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【開催報告】アオサのり養殖編_教えてこだわり職人さーん!きほくこだわり塾(2021/03/14)
こんにちは。紀北町地域おこし協力隊の豊川です。
今回は、3月14日に開催されたオンラインイベント「きほくこだわり塾(アオサのり養殖編)」の様子をお届けしたいと思います。
開催概要
2021/03/14(日)10時半~11時 テレビ会議システムZoomにて配信。
1.第3弾のテーマは「アオサのり養殖」
今回のオンラインきほくこだわり塾は、紀北町矢口浦(きほくちょう・やぐちうら)からの中継。
矢口湾で色や香りが良い高品質なアオサのりを養殖している西村友一さんから、アオサのり養殖について学びました。
当日のZoom配信には、日本各地のお子さんや大人だけでなく海外在住のお子さんも参加して下さり、賑やかなきほくこだわり塾となりました。
2.当日の配信は、美しい「海上の青いじゅうたん」を眺めながら。
今回の配信現場は、この時期にしか見ることが出来ない「海上の青いじゅうたん」と呼ばれるアオサのりの養殖場。
配信の数日前は嵐のような天候でしたが、当日は晴天に恵まれました。参加者さんに美しい景色をお見せできて良かったです。
3.今日学ぶこと
【1】アオサのりって、どんな食べ物?
【2】アオサのりって、どんなところで、どうやって出来るの?
【3】西村さんオススメのアオサのりの美味しい食べ方は?
きほくこだわり塾の司会・はまちゃんとアシスタントのそうし君のご挨拶で、Zoom配信「きほくだわり塾・アオサのり養殖編」がスタート。
最初に、はまちゃんが「紀北町ってどんな町?」と町の解説。
その後、アオサのり養殖場からの中継となり、西村さんの講義が始まりました。
【1】アオサのりって、どんな食べ物ですか?
西村さん(以下、敬称略) アオサのりは、アオサ目(あおさもく)ヒトエグサ科の海藻です。
アオサ目なので「アオサ」と呼ばれています。地域によっては「アーサー」と呼んだりしています。
色は緑色です。ミネラルが豊富で、海の緑黄色野菜とも言われています。
最近では、アオサのりに「ラムナン」という成分が含まれていると分かり、その成分を活かして飴なども商品開発されています。
西村さんが育てたアオサのり。色良く、ツヤがありますね。
【2】アオサのりは、どんな所で作っているんですか?
西村 アオサのりは、外海ではなく内海(山々に囲まれ波が穏やかなリアス式海岸)の矢口湾(やぐちわん)で育てられています。
ーーアオサのりは、どんな風に育つんですか?
西村 アオサのりは、水温の変化や、1日1回海水に浸ることと乾燥を繰り返して、下に向かって伸びて成長していきます。海に浸かりっぱなしでは伸びないんです。
ーー潮の満ち引きも必要なんですね。
西村 そうですね。アオサのりは自然界の働きで育っていくんです。だから、海苔網を張る高さも潮の満ち引きを考えています。
ーー種付けは、どんな風におこなうのですか?
西村 9月ごろ、海水温が27℃を下回ると矢口の湾内にアオサのりの胞子が浮遊します。
胞子は、くっつく場所を探しているので、浅瀬に網を張っておくと網に胞子が付くんです。それが種付けです。
網に種が付いたら、杭を打って網を張り固定します(杭打ち)。
ちなみに、この杭は尾鷲(おわせ)ひのきの間伐材を使っています。使用している材料も自然のサイクルに合ったものを使っています。
そして、10月11月になるとアオサのりが育ち始めます。収穫期は1~3月ごろです。
参考写真:上部写真は、12月初旬の矢口湾。アオサのりは生育途中なので、網の色がそのまま見られます。
1月から3月の収穫期になると網はアオサのりに覆われてグリーン一色となり、海上の青いじゅうたんが現れます。
ーーどんな風に収穫するのですか?
西村 これが収穫船(〇印)です。
西村 収穫船に乗って網の下をくぐって、網の下に伸びたアオサのりを刈り取っていきます。
昔は手摘みだったのですが、今は機械で刈り取ります。
アオサのりは、下に伸びた部分を刈り取った後も網に付いているアオサのりが伸びてくるので、同じ網から2~3回収穫することが出来ます。
ーー収穫したあとの工程は?
西村 収穫した後は、洗浄です。
山から流れてきた葉っぱなどの海の浮遊物がアオサのりに付いてしまうことがあるので、海水で洗って浮遊物を取り除きます。
洗浄機の横にあるのが、浴槽です。
浴槽には、洗われたアオサのりと海水が流れてきます。浴槽ではアオサのりについていた浮遊物が浮いてくるので、それを手作業で網ですくい取ります。
ーー手作業ですか?!
西村 はい。地道な作業ですが、アオサのりを少しでも綺麗にするためにやっています。
この後は矢口浦のアオサのりの特徴的な工程となります。海水洗浄のあと、真水でもう一度洗います。
ーー真水でも洗うんですね。
西村 真水で洗うことによって海水の塩分が抜けて、アオサのり本来の香りを楽しむことができ、色やツヤが出やすくなります。
真水で洗ったアオサのりは「水洗い」と呼ばれて、希少性が高い商品となります。
ーー希少性が高いんですね!
西村 はい。全てのアオサのりが真水で洗えるわけではないんです。
真水で洗えるのは、色が良いアオサのりだけです。矢口浦のアオサのりは、その基準をクリアしているアオサのりなんです。
ーー洗浄の次は?
