【クソ映画探訪】ドラゴンクエスト ユア・ストーリー
どうも、お久しぶりです。
キッヅと申します。
なぜだか、今回、乞われて映画の感想文を書いてます。感想文を書くのも十何年ぶりだってのに、経費をもらって映画のレビューを書く経験なんてそうそうなくってドえらく緊張してますわ、肩コリッコリよ。
さてさて、今回観た映画は2019年公開の『ドラゴンクエスト ユア・ストーリー(以下「ユア・ストーリー」と言う。)』です。
総監督の山崎 貴を親の仇のごとく憎んでる友人S曰く「観る特級呪物」とのことだったのですが、Amazonでの評価は★4(★5は50%超え)で事前に受ける印象は「ホントにクソ映画か?」って感じです。
懸念点はもちろんあるし、そもそもAmazon評価を鵜吞みにするほどチェリーボーイでもないので、期待もそこそこに、お菓子とドリンクをたっぷり用意して有休とって視聴に臨みました。
0.ドラゴンクエスト ユア・ストーリーとは
感想に入る前に『ユア・ストーリー』を簡単に紹介しておきます。
紹介文くらいは自力で書こうかと思ったけど、紹介の方向性を間違えて、友人Sの逆鱗に触れてしまい「末代まで祟るリスト」入りしたら怖いので公式HPから丸々コピペしました。
まあザックリ言っちゃうと「たくさんの人たちに愛されてきた国民的ゲームをアニメ映画にしましたよ」ってことです。累計販売数イコールファン数じゃないけど、nintendo switchで一番売れてる「マリオカート8 デラックス」が5701万本ってことを考えるとその凄さが分かります。
映画のストーリーも原案の「ドラクエV」をなぞらえたものと公式HPに紹介されています。
1.感想文
1-1.総評
クソ映画でしたわ~~~ッ!!(っ’ヮ’c)
こんなサムネにしてるんでここまで既定路線ではあるのですが、まあクソ映画でしたわ。プレイヤーに取材を重ねる中でファンが「ドラクエ」の中にいたことを思い出せるような映画にしようって気持ちになった上で、よくこの脚本にたどり着いたな。シリアルキラーの才能があるわ。
後述しますが、ラストシーンまでは本当に名作でして、むしろ徹頭徹尾クソ映画じゃない分、より丹念にドラクエVファンの心を再起不能になるまで粉々にぶっ壊してやろうというプロフェッショナルを感じました。
甘美な思い出につられて集まった一般人を纏めて皆殺しにするような本作の作りは、さながらミッドサマーのストーリーのようです。ちなみにミッドサマーのジャンルはサイコロジカルホラーです。
このラストが山崎総監督の言う「映画にする意味」なのであれば、僕は道徳の授業を落第していると思う。追試でさわやか三組観てきます。
1-2.アニメーションや演技は本当によかった!
ゲームや漫画が映画になるときに一番の気がかりはやっぱり誰が声優を務めるのか?なのですが、本作においてはそんな心配は無用でした。
主人公のリュカの声を担当する佐藤 健はもちろん、パパス役の山田 孝之や有村 架純のビアンカもすごくはまってました。ケンドーコバヤシのサンチョもいい味出してました。
特によかったのが吉田 鋼太郎演じるゲマです。
丁寧な口調にも関わらず明け透けな悪意を放っていて、人の言葉を話す人型のモンスターにも拘らず、たまらないほど恐ろしく猛烈な嫌悪感を抱かずにはいられないキャラクターで、悪役としてのオーラが凄まじい怪演でした。
吉田鋼太郎すげえ!!
それと、
フローラ(cv.波瑠)可愛すぎんだろッ!!フローラをフるとか、ホントにリュカは世界で最強の大馬鹿だわ!!!
