飛行機の中でバスの運転手を思い出す。
バスに乗客として乗っていると、バスの運転手がすれ違う車に片手をあげて挨拶する瞬間を見かけることがある。
誰に挨拶しているんだろう? と思ってすれ違った車をよく見れば、同じバス会社のバスで、こちらとしては「なるほど、同じ会社の人間だものね」と気づく。
この光景が全国共通であるのかどうかは分からないが、少なくとも私は過去に何度か見たことがある。
あの挨拶は、仲がいいからなのか、それとも単純に同じ会社にいるからなのか、またはただの慣習なのかは分からないが、あの光景をみたときの私の心持ちとしては、
なんだか胸が暖かくなる、気がする。
この記事はいま、福岡行きの飛行機の中で書いている。まもなく離陸。乗客のシートベルトの確認が終わり、いよいよ福岡へ飛び立つ。
私は目の前にあるJALの雑誌の中にある、まちがいさがしの答えが1個も分からなくてイライラしている。
と、思いながら顔を上げると、機内のCAさんが後方に向かって親指を立て、Goodポーズをやっているではないか。
おそらく機内の後ろには、
仲間のCAさんがいるのだろう。
こんな感じだろうか。
この光景をみたときの私の心持ちとしては、
いいね。
CAさん、快適な空の旅をナビゲートしてくださってありがとうございます。
…
この2つの光景。
つまり、バス運転手同士の挨拶、そしてCAさん同士のGoodポーズ。この光景をみて私が思ったのは、
やはり同じ組織にいる人間は、絆が強い。
当たり前なんだけど、バスの運転手さんが私に挨拶をしてくることはないし、CAさんが私に対してGoodポーズをしてくれることもまずない。
私が3才の男の子で、目がクリンとした可愛い子どもなら、もしかするとCAさんのGoodポーズをもらえるかもしれない。
が、私は32歳である。クサいのだ。
同じ組織にいる人間は、絆が強い。
ということを考えたとき、
また連想してしまう事柄がある。
学閥の結びつきだ。
東大OBには東大のコミュニティがあり、慶応には慶應の、立教には立教、関西学院には関西学院の、早稲田には早稲田の、ハーバードにはハーバードの。
コミュニティ、強い結びつきがある。
なんなら大学に通う目的は、コミュニティに属することが目的とも言えるかもしれない。なぜなら、それがハイクラスの大学であればあるほど、将来同じように日本を背負って立つ人材になることが確定しているからだ。
将来異なる企業に入ったとして、同級生なのだから出世スピードも同じようなもの。入る会社も似たようなもの。それが医者でも研究者でも同じ。
40代、50代となったときに、違う企業に同窓生がいるというのは、連絡もしやすくなる。仕事もしやすくなる。動きやすくなるのだ。
ドラマ『半沢直樹』の中で、銀行内の情報を教えてくれる役回りのキャラクターが登場するが、あれはドラマの中だけでなく、きっと現実世界でも存在する。
さて、
とはいえ、学閥があるのは一部の優秀な大学だけであり、なんらかの体育会に属していた、という人間同士の結びつきが強いものと思う。
学生時代の過ごし方次第で、
将来で大きな差がつく気がするのだ。
なぜなら同じ組織にいる人間は絆が強いから。
私の場合、大学時代は部活もサークルもやっていなかったし、授業にも出ていなかった。なんなら卒業をせず学費未納で除籍。
私には手を振る相手も、Goodポーズで親指を立てる相手もいない。それがどこか寂しい。
仕事を始めてからできたお友だちはいるし、組織にも属してきたけれど、やはり青春時代からの結びつきに勝るものはない、気がする。
ん?
なんだかこれを書いていて不安になった。
本当に学生時代の絆は必要か?
否、クソくらえである。
【関連】福岡までは2時間かぁ、遠いなぁ