街を作った人たちすごくね?
そう思うタイミングが3回あった。
1回目は車に乗って、峠道を走っているとき。
峠の頂上について、眼下に広がるのは森、森、森。日本という国は国土の7割が森林に覆われている。残りの3割が市街地だ。
北海道も森がモリモリである。
7割も未開拓な場所があるんだなぁ、そう考えるとあれかい。生えている木を一本一本伐採してあれかい。土をならして固くして、道を作って建物を作って、そうしてあれかい。ちょっとずつ街を作っていったのかい。
高速道路を見るたんびに、そら恐ろしい気持ちにもなる。このどこまでも続く巨大なコンクリートの構造物を作った人ってのはたしかにいることになるのかい。
途方もない作業じゃないかい。
2回目はつい先日。
札幌市内の横断歩道を歩いていたとき。
道路が少しデコボコしていて、つまずきそうになったときだ。このデコボコした道をみて私が思ったのは、
なんという作業だろう。だって、どこまでいってもコンクリートは続いてるんだよ。コンクリート、コンクリート、コンクリート。これは人間が作ったものでしょう。どんだけの面積があると思ってるんだよ。計算できないよ。
3回目は1ヶ月前。
ビルを見たときだ。札幌は現在、新幹線の延伸にともない、街の中が再開発ラッシュ。さすがに渋谷には及ばないだろうが、30階を超えるビルが増えている。3つや4つではない。もっと多くの数だ。大きいなぁ。
建設現場を見ると、そこかしこでクレーンが動いている。現場作業の音も聴こえてくる。これがゲームだったなら、ビルを作るのもお茶の子さいさいだろうけど、現実世界ではそうそうスピーディーにはできない。
札幌という街を作ったゼネコンは伊藤組土建を筆頭に、100年を超える歴史をもつ会社がちらほら。
全国に目を向けると、大成建設を筆頭にスーパーゼネコンと呼ばれる巨大ゼネコンがひしめく。これらも数百年の歴史をもつ。
さらに歴史をさかのぼれば、現存する世界最古の会社組織は日本企業であり、その名も「金剛組」である。
ここはたしか四天王寺の建立にも携わっている。
と、いうことは驚くなかれ、金剛組の創業は飛鳥時代の第30代敏達天皇7年(西暦578年)というから、その歴史を考えると語彙力を失う。
うーん、ハンパない。
世界最古の会社組織が、平たく言えば街づくりの会社であるから、人間の活動における街づくりの重要性ってのがいかに大きいことか、容易にわかる。
さらに考えれば、金剛組にしたって、札幌の伊藤組土建にしたって、大成建設にしたって、実際に現場で作業をしているわけではない。
しているというケースもあるが、でも本当に身体を動かしているのは、下請け、孫請けの小さな企業たちだ。
そんなことを書いていると、小さなころ、私の父が言ってたことを思い出した。
私の父は、建設業に携わる人間だから、小さなころはいたるところで父が携わったであろう現場の豆知識を教えてもらった。
であるとか、
だとか、そんなこと。
そう考えてみると、私の中に流れる血液には、街づくりのDNAが入っているのかな、とか思ったり思わなかったり。
なんにせよ、1,000年前も日本各地の建設現場のお父さんが「ほら、あの建物はお父さんが作ったんだ」と言ってきたんだろうし、今日もどこかで汗水たらしているお父さんが、未来の我が子に「見てごらん」と自慢するに違いない。
で、またさらに考えると、
スーパーゼネコンの企業キャッチコピー、スローガンを見てみると、そのメッセージが溢れてて。
たとえば大成建設は「地図に残る仕事」だし、
清水建設は「子どもたちに誇れるしごとを」だし、
札幌をつくった伊藤組土建の経営理念は「社員の安寧と幸福を願い、最良の作品を世に遺し、社業の発展を通して社会に貢献する」であり、私は昔からこの会社が大好きだ。
街づくりは歴史を作ることと限りなく同義だからとてつもないロマンがあり、そうしてやっぱり、敬意を胸に抱きながらこう思うのだ。
街を作った人たちすごくね?
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