vol.12「なんでもやってみる価値はある」株式会社デアルケ 石橋一希さん
僕は、前職のとき、入社2年目で研修担当になりました。
目上の人にも教える立場になり、最初は大変でしたがやっているうちに楽しくなってきたんです。
最終的には新たな発見もあって、僕にとって大きな転機になりました。
「きほくる | 紀北町魅力ナビ」にお越しいただき、ありがとうございます。
今回の「しごとカード」インタビューは、株式会社デアルケで働く 石橋一希(いしばし かずき)さん。
石橋さんは大阪府から紀北町に移住し、株式会社デアルケに入社。デアルケが指定管理者となっている『道の駅 海山(みやま)』で働いたり、トマト栽培に携わっています。
新卒で入った会社を辞めてみたけれどやりたいことが見つからない焦り、思い切って移住しチャレンジした農業での気づき、など
20代らしい悩みや仕事を通じて自分を知っていくプロセスを、時々照れながらもしっかりと話していただきました。
この記事は「しごとカード」に登場していただく“紀北町で働くひと達”に、地域おこし協力隊の豊川がインタビューしていくシリーズです。
あなたは、どんな風に働きたいですか?どんなところで、どんな人たちと働きたいですか?
あなたが、自分に問いかけ、自分の中にある答えと出会っていく。そのきっかけに、この note がなれたら嬉しいです。
1.この大学を選んだ理由
ーーこれまでの経緯を教えて下さい。
石橋さん(以下、敬称略) 平成4年(1992年)生まれ、愛媛県で生まれて数年で大阪府堺市に引っ越しました。堺市は大学を卒業するまで過ごしました。
ーー大学の専攻は?
石橋 観光系です。旅行が好きということもありますが、大学の志望動機は…
女の子がめちゃ多いからです。
ーー女子率!(笑)
石橋 恥ずかしいですが、正直な動機です。観光大学はエアライン専攻があるので女子が多いんです。
ーーなるほど。女子率以外にも何か決め手はありましたか?
石橋 大阪にはUSJ(ユニバーサルスタジオジャパン)があり、テーマパークで遊ぶうちに『ひとを喜ばせる仕事』に就きたいなと思うようになりました。
あとは、大学説明会で大学の先生と話していて、先生が「君、ここに合ってるよ!」と言ってくれて「そうなんだ!」と思って入学したんです。
ーー先生のお墨付きがあったんですね。
石橋 でも、後々聞いたら、その先生はみんなに同じことを言っていたみたいです(笑)
2.うまく伝えなくてもいい。
ーー最初の就職(仕事)は?
石橋 僕は就活にとても苦労して、内定が出たのは4年生の2月。就職先は飲食店やホテルなど幅広く運営している会社でした。
その会社は礼儀に対して厳しく、お客様との状況によってお辞儀の角度が15・30・45度と決まっていました。
ーー厳しいですね。
石橋 入社1年目は教わったことを毎日の業務でおこなうだけだったのですが、2年目は教える立場になったんです。
ーー2年目で?!
石橋 はい。入社2年目の僕が、目上の方々や新入社員・大卒・高卒すべての立場の人たちに研修することになって…
最初は大変でしたが、やっているうちに楽しくなってきたんです。
ーー「大変」が「楽しい」に?!
石橋 そうなんです。それは僕にとって大きな変化でした。
ーーその他の変化は?
石橋 僕は、指導する立場になった当初はうまく伝えようとしていました。
でも最終的には、うまく伝えなくてもいいと思えるようになったんです。
ーー何かきっかけが?
石橋 僕は経験や技術は少ないけれど、ついこの前まで自分も新入社員だったから、新入社員の気持ちは良く分かる。
そこに寄り添っていくことが、今の自分に出来ることだなと思えたんです。
それらの経験をきっかけに「なんでもやってみる価値はある」と思うようになりました。
3.何か困っていることはありますか?
ーー研修担当の次は?
石橋 現場に入って、出来ていないことを改善していく役割になりました。
接客以外に清掃や客室管理も担当し、現場には20~30名のスタッフさんがいて、中には50代~70代の方もいました。
僕よりもかなり年上の人に出来ていないことを伝えたり、教えたりするのは本当に苦労しました。
ーーなにか気をつけたことは?
