娘の変化は突然に。(キッズフリマ体験記①)
※これは、子どもによる子どものためのフリーマーケット「キッズフリマ」に参加された親御さんの物語シリーズです。キッズフリマの運営スタッフによる取材をもとにしています。
〜K.Mさん(千葉県)の場合〜
部屋を見渡すと、自粛で増えてしまったおもちゃの数々。
娘たちのおもちゃばかり溢れかえっている。
娘たちに片付けをお願いする手間を気にするよりも
今や片付ける場所がもうない。
床や棚の上に固めて置いておくだけのおもちゃ。
娘たちに捨てても良いかと聞くと、
たとえ使っていないおもちゃであっても、
捨てるのは嫌だと言う。
どうしたものだろうか。
そんな中、よく訪れるショッピングモールで目についたポスター。
「モノを譲り、譲り受け合う場所」
「子どもがお金について学べる場所」
その文字が目に飛び込んできた。
どうやら子どもの、子どもによる、子どものためのフリーマーケットらしい。
面白そうだなと思い、子どもに興味があるか聞いてみると、
娘たちもモノを「捨てる」よりも「譲り」たいと。
早速申し込んでみた。
抽選での出店になるが、
無事出店できるとの連絡があって一安心。
接客しやすいようにイスを準備したり、
お客さんが来やすいように、かわいいレジャーシートを用意したり、
おつりを多めに貯めて置いたり。
当日になり、娘たちの顔を見てみると、
緊張とワクワクの感情が沸き起こっているのがよく分かった。
この「キッズフリマ」では、
どうやら大人の介入が抑制されているようで、
当日は子どもたちだけで、イベントを行っていくようだ。
緊張している娘たちを見ても、
準備までは手伝ってあげられるが、そこから先は手伝うことはできない。
私にできるのは、娘たちの乗り越える力を信じて見守るだけだ。
イベントが始まり、子どものお客さんがたくさん入ってくる。
緊張しながらも、少しずつ声を出し、お客さんとコミュニケーションを
取ろうと努力しているのが、ひしひしと伝わってきた。
結果として、私はとてもこのイベントに満足した。
それは、娘たちに賛成してもらいながら、家の中のモノを
減らせた上に、娘を信じて見守る経験ができたからである。
でも、一番このイベントに満足したのは、
イベント参加後に娘たちの変化に気付いたときである。
イベント参加前は、娘たちは街中でガチャガチャを見つけると、
ガチャガチャをやりたいとせびり、
ガチャガチャをやったその瞬間は楽しそうだが、
家に帰るとおもちゃの山のてっぺんに積まれるだけ。
イベント参加後は、ガチャガチャを見たときの娘たちの反応が変わった。
「ガチャガチャする?」と私が聞くと、
「大人になったときに使わないから要らない」と娘が答えた。
私は娘たちのその変化に驚いた。
子どもの成長は年齢を重ねることで
生まれるものではなく、
経験によって生まれていくものなのだと心の底から感じた。