![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/159727575/rectangle_large_type_2_db36af695f61f77a6e013dbaaf156246.jpg?width=1200)
こんな平凡な毎日が送れることなんて想像していなかった
小さな田舎町に住む平凡な主婦。
毎日、ごはんを作って、洗濯して、普段の掃除は掃除機ロボットにお任せ。家事は得意な方ではないけど、毎日なんとなく心地よく保てるぐらいの家事をして、平日はパートで働いている。スーパーやドラッグストアで買い物して、音楽聴きながらアイロンかけて、休みの日にはドライブしたり、時々おいしいものを食べに行ったり。
毎日そんなに変わり映えしないし、だらけることが大好きだし、きらめく生活ではない生活感に溢れた毎日。
だけど、そんな毎日が好きだなあと思う。
町を行き交う人を眺めながら、好きな音楽を聴いてスーパーへ向かう車の中。スーパーで今日の夜ごはんは何にしようかと考えながらぐるりと巡る時間。仕事をしに出かけていくこと。小さなミスは多いけど、好きな仕事が出来ていること。この私が働いている!今日あったなんでもないことを話せる相手がいること、くだらないことで笑えること。
うっかりが多いし、この年になってやっと肩の力が抜けて、人と話すことにほんの少し慣れて楽しさを見出せるようになってきたばかりだし、食べても食べても太れなかったのに、食べた分だけお肉に移行するようになったし、悩み事もある。ずっと変えたいと思ってたけど変わらないところがたくさんあるし、自分にがっかりすることもある。理想の自分には全然手が届いていない。落ち込むことも不安になることもある。
でもそんな自分のダメなところも「大丈夫」とまるっとぎゅーっと出来るようになった。
高校生になった頃の私は、変な大きな自意識がむくむくわーっとふくらんで人とうまく話せなくなっていた。きっかけは中学生の頃にあるのだけど、人からどう思われるかばかりを気にしていた。
その頃は本当に些細な言葉や態度で傷ついていて、落ち込んで1人で泣いたり自分を責めてばかりいた。学校で1人で過ごす勇気も持てず、だんだんと学校に行けなくなってしまった。これからどうするかも考えられないまま、高校は辞めた。
高校を辞めることになるなんて全く想像していなかったから、先が見えず真っ暗闇の中に入り込んでしまった気がしていた。いろいろもがいて明るい方を目指そうとしていたけど、もがけばもがく程、暗い深い方へと沈み込んで行っているように感じてた。
そんな毎日が数年。苦しかった。
もがいても失敗ばかりでどうにもならないと思っていたけど、そのもがいていたことは無駄じゃなかったようで、好きなことや音楽や家族を支えに、なんとか少しずつ無理だと思っていた壁をよじ登ることが出来るようになっていた。あきらめなければ出来るんだ、と実感した。
長く家にこもっていた。
失敗して転んでは長らく動けなくなり、なんとか気力を取り戻してまた少し進んでみては失敗して、またしばらく動けなくなり……の繰り返しで、何年もの長い時間を無駄にしたように思ってたけど、無駄ではなくて必要な時間だったのかもしれない。ずいぶん遠回りしたけど、あの頃があったから今があると思える。
外に出るのがこわかった、人と会うのが話すのがこわかった、働くことがこわかった、生きていくことがこわかった。
心の底から望んではいたけど、自分には無理なんだとあきらめて想像すらしていなかった、平凡な暮らしがある生活。
だから今、毎日外に出かけていることがうれしい。スーパーで買い物してる時にふと、幸せだなぁと思う。好きな仕事をしている時、職場の人と話をしてる時、家に帰れば家族がいること、なんでもないことで笑える毎日。
こんな平凡な毎日が送れるなんて、
想像していなかった。
これから先、また真っ暗闇に迷い込んでしまうこともあるかもしれない。でも、あきらめなければ明るいところへ辿り着くことが出来ると知ったから、もがきながらもきっと、明るい方へと向かうのだと思う。