ワザなき教室の打破
先生が求めている「答え」を言えているか?
先生が求めている「答え」を、1対1の問答において言い当てること。
指導者が「子を指名し、発表させ、それを判定する」という手法しか持ち合わせていないため、このような授業になってしまっていることがよくあります。ワザを持たぬ指導者がつくる教室は、子らの主体性を削(そ)いでいくことになります。それは、とても不幸なことです。とりわけ、若い先生は、自分が学生時代に経験してきた授業を自分の授業スタイルとしていることが多く、これが「ふつう」となっているのでしょう。
では、どうすればいいのでしょうか?
この記事では、指導者が持つべき教室での確かなワザについて記していきます。
先のような教室をつくらないよう、指導者が意識して身につけていかなければならないワザは、次の3つです。
1つ目。
「そうですね」「そうやね」を乱発しない
「そうですね」は、子らにとって単なる「相槌(あいづち)」ではありません。「今の発言は、私が求めていた答えにかなっていますよ」という評価を伴ってしまうものなのだ、と指導者は心得なければなりません。また、「そうですね」ではない「ほかに」は、「あなたの発言は間違っていますから、スルーしますね。」になっていることも心得なければなりません。「そうですね」を使うのは、確認の時だけに限ります。
2つ目。
1対1をつくらず、子らをつなぐ
このことは、私の記事『発表の際の「指名」』でも取り上げました。子らを指名する方法を少し変えるだけで、教室を大きく変えることができます。1対1を生み出さないワザは、複数指名です。一度に複数、3~5名を指名する方法です。「では、Aさんと、Bさんと、Cさんと、Dさんの順で発表しなさい。」という指名の仕方です。挙手した子らの指名でも、指導者からの意図的な指名でもかまいません。そして、4人が発表し終わるまで、いちいち言葉をはさみません。4人の発表後、指導者がすることは、その判定ではなく、子らをつなぐことです。これに徹します。
どこにも「そうですね」は登場しませんね。指導者は、教室を子らの考えをすり合わせる場にしていくのです。このワザを用いることで、子ら自身もつなごうとするようになります。「私は、Bさんの意見につけ足しなのですが…」「ぼくは、Eさんの意見とはちがって…」など、自分の考えがどう皆とのつながりをもつものなのかを意識した発言になっていきます。このことが教室の学習規律となるところまでねばり強くやりきるのです。こうした中でできあがってくるのが、聞き合える教室です。めざしたい教室の姿です。
3つ目。
評価するのは、〇〇科としてのものの見方や考え方ができていたか
「そうですね。」という判定の言葉は、2つ目のことができるようになれば、自然と消えていくことがわかりますね。そのかわりに必要となるワザが、「〇〇科のものの見方や考え方」ができているかの評価の言葉をかけることができることです。
この時はじめて、子らのまなざしが指導者に向けられます。指導者の指導者たる出番がやってきたと考えていいでしょう。子らにとっては、新たな視点を指導者から得ることになります。
子らから言えば、教室は、ねばり強く考え、深め合う場。
指導者から言えば、教室は、きたえる場。
子らが自ら考え、「私も発言したい」となるためには、これら3つのワザを指導者が持ち合わせていることが必要なのです。
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