西村 高速脱水です。一般の洗濯機の回転数が1分間600回転と言われています。この高速脱水機は、1分間に5000~6000回転。
高速回転で水分を飛ばして、少しでも早く乾燥するようにします。脱水した後に、乾燥の工程になります。
【3】西村さんオススメのアオサのりの美味しい食べ方は?
西村 定番の食べ方は、お味噌汁に入れる。
そして、皆さんはあまりご存じないと思うんですが、『のりの佃煮』の主原料はアオサのりなんですよ。なので、佃煮も美味しいです。
最後は『地元の漁師飯』的な食べ方ですが、ふりかけです。アオサのりを火で軽く炙ってパリパリにしたものを手で揉み合わせて粉々にします。
粉々にしたアオサのりをご飯にふりかけて、お醤油を少し垂らして食べます。火で軽く炙ることによって香りもたって美味しくいただけます。
ーー私は、しらすのリゾットにアオサのりを入れてみたのですが、すごく美味しかったです。
西村 パンに練り込んだり、パスタに入れても美味しいらしいです。お料理のトッピングにすれば栄養価も高まりますね。
4.お子さん達からの質問
西村さんが参加者さんからの質問に答えます。
Q. なぜ、真水で洗うと美味しくなるのですか?
西村 海水洗いだけだと、アオサのりに塩分が付いたまま乾燥させることになります。塩分はくすみの原因になり、アオサのりに海水の匂いもついてしまいます。
色ツヤや香りが悪くなる原因の塩分を真水で洗い流すことで、アオサのり本来の色や輝きが出て、香りも良い美味しいアオサのりになるのです。
Q. アオサのりをお味噌汁に入れて煮て食べているのですが、あとで入れる方がいいですか?
西村 煮てしまうとアオサのりの色が変色し、黒くなってしまいます。見た目が良くなく、香りも飛んでしまう。煮ないで、最後にお味噌汁に入れてもらうのがいいと思います。
Q. 地球の温暖化のアオサのりへの影響はありますか?
西村 温暖化の影響が直接あるかどうかは分かりませんが、黒潮大蛇行という現象があり、そのためにこの地域の海水温も上昇気味です。
海水温が高くても、この地域は雨が多く降るので雨が海水温を下げてくれていましたが、今年は雨も少なくて苦戦気味ですね。自然環境の変化をダイレクトに受ける仕事です。
黒潮大蛇行:四国・本州南方を流れる黒潮には、大きく分けて2種類の安定した流路のパターンがあります。黒潮が大蛇行流路となって流れている状態を、黒潮大蛇行と呼びます。黒潮大蛇行が発生すると、蛇行した黒潮と本州南岸の間に下層の冷たい水が湧き上がり、冷水塊が発生します。(気象庁HPより一部引用)
Q. 収穫の際、アオサのりは破れたりしませんか?
西村 アオサのりは網の下に垂れ下がって伸びていきます。垂れ下がっている部分を刈り取るので、破れることはないです。
Q. 様々な海苔がありますが、アオサのりと他の海苔の共通点や違う点は何ですか?
西村 海藻という括りでは、アオサのりは黒のりと同じ部類になります。他の海藻には、ヒジキがあります。ヒジキは、磯の岩場や崖から採取します。
矢口湾のアオサのりの養殖の特色は、矢口湾の天然の胞子を使って育てて収穫し、その育ったアオサのりから出た胞子で次のアオサのりを養殖していることです。完全循環型の養殖です。
5.プレゼントタイムと講師からのメッセージ
お勉強と質問コーナーが終わると、お待ちかねのプレゼントタイムです。
司会のはまちゃんの厳選なる抽選の結果、5名のかたに美味しいアオサのりが贈られました。
最後に、講師・西村さんからメッセージです。
今日は色々とありがとうございました。
慣れないZoom配信を使ってお伝えさせていただきました。本来であれば、お顔を合わせてお話しさせていただきたかったですが、こういう状況ですので、新しいチャレンジとして色々と試していくのは大切だと思いました。
ひとつお願いがあります。もし、スーパーでアオサのりを見かけることがあれば、「西村さんがいろいろ話してくれたなぁ」と生産者の顔を思い出してもらえたらいいなぁと思います。
そして、アオサのりを食べて、紀北町のことを思い出したり、自然環境の大切さなどを考えるきっかけにしていただけたら嬉しいです。
楽しい学びの時間はあっという間に終わり、最後は司会のはまちゃんのまとめで、きほく・こだわり塾第3弾「アオサのり養殖」編は無事に終了しました。
6.最後に
第3回目のオンラインイベントも、参加者の皆さんに温かく見守っていただき、無事開催することが出来ました。ありがとうございました。
今回の『アオサのり養殖編』は、海藻や海苔が好きのお子さんがたくさん集まって下さり、質問コーナーも盛り上がりました。
「現地からの配信は、自然の豊かさが良く分かった」「食べてみたくなった」等、嬉しい感想をいただきました。
「現場で見れない工程は、映像などがあると分かりやすいかも」とご意見もいただいたので、今後の改善課題とさせていただきます。
「移動が気軽に出来るようになったら紀北町を訪れたい」というお声もいただき、主催一同、大変うれしく思っています。
参加していただいた皆様、ありがとうございました!またZoomでお会いできるのを楽しみにしています。
以上、きほく・こだわり塾第3弾「アオサのり養殖」編の開催報告となります。最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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