さよなら、墨黒リネンコート

ついでにと口実をつけて
止まらない甘いおやつ。
くろねことしろねこ。
思い浮かべて手に取るそれは。

---

何年か前に私の元へとやってきた墨黒のリネンコート。袖部分は折り返すことが出来て、折り返すとストライプの留口が出てきて、七分袖でも着られた。軽やかで、厚手のニットの上にもさらりと羽織れて、お気に入りで秋から冬まで大活躍だった。

いつも左肩にショルダーバッグをかけているから、気がつくと左肩のところがすれてピリリと裂けてしまっていた。仕事帰りに羽織ろうとして気付いて、「あ！」と大きな悲しい声が思わず出てしまった。

繕って直してみようかなと、針を手にしたけれど、裂けてしまった周辺もすれて薄くなってしまっていたので、繕っても周りがまた裂けてしまい、私の手では修復できず泣く泣くさよならすることにした。もう十分過ぎるほど活躍してくれていたので、さよならする時期だったんだろう。

リネン生地でくるまれたボタンをひとつずつ外して裁縫セットの中へ。こんな風に残してしまうから、物がなかなか減らせない……。

リネンのコート。お気に入りだったから、またいつか欲しいなぁと思う。次は墨黒ではなくて、カーキやベージュがいいな。ベージュのコートにはずっと憧れがあるんだけど、試着してみると似合わなくて違和感があるんだよね。憧れはあるのに。

さよならしたリネンコート。冬もニットの上に羽織る日があったし、何より少し肌寒い日ぐらいの時にちょうどよくてたくさん着ていた。
今日は、少し肌寒かったけど春の気配もちらりと感じる朝だった。リネンコートに代わるちょうどいいアウターがなくなってしまったので、ニットカーディガン（ニットガウン？）を来てストールだけ巻いて出たのだけど、仕事が終わった夕方外に出ると、また寒くなっていた。
たこ焼きが食べたくて、たこ焼き屋さんの前でしばらく並んで待っていたら寒い寒い。
さよならしたリネンコートがまた恋しくなってしまったのでした。