アニメーションも本当に表情豊かにキャラクターたちが躍動してて、ジャパニメーションらしい感情表現やコミカルさを見せる彼らはとても愛おしく、緊迫した剣戟アクションは迫力があります。
そして何より、細部まで作りこまれた「ドラクエV」の景色の美しさは圧巻の一言で、この世界の雄大さをロードムービーでありありと伝えています。
1-3.「ドラクエV」部分のストーリーは流石に名作
総評でこき下ろしたストーリーですが、全体の80%を占める「ドラクエV」部分はもちろん大傑作でした。
天空の勇者を探す先々での数々の冒険、ビアンカとフローラとのラブロマンス、そして親子3世代に亘る宿敵ゲマとの死闘――
丁寧な心理描写とストーリーテリングで描かれる骨太のストーリーは、流石「ドラクエV」といったところ。
正直、ここまでならAmazon評価★4は納得がいきます。
暖かな読後感に満たされて劇場を後にし、押入れから引っ張り出してきた太字の油性ペンで名前が書かれたスーファミのカセットに久しぶりに息を吹き込むところまで想像できる。
正直に告白すると僕は「ドラクエV」未プレイですが、少年時代に「ドラクエV」を遊んでた大人たちは格別な気持ちでこの映画を見ているのだろうなってヤキモチを妬いてしまうほど良質なノスタルジー映画でした。
まあ、それで終わらないから今回の感想文を書いているわけなんですが・・・
1-4.1時間27分55秒以降はもはや非人道的行為
ここまでが本記事の前振りです。本当にお疲れ様でした。
ここからは強いトラウマを想起させるミルドラースがありますので、『ユア・ストーリー』をご覧になられた「ドラクエV」ファンの方はお気を強く持ってご覧ください。
さてさて、問題のラストシーンです。ここまで、ノスタルジック映画の名作という評価だった『ユア・ストーリー』をクソ映画にまで一気に貶めた大戦犯ミルドラースが登場します。
ちなみに名前こそ元ネタどおりですがオリジナルキャラです。オリキャラは絶対出すなって、あれほど口を酸っぱくして言ってんだろ!!
このミルドラースくん、宿敵ゲマを倒し、天空の剣を魔界の門に投げ込んで無事にミルドラースの復活を阻止した!さあフィナーレだ!って瞬間に、「ドラクエV」の世界観にそぐわないキューブ群の柱で割り込んできます。
困惑するリュカ(と視聴者の僕)をあざ笑いながら、自分は天才ハッカーが生み出したコンピューターウイルスで、ここはニセモノのゲームの世界であること、こんな下らないことをやってる奴らが嫌いだからゲームを壊しに来たことを告げます。
このシーンに至るまで、プサンやマーサから露骨な「ここはゲームの世界なんやで」感のある失言で雑にフラグ立てされてきましたが、そこはもうちょっと穏便に軟着陸すると思ってました。
だって、僕らはもう大人なのでこれがフィクションだってことは悲しいほど理解しているし、上映終了のブザーがなったら席を立たないといけないことだって分かってるけど、あの時胸躍らせた物語にもう一度触れたくて時間とお金を費やして画面の前に居るわけでして。
なのに、まさか、天才ハッカー(笑)が!嫌いだからって!コンピューターウイルス(笑)で!全否定してくるためのフラグだと思わないじゃないですか~!!
>>おまえ、この映画 誰のために作ったんか もっかい言ってみろよ<<
ラストシーンを含めて「ドラクエ」である必要がないだとか、安っぽい「それでも思い出は本物だ」テンプレートを貼り付けただけのインスタント『ユア・ストーリー』だとか、ぽっと出の謎キャラを倒して観客が納得すると思ってんのか?とか、公開から時間がたってるのもあって酷評の言葉は出尽くしてる感は正直あるのですが・・・
僕、ちょっとだけミルドラースの気持ち分かるんですよね。ミルドラースというか、ミルドラースの制作者の気持ちか。
皆が持ってるゲームソフトを持ってないから話題に入れなくって、親におねだりするも却下されちゃって、寂しくてどうしようもないから負け惜しみに皆が遊んでるゲームを「ダサい」とか「幼稚」とか言っちゃう気持ち。
そう言った意味では、奇しくも「ドラクエV」を履修せずに『ユア・ストーリー』を観た僕は正しくミルドラース側の人間で、彼は僕の『ユア・ストーリー』だったのかもしれない。
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って納得できるか!
そしたら、今度は持ってた側のリュカが持ってなかった側のミルドラースをぶった斬って「俺たちの思い出は本物だッ!」って感動ポルノで気持ちよくなってるだけやんけ!誰ひとり救われねえ!!
2.おわりに
ここまでお付き合いいただき、本当にありがとうございました。
この記事を書くためにトータル3回『ユア・ストーリー』を観たのですが、山崎 貴総監督の言う「映画にする意味」が僕にはついぞ分かりませんでした。
オーディオコメンタリー版が出たらもう1回だけ観るかもしれません。
最後になりますが、『ユア・ストーリー』を観る権利をくれた友人S、偉大なる堀井 雄二さん。
そして、大人になれない僕の駄文を鼻で笑って見逃してくれるだろう懐深い山崎 貴総監督に最大限の感謝の言葉を送りたいと思います。本当にありがとうございました。
またいつか、どこかでお会いできれば幸甚です。バイバイ~ノシ
――待てよ?ドラクエV VRでアルスが生まれてるってことは・・・
未来きたか!
( ゚д゚ ) ガタッ
.r ヾ
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