麗捨山プロトタイプ
そこは“廃棄場”と呼ばれていた。
金色の月、紺碧の空…。漆黒のシルエットを産み出すのは、うずたかい瓦礫の山。
不規則に並び立つその山々をも見下ろせる高みに、彼女はいた。
虚空に腰掛けて、彼女は言う。
「今宵も面白きこと無き哉」
老い枯れた言い回しを、うら若き少女が発する不自然さ。
しろがねの輝きを帯びたボロに身を包む奇異と併せ、彼女というひとを表していると言えた。
彼女は、気がつけばそこにいた。
親はなく、友も、知人もない。
経た年月に意味はなく、幾千年の記憶の限り、彼女は姿を変じていなかった。
そのようなものを、果たしてひとと呼んでよいものか…。
ともあれ、彼女は独り、虚空に座っていた。
張り付いて動かぬ三日月を眺め、ただ、じっと。
「なぁ、月よ」
呼びかけが返った試しはない。故に、これは独り言であった。
「わたしは…何者なのだろうな」
一際輝く星の目と、薄く輝く月の口が、笑い顔を作っていた。
それは“廃棄場”の日常だった。
『麗捨山(うらすてやま)』
目次(候補):
『願い事』
『プラント計画』
『騒擾罪』
『g』
『とおつおや』
『キミを 』
今日も発掘してみました書きかけ小説。タイトルは『麗捨山』です。姥捨て山とかけているのは確定的に明らか。
そこそこ設定は出来ていたのですが、なぁんか乗り気になれなくて、お蔵入りとなっています。そのうち仕上げたいですね。言うだけならタダです。
しかし、この世には既に『麗捨山』という作品が公開されてしまっています。ゲームという形で。
誰だ…? 誰だ…? 誰…?
あ…オレだった…!
プロのライターが書いてくださったゲームレビューもありまぁす!
へばな。
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