石橋 毎日スタッフさんに「何か困っていることはありますか?」など、少しでも声をかけるようにしました。
ある程度の関係性が出来ていないと、年上のスタッフさんに改善を求めたときに言い合いになったりすることがあるんです。
お互いに良い関係で仕事をスムーズに運ぶためにも、コミュニケーションを大事にしました。
4.やりたいことが見つからない。
ーー前職は充実していたようですが、辞めた理由は?
石橋 僕は前の会社に4年間居ました。
楽しくやりがいもあったのですが、労働時間が長く勤務地が山奥だったこともあり、羽を伸ばしたくなったんです。
簡単にいうと、遊びたかった(笑)。
ーー何歳のときですか?
石橋 26歳です。お金は貯まったんですが、全然遊んでいませんでした。
ーー退職後は?
石橋 僕は旅行が好きなので、色々と旅しました。島が好きで、鹿児島の離島とか、沖縄とか。
海外だと、東南アジアとかオーストラリア等に行きました。旅行していたら、やりたいことが見つかるかなと思って。
でも、結局、見つからなかったんです(笑)。
そして、どんどん気持ちが落ちていきました。
ーー焦りますね。
石橋 そんな時、大学時代からお世話になっているメンターと話す機会があって…
僕が「食に興味がある」と話したらメンターも同じように興味を持っていて、会話の中で「農業も食に繋がっている」と気づいたんです。
その後「食関連の仕事に就きたいな」と思って、その年の12月に開催された一次産業フェスタに参加しました。
そこで、デアルケの社長と出会いました。27歳の12月でした。
ーー社長との出会いですね。
石橋 はい。社長は明るい方で、デアルケの仕事を「すごい楽しい仕事やで!」と仰っていました。
「まずは、紀北町に遊びにおいで」と言ってくれて、その後2、3回、紀北町に遊びに行きました。
ーー紀北町に来られていたんですね。
石橋 そうなんです。でも「いざ、就職」となるとなかなか決められず…
ーー紀北町では、どう過ごしていたんですか?
石橋 デアルケの農場を見学させてもらったり、地域の案内をしてもらったりしました。
紀北町に何度か遊びにいくうちに、地域おこしや自然にも興味が湧いてきて…
『デアルケの仕事が自分がやりたいことにマッチしているのかも』と思い始めました。
ーー就職・移住の決め手は?
石橋 「これ以上仕事をせずに過ごすのは無理だ」と思って、「もう決めよう!」という気持ちになりました。
ーー覚悟が決まったのは、いつ?
石橋 3月ぐらいだったと思います。決めて、すぐに紀北町に引っ越しました。
5.トマトを作って分かったこと。
ーーデアルケ入社後は、どんな風に働いたのですか?
石橋 最初は、トマト栽培に携わりました。先輩に付いて、水やりの仕方とかトマトの収穫、葉っぱを取る作業をしました。
全く初めての農業なので、先輩からよく叱られました。
ーーどんなことを叱られたのですか?
石橋 そもそも、社長や先輩のトマトに対する思いや熱意はとても強くて、当時の僕の感覚とは全く違っていました。
その思いの差が、仕事の失敗に繋がってしまうこともありました。作物を育てるには熱意がないとダメなんだということを実感しました。
熱意が、味や産品の出来につながってくるんです。
道の駅海山 テイクアウトコーナー
ーー道の駅みやまの業務に入ったきっかけは?
石橋 自分は調理とかやったことがなく苦手で、まずはトマト栽培に携わりました。
そのうち、夏になってトマトの収穫がなくなり道の駅が繁忙期に入ったのもあって、僕は道の駅の運営に携わるようになりました。
6.ひとと関わるのが好きなんだ。
ーー道の駅の仕事は、ホテル業務と似てるような気がしますが?
石橋 そうですね。道の駅で働いていて「自分はひとと関わるのが好きなんだな」と分かりました。
それは、接客やサービス業から一度離れてみて改めて気がついたことです。農業を一度体験したからこそですね。
ーー他に、トマト栽培を経験したからこそ…という点はありますか?
石橋 僕は実際にトマトを作っていたので、どんな思いでどんな風に作られているトマトなのかを、しっかりとお客様に伝えることが出来ます。
僕が接客して、お客様がトマトに興味を持って下さったり購入して下さるのは嬉しいです。
道の駅海山の店内には、デアルケのトマトやジュース、ジャム等が並べられています。
ーー仕事で一番うれしかったことは?
