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部活動のまなざし

中学校では、この夏の大会やコンクールなどを経て、それぞれの部活動で「3年生の引退」と「新チームの発足」、いわゆる「世代交代」の時となります。部活動に取り組む子らにとっては、大きな節目といえます。指導にあたる顧問の先生方も、よりよい引継ぎの場を演出したり、新チームの体制づくりに注力されていたりすることと思います。

次に示すものは、
YouTubeにアップされている『今日、部長になった』というタイトルがつけられたCM映像です。子らの「強いまなざし」や流れているBGMの中の歌詞「♪なぜ自分が選ばれたのかわかる日が来る」にグッとくるものがあります。
まずご覧ください。(約3分半)

部活動は、学校教育の一環として学習指導要領にも位置付けられた活動ですが、必ずしも教師が担う必要のないものであるとされています。
にもかかわらず、平日はもとより、休日であっても、教師の献身的な勤務・指導によって支えられているのが現状で、その負担が大きな課題となっています。専門的な競技経験などがなかったりおうちに小さなお子さんがいたりする先生ならその負担はなおさらです。

その一方で、
子らが部活動で見せる姿(仲間との「結束」、みなで立ち向かう「時間」、ねばり強い「意志」…)を知る先生方の多くは、子らの自主的・自発的な活動を通じて人間的な成長が図れることや生徒指導の機能の高さなどについて深く認識されています。中学校の部活動で得る経験はかけがえのないものである、という教育的な意義に係る認識です。教育者として労苦をいとわずに向き合ってしまうのは、教室とはまた違った部活動で見せる子らの「強いまなざし」を知っているからなのでしょう。

子らのまなざしに宿る「熱量」と、
それに応えようとする指導者の「熱量」。

部活動の地域移行が全国的に検討・調整されていますが、なかなか進んでいないのが現状です。
「学校部活動」を「地域部活動」へと移行させるということは、部活動を最終的に学校から切り離すことを意味します。上記の「指導者」の部分を、これから誰が担うこととなるのか。子らの「強いまなざし」に向き合うのはいったい誰なのか。
平日の夕方から指導ができ、休日にも指導ができ、各種大会やコンクールへの対応もできる学校外の指導者。そんな人材がはたして確保できるのでしょうか。中には、指導への対価を習い事のように求められるケースも考えられるでしょう。

中学校の部活動は、「ここから先」の困難さに大きく直面しています。

では、どうしたらよいのか?

私見を次に示しておきます。
みなさんは、どのように考えますか?

スポーツ庁の統括・トップダウンによって、
中・高での部活動を学校教育から完全に切り離し、
中体連・高体連を統合的・発展的に解体し、
各都道府県に「スポーツ課」をもうけて、
ジュニア(11から15歳)、ヤング(16から20歳)、アスリート(21歳以上)の3つのカテゴリーから各種目ごとの競技団体を各県に設置する。
例えば、「◯◯県ジュニアサッカーチーム」「◯◯県ヤング女子バスケチーム」など、それぞれの競技チームごとに拠点施設(学校体育館を含む)を割り当てる。
指導者は、一般より広く募り、運営費(人件費を含む)は、その一部をプレーヤーに登録費や活動費などとして求める。
競技大会については、スポーツ庁主催の各県対抗とする。

上記のもののみを共通事項とし、それ以外、例えば、拠点施設のローテーション、活動日・活動時間の設定、下部組織の設置、県単位の活動交流・練習試合などについては、各県スポーツ課ごとの弾力的な運営、持続可能な運営にゆだねる。

▲この私見ですら、問題点が山積みであることを百も承知しています。長年にわたって構築されてきたものを、根本から見直そうとするのですから、とてもとても大変なものであるということです。覚悟ある大人の大ナタが必要です。