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100億企業の元カノの教え。

私のnoteに何度も登場する元カノは社長令嬢であり、いわゆる富裕層であった。

といっても、東証プライムに上場しているような大企業のご令嬢ではない。あくまで北海道という地方の、とある企業のご令嬢である。

その会社は、北海道内のとある業界の覇者であり、グループ売上は100億円を超える。税引前利益がどうなのかは知らない。


元カノのおじいちゃんとおばあちゃんで創業したらしく、当時は元カノのお父さんが2代目社長だった。おじいちゃんとおばあちゃんの家は大豪邸であったが、元カノの家はとても普通の家だった。

お付き合いを始めた当初、彼女がそういう立場の人間だとは聞かされていなかったのだが、付き合う中で

この前おじいちゃんのヘリコプターに乗ったときね」

と当たり前のように言うから「ん? 会話がギリ噛み合わないぞ?」と気づいたわけである。



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ビル・ゲイツが普通にコーラを飲むように、元カノもいたって普通の女の子であった。私がカス大学生だったときも、除籍になったときも、友だちの家に居候していたときも、元カノは私の恋人でいてくれた。

非常に愉快な女の子で、
今は海外にいるとかいないとか。



その元カノの話で、
いまも印象に残っている話がある。


今日はそれを紹介しよう。




「ねぇ、ダーキくん、おばあちゃんに昔話を聞いたんだ」

「え、なになに」

「昔といま、どっちが幸せ? って。そしたらなんて言ったと思う?」

「ふーむ」

「どっちも幸せなんだって」

「……ほげ」

「会社を作ったとき、周りに馬鹿にされたけど、おじいちゃんとおばあちゃんでがんばったんだって。でも最初はうまくいかなくて、貧乏だったんだって」

「ふむふむ」

「じゃあ、今の方が幸せそうな気がするけど、そこはどうなの? って聞いたらね」

「ほう」

「お金がないなら、ないなりの生活、あるなら、あるなりの生活になるだけだから、何も変わらないよ、って。だからいつでも幸せだって。一生懸命に働くことが大事だよって」

(えっぐ)

egg


よく本やら何やらで、お金という概念を超越した人たちの話が出てくることがある。彼らに共通しているのは、お金は目的ではなく、あくまで道具であり手段であると考える点だろうか。


その先にある目的がないと意味がない、と。


私は当時24歳とかそこらで、元カノからそんな話を聞かされた。いまもこの頭にこびりついて離れない。


ないなら、ないなりの生活。
あるなら、あるなりの生活。


ただそれだけ。



大学を除籍になり、ハローワークへ行き、仕事を探したと以前書いた。電話だけで営業する仕事を3年やったと書いた。ありがたいコメントに「3年続けたのはお給料がよかったから?」というものがあった。


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とんでもない。



その3年間のお給料は月の手取りが16万円にも満たない。年間賞与は10万円だった。年収換算したらいくらだ? 20代中盤でそれを3年やった。どうしたらいいかわからなくて3年やった。



すばらしい経験。


毎日本を読みながら、頭のどこかで元カノの話を思い出したものだ。


ないなら、ないなりの生活。
あるなら、あるなりの生活。



当時、そんなお給料だったのに、生活も心も豊かだった気がする。家賃2万円のワンルームに住み、しょっちゅうどこかに出かけた。好きな本も映画も見れた。松屋で牛丼を食べてうんこを漏らし、笑った。



「そんなこと、結婚して子どもがいたら同じことは言えないよ」


そうかもしれない。が、転職すればいい。もしくは一生懸命に働けばいい。心さえ豊かなら、どんな状況でも楽しめまいか。



「20代で若かったからできるんだよ」

そうかな?

でもそうかもなぁ、それぞれに事情もあるもんなぁ、価値観の押し付けだなぁ。



ただ、思うのは、



ないなら、ないなりの生活。
あるなら、あるなりの生活。



心さえ豊かならいつからでも豊かになれる。
何歳からでも遅すぎることはない。


60代でも70代でも、
80代でも90代でも関係ない。



ないならないで、恥ずかしげもなく、
一生懸命に求めればいい、とは思うけど。


<あとがき>
じゃあなにか、心が豊かじゃない場合はどうしたらいいんですか! という声が聴こえてくることはないでしょう。が、その場合はぜひ治療してください。頼るべき人にしっかり頼りましょう。この元カノとはそれぞれの就職のタイミングで離れ離れになり、やがて別れました。悲しかったです。今日もありがとうございました。

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