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海外旅行先で知り合った人々 (ドイツ ケルン)


ケルン到着

2019年の冬、初めてドイツに行った。アムステルダムから、ICE(インターシティエクスプレス)で数時間、ドイツのケルンに到着。

ケルン中央駅を出ると、目の前にどどんとケルン大聖堂。
ケルン大聖堂の前にはクリスマスマーケット。初めて見るものばかりで、テンションが上がる。
ひとまず宿泊先に荷物を置き、宿から近いノイマルクトに行ってみた。

クリスマスマーケットは初日なのか、開いているお店もまばら。グリューワインが飲みたかったが、私はアルコールがダメなので、店員さんにノンアルコールの飲み物を聞いてみると、Kinderpunch (子供用のグリューワイン)があった。スパイスが利いて美味しい。カップも可愛かった。

グリューワインのマグカップ。
返却するとデポジットの2€が戻ってくる。

宿に戻って翌日の観光プランを考えていると、宿のマダムが、
「ひとり旅なら、安全面も考えて現地ツアーに参加したらどうかしら。ケルン大聖堂や旧市街も1日で効率よく回れますよ。」
と教えてくれた。

ネットで探すと、手頃な半日ツアーがいくつか見つかった。その中のひとつ、英語で説明してくれるものがあったので、それに申し込んだ。
担当のガイドさんからは、すぐに折り返しの連絡があった。

ケルンへようこそ!明日のツアー担当のSです。必要な持ち物は特になく、手ぶらでOK。ただし外歩きは寒いので、暖かい服装で歩きやすい靴で来てください。緊急連絡先はXXX-XXXXまで。では明日大聖堂で会いましょう!」

わかりやすいガイドさんだ。ひとりで街を散策するより楽しそうだ。集合場所があの大聖堂の前なら、方向音痴の私も間違うこともなかろう。

この4年後、ケルンで再びこのツアーに参加することになるのだが、その時は夢にも思わなかった。

ケルン半日ツアー

翌朝早くに宿をでて、トラムに乗って再び大聖堂へ向かう。ドイツの冬の朝はまだ暗く、何となく天気も悪かったので、ガイド氏の言う通りに暖かい格好をしてきた。

集合場所に着いたが、私1人しかいない。ガイドのS氏は、噴水の後ろにぽつねんと座っていた。挨拶すると、もう1人来るはずなので少し待ってね、とのこと。

しばらくすると、もう1人の参加者が到着。フィリピンから来たC君。ドイツには出張で来ていたが、予定がキャンセルになって時間が空いたと言っていた。

冬の平日の朝イチ、しかもその日は天気が悪かったから、参加者は私とC君だけだった。

幸い、ガイドのS氏は少人数でも手抜きしなかった。ケルン大聖堂を外から中から丁寧に案内してくれた後、旧市街ホーエンツォレルン橋に向かう。歴史的なことや地元の話題もふんだんに盛り込んで、わかりやすく面白おかしく説明してくれた。

よく見ると結構細かい細工があることも説明してくれた。

プロなので当然といえば当然なのだが、他国のツアーに参加した時、毎日同じことを何度も話しているせいなのか、ガイドさんの中には面倒くさそうに話す人も見かけたので、S氏の真面目な仕事ぶりは有り難かった。

ツアーの最中、街を歩きながらC君は動画を撮っており、そこに私とS氏が時々ツッコミを入れたりしているうち、何となく3人が仲良くなっていった。C君はセルフィーを撮るのが抜群に上手く、素敵な景色を背景に3人で写っている写真もたくさん撮った。

50代の私、C君は20代前半、S氏も30代か40歳そこそこだろう、年齢も国もバラバラの3人がなぜこの時に意気投合したのかは分からない。

仕事を辞めて最後の給料を全部使ってドイツに来た私、出張先のドイツで取引先のドタキャンにあったC君、そして前の仕事を辞めて今年からガイドを始めたばかりというS氏、お互いの話をするうちに、何か通じるものがあったのかなと思う。

地元レストランの絶品シュニッツェル

ツアーは午前中の2時間で終わるはずだったが、その日は午後からも他に予約がないとのことで、ツアーが終わったあとも3人で一緒にお昼を食べることになった

S氏は「ここからはツアーじゃないから普通に割り勘な!」と言って、私たちを地元のレストランに連れて行ってくれた。

せっかくドイツに来たことだし、C君も私もシュニッツェルを注文することにした。

運ばれてきたのがこれ。トンカツ風だが、ソースが違って美味しい。お腹も空いていたのでパクパク食べた。

3人で食べたシュニッツェル。美味しくてボリューム満点。

S氏行きつけのお店なのか、常連らしき地元の人が次々とS氏に声をかけて行く。観光っぽくない雰囲気も楽しかった。

クリスマスマーケットのハチミツ

結局その日は午後もクリスマスマーケットを見たり、カフェでお茶したりして、日が暮れるまで3人で一緒に過ごすことになった。

一日中観光に付き合ってもらったので、C君と私でS氏にチップを渡そうとしたが、
ぼくも楽しかったから、チップは要らないよ
と受け取ってくれなかった。

そこでちょっと考えて、クリスマスマーケットでS氏が美味しいと言っていたハチミツを買って渡すことにした。ハチミツの方は笑いながら受け取ってくれたので良かった。

連絡先を交換し、ハグをしてお別れの挨拶をし、大満足で宿へ戻った。
(この投稿のトップ画像が私たちがその日ハグをして別れた場所。)