石橋 先日、遠方のお客様がトマトを試食されて「美味しいね!」と購入して下さいました。
その後も何度か道の駅に立ち寄って下さり、その度にトマトを購入して下さいました。
何度もいらしていただき、色々とお話しも出来てとても嬉しかったです。
トマトを通じて、お客様と関係性を築けるということが楽しいと感じています。
ーーこの仕事で大切にしていることは?
石橋 トマトの美味しさを、出来るだけ多くのひとに伝えることです。
いくら美味しいトマトを作っても、それを伝える手段や販売する手段がなければトマトは余るだけです。
どうやったらトマトの美味しさを伝えられるか、1日の納品数を売り切ることが出来るかを毎日考える。
美味しさを伝えること、販売していくことを大切にしています。
7.自分を前進させるもの。
ーー仕事をする上でいつも心に留めていることは?
石橋 先輩や目上の方は、僕がごまかしていることが分かります。見抜かれる。
だから、ごまかせばごまかすほど事態は悪化する。だったら、正直に話して、叱られるなら叱られた方が話は早い。
そう思うので「正直でいること」を心がけています。
ーー石橋さんにとって、仕事とは?
石橋 うまく伝えられるかどうか分かりませんが…
僕は今は具体的な夢や「これがやりたい」と強く思うものはありません。
でも、仕事を通じて「これに取り組もう」「このことを考えよう」という状態になっています。
今は「トマトをより多くの人に届ける」ということが、僕の取り組みです。
具体的な夢がなくても、仕事を通じて自分自身が少しずつ進んでいる。
だから、僕にとって仕事とは「自分を前進させてくれるもの」だと思います。
片上池(かたかみいけ)
8.「これ!」というものが1つあるといい。
ーー紀北町で働いてみて気づいたことは?
石橋 僕は自然が豊かなところが好きなんだなって分かりました。紀北町は空がすごく綺麗ですね。
ーー紀北町で好きな場所は?
石橋 片上池(かたかみいけ)です。ランニングコースになっているので良く走っています。
大阪だと建物に囲まれた場所しか走れないけど、紀北町は気持ちよく走れていいですね。
片上池(かたかみいけ):長さ2.15kmの二級河川片上川の下流で広い所を片上池と呼んでいます。片上池は汽水で、周りには桜が植えられていて、片上池を一周できるウォーキングコースもある。(三重県北牟婁郡紀北町東長島)
紀北町観光協会HP参照 https://kihoku-kanko.com/see/856/
ーー紀北町に来て1年経ちましたが、これからどんな風に過ごしたいですか?
石橋 友だちを増やしたいし、彼女を作りたいです。
ーー読者のみなさん、石橋さんは彼女募集中です!
石橋 よろしくお願いします(笑)。
ーー二十歳の頃の自分に声をかけてあげるとしたら?
石橋 「時間を無駄にしないで!」かな。
大学時代、僕は積極的に先輩と過ごすようにしていたのですが、今思うともっと色んなことが出来たんじゃないかと思うんです。
だから、「時間を無駄にしないで、いろいろやるといいよ」と声をかけてあげたいですね。
ーー仕事選びについて、何が大切だと思いますか?
石橋 自分の軸というか、明確なものが1つあればいいと思います。
不純な動機でもいい。なんでもいいと思うので、「これ!」というものが1つあるといい。
僕は、大学の面接で志望理由を聞かれたとき「女性が多い」と言いましたから(笑)
ーー「正直でいること」を実践してますね!今日は石橋さんのお話をうかがいながら、若い頃の感覚を思い出しました。貴重なお話をありがとうございました。すてきな彼女さんが出来ることを祈っています!
【株式会社デアルケ 石橋一希さんからのメッセージ】
・なんでもやってみる価値はある。
・コミュニケーションを大事にし、少しずつ関係性を構築する。
・仕事とは、自分を前進させてくれるもの。
・時間を無駄にしないでいろいろやるといいよ。
・「これ!」というものが1つあるといい。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
今回の 株式会社デアルケ 石橋一希さんのお話はいかがでしたか?
あなたの中にある仕事に対する思いや大切にしていることを感じるきっかけになったら嬉しいです。
(取材先情報)
株式会社デアルケ
〒519-3204 三重県北牟婁郡紀北町東長島347-4
https://dealke.com/
道の駅 海山(みやま)
〒519-3406 三重県北牟婁郡紀北町相賀1439-3 TEL: 0597-32-3553
https://michinoeki-miyama.com/
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