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黄黒真直
2021年8月28日 21:42
カーマインは幼い頃から、星を見るのが好きだった。 色とりどりの星々の瞬きを見ているだけで、何時間でも過ごすことができた。 空を巡る双子の衛星の追いかけっこは、朝まで眺めることができた。 やがて成長し、科学の本を読み漁る年齢になると、カーマインは思った。 いつかあそこへ行ってみたい、と。 気が付くとカーマインは、それより遥か先へ行く日々を送っていた。*** 壮年と呼ばれる年齢
2021年8月7日 23:54
天気予報に得点制が導入された。予報の精度を上げるため、国民が正誤を投票することにしたのだ。しかし実際には精度は上がらず、代わりに彼らは曖昧な予報ばかりするようになった。ついには「明日は明日の風が吹く」などと言い出したが、この予報すら外れた。翌日は、今日と全く同じ天気だったのだ。
2021年8月1日 14:30
「S博士、お呼びでしょうか」「おお、待っていたぞ、C君。実は、例の平成の頃に書かれた古文書が、ついに解読できたのだ」「えっ、本当ですか!」「この古文書は、ほとんど同じ内容のものが全国でいくつも見つかっている。これの解読は千年前の人達の生活を知るのにきっと役に立つ……と思ったのだが」「だが?」「解読できたのに、結局何が書いてあるのか、さっぱりわからんのだ」「どういうことですか