しっかり聞きなさい
「しっかり聞きなさい!」
私たちは、小学生の頃より、いつもこのように先生から言われてきました。
その「しっかり」の中身をさぐってみると、「おしゃべりしないで聞く」とか、「人の目をみて聞く」とか、「集中して聞く」など、聞くときの態度や姿勢について指導されてきたように思います。もちろんそのこともとても大切なことなのですが、「しっかり」の中身は、それだけでは十分ではないでしょう。
そう考えた私は、中学校の国語科の授業で、「聞くこと」の指導の実践研究に取り組んだことがあります。
そのよりどころとなったのが、哲学者のモーティマー・アドラーの次の言葉です。
みなさんなら、どんな「聞くこと」」の授業をしますか?
聞いたことを細かくメモさせるような聞き方の指導でしょうか。
いえいえ、そんなことはボイスレコーダーを活用すれば済むことです。
「頭脳の仕事」になっていません。
私の授業で仕組んだものは、目的や状況に合わせた「聞き方のいろいろ」です。目的や状況が変われば、聞き方も変わるのだということを意識させる指導です。
授業で取り上げた聞き方は、次の4つです。
この実践研究で最も苦労したことは、教材開発です。
よくある「聞き取りテスト」に見られるスキット(スピーチや説明、話し合いなどの場面を音声化したもの、または、その原稿)の常識を取り払わなければなりません。
子らの教材となるものには、次の配慮をしました。
(教材の実際をこの記事に示せないのが残念ですが…。)
その学習活動を通して子らが感じたことは、「聞くことって、結構しんどい…」ということ。それはそうです。「頭脳」をフル回転させながら聞いているのですから。
「聞く」という活動が、実は、受け身の活動ではなく、能動的な活動なのだと気づいたのでした。