」づくりが大いに進んでいることでしょう。とても楽しみです。魅せてくれ、阪神タイガース!
さて、
プロ野球の世界だけでなく、目の前にある多種多様な教育課題や個別のニーズに対応するため、子らをよりよく育むため、学校には、ひとつのチームとなって対応しその解決にあたるという「チームとしての学校(以下、チーム学校)」という考え方があります。
(注:「チーム学校」という考え方には、地域の方々、保護者、学校外の専門家の方などを含めた広範囲をその対象とするものもありますが、この記事では、学校内の教職員を範疇とするチームとして述べていきます。)
「チーム学校」づくりに成功されている学校では、適切なマネジメントが進み、起こりうる「危機」への備えの意識が高く保たれ、人材を育てながら、すべての教職員の心理的な安心感・安定感・一体感が生まれていることでしょう。
しかし、「チーム学校」が甘い認識のもとに、かけ声だけになっている学校やそれが上滑りしている学校では、その弊害も顕著になってきていることでしょう。
この記事では、「チーム学校」がもたらしうる落とし穴について記していきます。
先生方とともに学校をひとつのチームとして認識していくプロセスの中では、まず、ふくれあがる業務の効率化にスポットが当たります。そしてそれは、細分化を経て過剰なる分業へと進みがちです。校務分掌表が細かくなっていくような時には、要注意です。そしてそれは、各自に割り振られた「目の前のこと」をなんとかやりこなそうとする教師の「個」業、「孤」業に拍車をかけていきます。これは、孤独な個人戦の点在であって、決してチーム戦とは言えないものです。この状態が続くと、任されたことだけをすること、出過ぎたマネをしないこと、担当者任せの領域をつくってしまうこと、になっていきます。まずこれが「落とし穴」。避けなければなりません。
また、ある時には、網羅(もうら)したはずの分業にエアポケットのような「ポッカリ穴」が生じてしまい、そこから綻(ほころ)んでいくことだってあります。
また、チームなのだから…という同調圧力が少なからず発生するため、予期せね分断の芽となることも…。チームプレイそのものを苦手とする先生もおられます。
これ以外にも、「チーム学校」づくりでは、組織としての積極的な意思交換の時間がどうしても必要となり、その時間確保によって、業務の削減どころか、かえって多忙化させてしまうことにもなります。会議の回数がやたらと多くなるような状況は、なんとも悩ましいものです。わたしが以前勤務していた中学校では、その規模がさほど大きくなかったため、ちょっとした協議(情報の集約、今後の対応や指導の手立ての確認など)を職員室で行っていました。実は、これがとても貴い。即時的な会議の発生。他学年のことであってもせまい職員室ゆえ、いやでもその内容が耳に入ってきます。「今、どんな指導事案が校内で進行中で、誰がどんな思いで指示を発しているか」のゆるやかな共有がすすみます。そしてそれがゆるやかな自分事となっていきます。このことに意識のある先生は、「他の先生にも、ここを聞いていてほしい…」と、わざと発言をととのえてしゃべるものです。そして、そのやりとりに他の先生方も学んでいくのです。でも、大規模な学校となると…。
では、
強いチームとは、どんなチームでしょうか?
学校ではなく、野球のチームに当てはめて考えてみましょう。強い野球チームとは、次のようなチームです。
・選手は、自分の「強み」と「弱み」を熟知し、日々鍛錬している
・選手一人ひとりがチーム状況・戦況を俯瞰(ふかん)できる目を持っていて、つねに自分で思考している
・すぐれたコーチがおり、成功からも失敗からも学ばせ、力の引き出し方がうまい
・フロントには、スター選手の獲得よりも、ルーキーを育てようとする姿勢がある
・相手チームの分析を欠かさない
・スターティングメンバーであろうが、サブメンバーであろうが、リスペクトし合う関係性がある
・選手は、試合での監督からのサインの意図をよく理解し、そのプロセスにおいて最善をつくす
・守備では、つねに前傾姿勢をとり、「一歩目のはやさ」で勝負する
・試合では、味方の守備のエラーに備えてバックアップのポジショニングを怠らない
・クローザーがすごい
・「よいプレー」は、チームに伝染することを知っている
・「阿吽(あうん)の呼吸」というものがあることを経験知として獲得している
・味方のよいプレーには、称賛のハイタッチ! 相手のよいプレーにも拍手
・「運」も味方にする
・調子が上がらないときには、頼ることを悪とせず、「お互い様」がチームに息づいている
・ベンチが明るい
・チームミーティングは、短時間
・選手は、プライベートも充実させ、支えてくれる家族などへの感謝を忘れない
・勝敗のいかんを問わず、皆が「あすもこのチームで戦いたい」と思っている
校長先生のリーダーシップとすべての先生方のスキルの総和によって成す「チーム学校」。
さあ、人事異動の内示がされれば、各学校で来年度のチームづくりがスタートします。ぜひ、強いチームに!
プロ野球の開幕日は、セ・パとも3月28日。
魅せてくれ、阪神タイガース!
開幕ダッシュ!!