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【癌日記107日目】文化祭で我が子が推しすぎる! 絶望の先/ママががんになったとき/卵巣癌・子宮体癌/10月14日

ガンになったとわかったときには想像もしていなかったけれど、今日、娘2人の文化祭に行けた。


文化祭に行ける奇跡

今日が10月13日。

卵巣癌と子宮体癌がわかったのが6月の最後の週の金曜日。手術をしたのが8月8日。

ガンがわかった日も手術をした日も文化祭に行けるとは思わなかったから、私にとっては奇跡だ。

手術が終わって、比較的長く主治医と話したときに「今年の文化祭も体育祭も私はあきらめて病気を治すことに専念して、母に代わりに行ってもらおうとお思います」と私が言うと、

主治医は「そういうのはこれからの人生ではできれば先送りしないでほしい。『できることはなるべくやっていく』というのがいいと思うよ
「次が絶対にあるとは誰にも言えない。文化祭や体育祭の日に(抗がん剤の)骨髄抑制の日が重ならいように調整しよう」と言った。

あのとき、わたしにはというか、癌には完治はないんだなとわかった。

私は次へ先送りにするような、次のチャンスをまとうみたいな時間の過ごし方はできないことがはっきりわかって怖くなった。

ガンがわかってから、これまで当たり前だったことが当たり前じゃない怖さがある。

それと一緒に、あーこんな幸せなことがあるんだ! という気持ちもよく起こる。

文化祭に行けたのはそういう出来事だった。

普通のことが奇跡

朝は子供が「文化祭の出店でお弁当も買いたいから、文化祭の日は小さなお弁当にして」というので、おにぎりやウィンナーをつめたお弁当を作った。文化祭お弁当は毎年こんな感じ。

文化祭の直前に夫と一緒に先送りにしていた医療用のフルウィッグを購入した。

ケア帽子はかぶれても、フルウィッグを被れる気がしなくて、脱毛する自分を受け入れられなくてずっと先延ばしにしていたけれど、文化祭はウィッグが一目でわかる目利きの人以外には私の脱毛のことがわからないようにして行きたかった。

文化祭の開門は9時15分で、長女の体操の発表は10時30分からだった。

第3クール目の抗がん剤の副作用で前々日も前日も足がうまく動かなかったから、この日も朝まで行けるか自信がなかったけれど、朝になったら絶対行くんだと思った。

主治医が抗がん剤の日を調整してくれたおかげで、足はまだ副作用で痺れていておかしかったけれど、気持ちは抗がん剤を完全に抜けていたから、出だしは気力でむかった。

歩きながらも足がずっとしびれているから地面を踏みしめている感覚がない。行くまでに絶対に怪我をしたらいけないと手すりをしっかり持ってふみしめられない足で踏みしめて歩いた。

怪我をしたら文化祭にたどり付けないだけじゃなくて、今なんとか守っている体力を奪われて、物理的に確実に寿命を縮める。

長女の発表の1時間前について、練習1時間と発表30分を立ちっぱなしでみた。

泣く、見る、子供を推す

見ながら来年この子は高2で、この子の中高の文化祭発表を見る最後の文化祭になると思った。中1から今年で4回目だ。これまでの3回、楽しみこそすれこの時間に感謝することはなかったけれど、今日はここにいられるって奇跡だって思った。

頼りないけれどフレッシュだった中1の発表から、細部に行き届いた演技をするようになったんだなと思った。

私以外のママパパは何の心配もなく来年が楽しみだなと見られるのに、私は「来年があるの?」「来年も私は文化祭を見られるの?」って思うとボロボロ涙が出そうになった。

文化祭の1日をそのままずっと泣きながら見るのかと思ったら、わが子が推しすぎて、子供が「ママ来てるな」と横目で見てる様子を見たり、手をふったりするのに手を振り返したり、ギリギリのところで回転しているのを「危ない!」と心配したりしていると自分をみじめに思って泣いているどころではなくなって、結局最初1,2回泣きそうになった以外は、拍手したり、夫に「やばい、わが子が推しすぎて、一番かわいくて上手に見える」と余分なことを言ったりして、そこからはまったく「わたしは次の文化祭を見られるんだろか?」モードには入らなかった。

そういうお涙頂戴モードに自分をもっていく時間がもったいなかった。癌になってしまった以上、私と子供の文化祭は、泣いてもわらっても、もうここからは「次があるのか?」と思わないことは二度とないんだ。ということを受け入れる。

受け入れて悲しむ時間を少しでも減らして、今を感じる。そして、次があることを、あと何十回もあることを自然と願うように自分の思考を変えて行こうと最近何度もこう思っているのに、まだついつい自分を可哀そうだと思うことに時間を使ってしまう自分にあきれる。

次女のダンスの発表は14時すぎからで、その間学校の中に展示されている子供の展示を見て回った。

2人とも部活や、係のシフトが忙しくて一緒に回るような時間はなかったけれど、校内でちょくちょく出くわして、家族4人で「また会った!」と笑い合った。

次女の発表も見ながら「あー、本当に我が子が推しすぎて、校内を歩いていても、舞台の上にいても、探さなくても目に入ってくる」とまた夫に言うとさすがに夫にたしなめられる。

いやでも、どの親だってそうなわけだし、別によくない?

子供たちが帰ってきたときに「ママ、発表どうだった?」と聞かれて「ママ、もううちの子が一番かわいい。やばい」しか言ってないと言うと、「ママ、さすがにキモイから」と子供たちは言っていた。

校内を回りながら大学関連の掲示が目に行って、ここでも、私は子供の大学受験の時まで応援してやれるんだろうと一瞬悲しくなった。

いや、ちがうできる。多分そばにいてやれる。

子供の大学の入学式に行きたいという気持ちはないけれど、大学生になった子供が見るものは一緒に見る時間を私は幸せに感じるだろうと思ったら、こちらも俄然、やるんだ、生きるんだという気がした。

9時すぎについて、15時すぎまで、文化祭って休めるところがないから歩き回ったり立ちっぱなしで、足が猛烈にジンジンしたけれど歩数的には8,000歩ちょっと。

2時間はただ立って待つだけの時間もあるから、歩数的にはあまりいかない。足は行く前にくらべてかなり痛い。

帰りは夫とスタージェリーのカフェでお茶をして帰った。

もともとは子供と待ちあわせて中華街でご飯を食べて帰る予定だったけれど、娘2人張り切りすぎたのか、気温の変化が激しいからか風邪気味。

「今日はおうちでお鍋がいい!」と言うので、お鍋をしながら『キングダム』の続きをみんなで見て、こちらも楽しい時間だった。

このマガジンは私が49歳で卵巣癌と子宮体癌に罹患した日々の自分と家族の記録です。娘(高1)娘(中2)夫&猫の4人と1匹ぐらし。ワーママ。何とか1日でも健康に命をつなぎたいと毎日試行錯誤しています💦
▼がんの闘病記は以下のマガジンにまとめています。

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