次の日の朝、ケルンを発つ前に、C君からツアーで撮った写真が送られてきた。初めて訪れた街で、思いがけず楽しい一日になったことに感謝して、フランクフルトに向かった。

その後この2人とはFacebookやInstagramなどでコメントやメッセージなどを送り合って繋がっていた。

知り合ったのは2019年の年末、その翌年、新型コロナのパンデミックになり、各国がどうしているか気になって近況報告のメッセージを送り合った。
そのせいか、意外なことに彼らとはそれっきりにならずに細く長く交流が続いた。

C君と日本で再会

2023年の春、何気なくFacebookを見ていたら、C君が大阪城の前で撮った写真をアップしていた。
「え!日本に来てるの?」と思ってすぐ連絡をとると、友だち2人と一緒に来日中とのこと。

C君「君が日本のどこに住んでるか知らなかったし、友だちも一緒だから。」
と言われたが、

私「そんなあ。久しぶりだし、せっかく日本に来たんなら会いたいやんか。もし差し支えなければ、お友達も一緒に大阪案内させてもらいまっせ(大阪弁)」

そんな訳で2日後に心斎橋駅で集合。
お友だち2人、J君とK君にも挨拶して、何が食べたいか聞いてみたら、「肉!」とのことで、美味しい焼き肉屋さんに連れて行った。
日本で寿司もラーメンも食べたと言っていたが、この焼肉店はかなりヒットだったようだ。お肉を食べ終わる頃にはJ君とK君とも馴染むことができた。(と思う。)

食後は彼らの希望通り、大阪のポケモンセンターにお連れする。

私はポケモンに詳しくないが、かなり大規模なポケモンセンターらしく、けっこうな人混み。大阪限定グッズなどもあったらしい。私は写真係に専念。等身大のお気に入りキャラクターと一緒に写真に写る彼らが楽しそうで良かった。

その後は100円ショップや百貨店などを回ってお土産ショッピング。100円ショップでは全員爆買いしていた。家族へのお土産は百貨店で少し良いものを買いたいという。C君は和菓子、特にモナカ、K君は梅干し、J君はおかきを気に入ってお土産に買っていた。

翌日帰国とのことで、あまり遅くならない時間にお開きにした。
彼らはお土産の大きな紙袋を下げていたので、心斎橋の駅前で手を振って別れた。別れ際、C君だけでなくJ君とK君もそろって、
フィリピンに来たら連絡してね!
と言ってくれたのが嬉しかった。

ドイツで知り合って、日本で再会して、次はフィリピンで会えたら本当に楽しいね。

S氏とケルンで再会

2023年の8月、短期留学したミュンヘンの語学学校の学生寮で宿題に追われていたある日の夜、S氏からメッセージが届いた。
今ドイツにいる?ケルンに来る?」

そういえば今年ドイツに行くよ、と連絡してあったのだ。メールでチマチマ返事するのが面倒だったので、電話をかけた。声を聞くのは久しぶりだ。

「ドイツへようこそ!(笑) 。ドイツ語の調子はどう?ぼくは相変わらずツアーやってるよ。」

8月末に講座終了、9月にドイツ国内を旅行する予定だというと、
S氏「OK、ツアーは急に予約が入ることもあるから今すぐには約束出来ないけど、9月になってケルンの近くまで来たら連絡して!」

8月末に講座が終わり、その後ベルリン、ハンブルクをまわってデュッセルドルフに着いたのは9月半ばだった。デュッセルドルフとケルンは神戸〜大阪間くらいなので近い。S氏に連絡してみた。

直近の日付はツアー予約が詰まっていたが、2、3日後に時間が取れるというので、その時間だけツアー予約が入らないようにカレンダーをブロックしてくれた。

せっかくなので久しぶりにツアーにも参加していいかと聞くと、無料で混じっていいよ、とのこと。お言葉に甘えて翌日のツアーに参加することにした。

集合場所は前回と同様、ケルン大聖堂の前。私は少しお腹が空いていたので、駅前でパンを買い、前にS氏がぽつねんと座っていた辺りでパンをモグモグ食べて待っていた。
感動の再会とはならなかったが、S氏は「元気そうだね」と笑って挨拶してくれた。

今度はアメリカからの家族連れと一緒だった。両親とティーンエイジャーの娘さん。娘さんが大学入学で家を離れるので、その前に家族旅行でヨーロッパに来たと言っていた。

以前とはツアールートも少し変わっており、説明内容もより専門的になっていた。それもそのはずで、パンデミックでツアーガイドの仕事が無くなったとき、彼もいろいろ工夫したと言っていたっけ。彼はツアー途中で大きなキャンディ🍭を買って参加者全員に配ってくれた。こういうサービスも以前は無かった。

その数日後、私はフランクフルトに発つ前にS氏のお宅におじゃました。息子さんたちがいると聞いていたが、そのときは不在だった。日本から抹茶を持ってきていると言ったら、是非飲んでみたいというので、茶碗と茶筅、粉抹茶を出して、抹茶を一服点てることにした。

S氏は抹茶がとても気に入ったようで、おかわりしてくれて、お茶と一緒に出した羊羹も平らげた。
日本の抹茶はなぜ泡をたてるのか、というような話をひとしきりしていたら、あっという間に出発時間になった。

バタバタと玄関先で抹茶セットとお土産にもらったお菓子をリュックに詰め、別れの挨拶をした。S氏は近く転居すると言っていたので、私が転居前の最後の訪問者だったのかもしれない。

フランクフルトに向かう列車の中で、S氏と一緒に撮った写真をC君に送った。C君からは「Sにまた会えたんだ!よろしく伝えといてね!」とすぐに返事があった。

毎日大勢のツアー客がいる中、なぜこの3人が知り合えたのか、再会できたのか、人とのご縁はつくづく不思議だなと思う。

3人揃って再会するのは難しいかもしれないけど、このご縁はこれからも細く長く続いてほしい。

2度目のケルンは快晴だった。

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きいこ
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