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東チベット医療事情 犬に噛まれた対処法
体験談、言います。
医療事情と題打ったが、チベットの医療に関する知識も事情も、全く知らんので、あくまで、限られた、犬に噛まれた時の個人的な体験談です。
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何年か前、東チベット アムド地方に居た。
もう地名は忘れたが、ある小さな街を訪れ、その街から少し離れた丘にある、小さな集落を散歩している時の事だった。
その集落に人気はなく、奥へ進むと、どこの家にも、大きな敷地の門周辺には大きな犬がウロウロしていた。
多くは鎖に繋がれていたり、門の内側に居たのだ。
犬が好きな俺の警戒感は低かった。
それが、災いしたのだ。
門の外にいて、鎖に繋がれていない犬に、本気で追いかけられた。ラブラドールの倍近くもある大型犬だった。
大型犬の本気は怖い。
ダッシュで逃げたが(これがイカンかったかも)軽々と追いつかれ、足首をガブッ〜とイカれた。
分厚いブーツとデニムを履いていたのでダメージは少なかったし、血も出ていなかったので大丈夫とは思ったが、赤く歯形がついていたので、俺は集落を早々に退散した。
狂犬病
その言葉が真っ先に頭をよぎった。
たしか、
狂犬病発症後の致死率は、100%だったよーな気がする。
致死率、100%は、さすがにマズイ。
すぐに、近くの街で、病院を探した。
犬に噛まれた時の狂犬病ワクチンが効くのは24時間以内だったか、時間の猶予が無い記憶があったのだ。犬に噛まれるとはマヌケと思うかもしれんが、東チベット、または、中国では、犬に噛まれる事は珍しい事ではない。
で、地元民に「病院は何処?」と聞きまくり、探し当てたのが、アムチ(チベット医学・チベット医)の薬局だった。
違ーーーう
俺がその時必要としていたのは、東洋の深遠な伝統ある医学じゃなく、最新の西洋医療であって、狂犬病の対応なのだ。
そもそも、アムチの薬草が、狂犬病に効くのか?
こりゃ、あかん、と思い、
すぐに宿に戻り、
大急ぎで、近くの大き目な街へとバスで向かった。
大きな街に着くと、病院を探した。
見つけ出した病院は、
なにかの施設級にデカイ外見とは裏腹に、誰もいなく、
廃墟のような建物だった。
「医者を呼んでくり〜」
警備員だか、その施設を訪れていた漢民族にだかに、俺は言った。
親切な男だった。
携帯電話で医者に電話してくれたのだ。
「○○時に来るよ」と言われ、
その時間は、一時間ほど後だったので、待つ事にした。
そして、現れたのが女医だった。
チベット民族衣装チュバを着た、チベット族の、女医。
俺は言った。
「犬に噛まれたのじゃ」
女医は大きな建物の一室に入り、
散乱した室内の椅子を指し、
そこへ座れと、俺を促した。
足元には、割れたガラス片が散乱していた。
ここ、ヤバクない?
しかし今は、そんな事も言ってられんので、
俺は全てをゆだねる事にした。
女医は慣れた様子で、医療棚から注射器を出し、一枚の書類を出した。
何が書かれてるかさっぱりだが、とりあえず、サインしろという事らしい。
たぶん、狂犬病ワクチンの注射なので、なんらかの同意書なのは確かだったので、サインを済ますと、腕を出し、肩にブチッと注射を打たれた。
どーやら、やはり、犬に噛まれる人は多いよーで、俺の後に入ってきた人も、犬に噛まれたと言って、注射を打っていた。
これで、一安心。
医療施設で、狂犬病ワクチンを打った後、
昼飯を食いに行った。
昼飯をローカル食堂で思いっきり食った後、
その街で宿を見つけ、ゆっくり静養する事にした。
・・・で、その1時間後。
もろ、吐いた。
その街が3000mに近い高地だったので、
急いで慌ただしく移動していたので、
高山病になったか、
ワクチンの拒否反応か、
食中毒か、
何かは分からんが、
胃液がでる程、吐いた。
これは、きつかっただよ。
寝れば治ると思い、
なんとか寝る事にしたが、
寝れないほど調子が悪かったので、
風邪薬を飲んでみた。
風邪薬なら眠くなるだろうという計画だったのだ。
もはや、何がなんだか分からないが、
とりあえず、眠りには落ちた。
で、起きてみたら、
治っていた。
しかし、「狂犬病のワクチンは複数回、規定の期間を置いて打たなければ、意味がない」とネットではあった。
なので、急遽、予定を変更し、
中国の大都市、成都へと舞い戻ったのだ。
それからが、大変だった。
中国都市部の大病院といえば、休日のディズニーランド級に混み合っているのだ。そりゃ、もー、何の祭りの最中だってほどに混む。
俺が向かった大病院も、中国の人口の多さを嫌というほど感じさせる、クソ混雑だった。
こりゃ、病気になるわ
そう思い、ゲストハウスのスタッフに、周辺の小さな病院を聞き、探しまくった。犬に噛まれた、と言ったところ、すんなり通じ、二軒探したとこで、無事、ワクチンを打てた。
帰国後、安心安全な日本の病院で、最後のワクチンを打ち、
無事、終了。
この仕事も楽ではないよ。