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生え変わり続ける場合。

人間の髪や爪は、日々の生活の中で静かに、しかし確実に伸び続けている。なんとも地味でささやかな営みのように見えるが、ここにこそ私たちが抱える「新しい挑戦」へのヒントが隠されているのではないかと思う。


髪や爪は伸びるたびに古い部分が少しずつ切り落とされ、やがて新しいものに生まれ変わる。髪の毛も爪も、決して同じ状態を保ち続けることはない。あれは生え変わり続けている。

だからこそ私たちは新しい髪型、髪色に挑戦したり、いろんな色のマニキュアを楽しんだりすることができる。じゃあ、もし髪や爪の成長が止まってしまったら。

どれだけおしゃれにこだわっても一度やったスタイルに固定され、すぐに飽きがきてしまう。すなわち停滞である。


この「成長」と「新しいことに挑戦するサイクル」は、実は私たち自身にも当てはまるのではないか。

もしも自分が新しい挑戦を拒み、変化を避けたら。それは髪が伸びない、爪が伸びない状態と同じだ。

そんな停滞した状態で過ごす日々が続いてしまったら? 想像してみてほしい。私たちが最後に新しい経験をしたのはいつか。もし記憶にすぐ思い出せないなら、少し立ち止まって考えるタイミングかもしれない。


新しい挑戦はたしかに勇気がいるし、リスクも伴う。だが、やろう。新しいことを。やろう。まだやったことのないことを。

たとえば大谷翔平選手は今シーズン、盗塁の数を増やすことに挑戦した。それまでの彼のイメージは、投げては一流、打っては超一流ではあったが「走ること」に関してはだれも注目していなかった。ノーバディだ。

大谷くんがドジャースに入団してすぐのキャンプ映像で、やけに「走るトレーニング」をおこなっている映像が流れた。一般的な視聴者ならば、目にも留めない。下半身を鍛えているのかな? 程度である。

が、大谷くんはシーズン入りする前からすでに「走る」ことを念頭にトレーニングをしていた。当時のメディアはどこも「盗塁数が増えるだろう」と予測していなかったが、終わってみれば、周知のとおりの結果、59盗塁である。

こ、こいつ、最初から走る気マンマンやった


きっかけは何か知らないが、彼は「それまでやっていなかったことに挑戦しよう」と思っていたのだろう。まさしくこれ、進化だ。


髪や爪の成長のように、挑戦を繰り返すことで自分の「古い部分」を切り落とし、新しい自分が育つ余地を作り出す。だからといって、毎日髪を切ったり、爪を削ったりする必要はない。むしろ、少しずつでも新しいことに手を出してみる。その小さな積み重ねが、やがて大きな変化に繋がる。


新しい挑戦をすると、新たな視点や価値観が芽生えることも多い。髪や爪が新しい形を取るたびに自分のイメージが変わるように、新しい経験が自己イメージに変化をもたらす。もしかしたら、自分が思ってもみなかった能力や興味が発見されるかもしれない。そうした発見は、新しい挑戦によってのみ得られるものだ。



ダーウィンにちょっと反するようだが、私たちは新しい挑戦をすることでしか進化できない。そういうふうになっている。

「いや、私はそんなに成長しなくていいんです」「現状維持できればOKです」みたいな脱成長論はクソ喰らえである。「成長こそ善」という前提で話を進める。




逆に、停滞していると古い自分がどんどん「伸び」て、どこかで切り替えができなくなる。爪が伸びすぎて不便になったり、髪が伸びっぱなしで整わないように、挑戦をしないことで自分の中で「古くなった部分」が増えていく。停滞である。

それを放置していれば、いずれ何かがよどみ、その重みに押しつぶされてしまうかもしれない。だからこそ、髪や爪を切るように、定期的に自分を刷新することが必要なのだ。


「でも、どんな挑戦をすればいいかわからない」

こう思うかもしれない。私もそうだ。そんなときは、あえて小さなことから始めるのもいい。

新しい本を読んでみる、知らない場所に足を運んでみる、普段食べないものを試してみるなど、日常の中に小さな挑戦の種はたくさん転がっている。それらを拾い集めることで、少しずつ自分が変わっていくのを実感できるだろう。

新しい挑戦をし続けること。挑戦を拾い集めること。ベタすぎる。だが真理。

それは言い換えれば、「生え変わり続ける自分」であり続けることだ。停滞した髪や爪はどこか不健全であり、元気がないように見える。

だからこそ、自分もまた停滞しないために、髪や爪と同じように新しい挑戦を続けるべきだ。


そう思うのであった。


〈あとがき〉
変わり続けている人に対しての世間や周囲の目は冷たいものです。あいつはいつもちがうことをやっている、とか、ひとつどころに集中できないのだろう、みたいなジェラシーです。しかしどの時代でもそうですが、やはり変わり続けた人こそか次のステージにいくもので、自分もそうありたいと思う今日この頃であります。noteにおける私はどうかな、なんて考えたりしちゃいますね。今日も最後までありがとうございました。

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