71の応募事情。
もしかして私は、
「求人応募中毒症候群」という病かもしれない。
これが最後、これで最後と言いながら、
またもや、応募してしまった。
前職と全く同じような若者研究員だらけの
大学発ベンチャー企業である。
見事に断られた。バッサリ。
「協議、審議した結果、大変残念ですが、、」
と、書いてあった。
まあ、この結果は想定内だ、、、、。
協議と審議。
協議とは、その方向性を議論する。
審議とは、その結論を議論する。
さすが高学歴。
このふたつの言葉を用いた会社は、
今までで初めてである。
どうせなら、意見を出し合う意味の
「討議」も書いて欲しかったわ。
実際には、
「ちょっと、ちょっとぉ、見て、見て、、
この人、71歳よーーぉーー、うへっ、
バカじゃね?
採用なんかする訳ないじゃん」
「Isn't this crazy?」
「もしかしてさぁ、このバアサン、
認知症じゃね?こ〜わ〜い〜ぃ」
大笑いされたわ。ね。きっと。
想像して落ち込んだ。
落ち込んでる私を見て
家族に、
「71歳で、その会社に応募する勇気は凄い。
評価できる」と、
妙な褒められ方をされた。
私は、ふざけた訳では、決してない。
超マジである。
自宅近10分。
土日祝日出勤優遇。
柔軟シフト。
服装自由。
経験者優先。
私にピッタリと思ったからだ。
でも、会社側からすれば、
「ピッタリじゃねぇーわ、ばーか」だよね?
私は70歳で仕事を辞めているが、
その後の1年間、
暗く引きこもってた訳ではない。
田舎の、とある町に自宅から2時間かけて
通っていた。いや、現在も通っている。
自転車で15分、地下鉄で30分、私鉄で30分。
駅を降りると、なだらかな登り坂を7分。
更に急坂を3分。
遠っ。 (どこやねん、、、笑)
ゼーゼーしながらも通うのは、
娘の依頼に応じて、
ボランティア系家政婦をしていたのである。
ドラマ「家政婦は見た!」では、
金持ちの大邸宅だったが、一般庶民の家だし、
「ごめんくださいませぇー」も、
言わなくて良いが、
家政婦とは、キツい仕事である。
掃除、洗濯、片付けはもちろんのこと、
シーツ交換をして、夕食を作り、
洗濯物を片付ける。
言葉にして、ゼーゼーと言ってみたいほどだ。
いちばん困ったのが、夕食作りである。
「その日の
冷蔵庫に入っている食材で作ってね、、」
娘からの注文である。
ということは、
家に到着して冷蔵庫を開けるまで
メニューを決められないってことだよね?
料理業界の偏差値75くらいの
難易度の高い調理作業ではないか!
料理の腕はもとより、
技、応用、機転、節約が求められる(笑)
3人が食する現場では、
さらに、味、見た目、量などが審査対象に
なってるはずだ。
うわっ。こわっ。
「プロの料理人食材コンテスト」でもあるまいし
難し過ぎるだろ。
料理苦手だっつってんじゃん。
そんなこんなで1年間、通い詰めた結果、
私は、なんと、力と自信を身につけたのである。
朝8時に自宅を出て、帰宅するのは夜7時。
往復4時間の道のり。
さらに、
私鉄から地下鉄に乗り換えるために、
駅のコンコースを通らなければならないのだが、
いつも、多く人々で溢れている。
その混雑の中を、早足ですり抜け、
地下鉄の人の列に並ぶ。
めっちゃ大変やん。
普通にパートで仕事するより、
はるかにハードであった。
そこで!ハタッと気がついた。
もう一度、社会に出て働くことが出来るじゃん。と、目がキラリンと輝いたのである。
すっかり忘れていた応募癖が覚醒したのだ(笑)
「スター•ウォーズ/フォースの覚醒」である。
まさしく「force」、、、、力と強さを持ち
スカイウォーカーとなって
訳の分からない銀河系企業に斬り込もう(笑)
、、、と、キラキラ瞳で、
高学歴若者の巣窟企業に魅せられて、
「応募はこちら→」の枠をタップしたのである。
あぁ〜〜しなきゃ良かったぁ〜。
もう、こんなこと辞めよう。
無駄だわ、一族の恥だわとブツブツ言いながら
ベッドにもぐりこんだ。
眠れない。
再び灯りをつけて、スマホを手に取る。
いつの間にか、
ハローワークのwebsiteにアクセスしてた。
バカじゃね?