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鬼さん、あなたはいい人です。

トラウマになるほど怖いお面をかぶった鬼が現れて、それをみた子どもが大泣きをする。節分翌日のテレビの風物詩である。

きのう、テレビでローカルニュースを見ていると、幼稚園の豆まきイベントのレポートが放送されていた。でっかい大人が鬼のコスプレをして、子どもたちに襲いかかる。子どもたちは泣き叫び、豆をぶつける、かと思ったらマジで怖すぎたのかその場に立ち尽くして顔を上に向け、口をあんぐり開けて「わーん!」と泣いてる。

豆まきが終わったあとにインタビュアーが子どもたちに感想を聞いていた。

3才くらいの男の子が泣きながらインタビューに答えていたのだが、言っていたことがおもしろかった。


子ども「鬼さんにいいこと言ったんです」

大人「いいこと?」

子ども「うん」

大人「何を言ったの?」

子ども「鬼さん、大好きです。鬼さん、ぼくは悪いことしません。鬼さん、あなたはいい人です」


媚びている。

それもかなり練度の高い下卑た媚びだ。

3才にして「媚び」を覚えているわけではないだろう。人間はおそらく、自分よりも圧倒的に強い立場の人をみると、本能的に媚びてしまうものなのだ。

この社会の構造にも似ている。

インタビューをみて、なんてかわいいんだ、と思うと同時に「かわいかった」で終わらせてはいけない何かを感じる。

次の世代の子どもたちには、権力に媚びへつらった時点で負けるのだ、ということを伝えてあげたいかな。


〈あとがき〉
子どもを「これでもか」と言うほど怖がらせて、その様子を記録することに対して「大人のエゴだな」と思うことはないのですけれどと、毎年こういう動画が拡散されていいねを集めていますよね。やられるほうの子どもはたまったもんじゃないですよね。今日も最後までありがとうございました。

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