よく歩いて来られたね
数年前、ダイエットをマイブームにしていた時期がある。
キッカケはハッキリと覚えていて。初めてコロナウイルスに罹った時だ。
長引く喉の痛みで、まともに食事を摂れない日々が続いた。そのせいで、もちろん体重が落ちた。
この頃、能天気な私は、体重が落ちたよりも、痩せたという感覚が強かった。今思えば。それがもう間違っている。
体調は無事回復に向かっていく。私の中でよろしくない考えが浮かぶ。
「この体重をどうにか維持したい」
まあ、結論から言えば、難なく食事を取れるようになり、呆気なく体重はほぼ元通りに。
コロナでは食べれなくて痩せたから、次は運動をして痩せようと決意する。この考えは悪くはない。
そこで私が始めたことは主に2つ。
・YouTubeを参考に自宅での筋トレ(宅トレというらしい)
・食事をアプリで記録(レコーディングダイエットというらしい)
私調べによると、筋トレは朝やるのが効果的とみた。普段より30分ほど早く起床するこにした。
起床後すぐに行うのは体に優しくないから、朝のルーティンをしたのち。30分後ぐらいに取りかかるのがベスト。
食事記録は、めちゃくちゃ細かくやった。自宅で食べる分には、キッチンスケールを取り出し。全ての食材をいちいち(わざわざ)測ったし、調味料まで。それはもう事細かに記した。
友人と食事に行った際も、後から記録する為に、自分が食した分は全部写真に残した。
ここまで徹底すれば、結果はきちんと出た。
食事記録アプリは毎日の食事内容に、点数が付けられるのだけれど、満点に近い日がどんどん増えてきた。体重も落ちてくるし。それが嬉しくて。数字として目に見えるのが嬉しくて。
私は続けた。なんだかんだ、1年半ほどは続いたんじゃないだろうか。
そんなある夏の日、会社の健康診断があった。
結論から述べると、血圧測定で看護師さんに言われた言葉で我に返り、ダイエットブームは終わりを迎える。
まず、1回目の血圧測定を終えると看護師さんは困惑した顔をした。
「あれ?もう1回やっていい?」
2回目の血圧測定を終えるも、看護師さんの顔色は晴れない。
「今日ここまでどうやって来たの?」
歩いて来ました。会社から徒歩15分程度なので。
「この血圧で、こんな暑い中、一人で。よく歩いて来られたね」
私、困惑。看護師さんの困惑が、私に、伝染。
「最近、無理なダイエットとかしてない?疲れやすかったり、立ちくらみとかは大丈夫?」
決して無理なダイエットはしていないが、後半の台詞に思い当たる節は十分あった。
数字だけで見ると、昨年度から4キロほどしか落ちていないが。どうやら私の体質には、ダイエットした体重が合っていなかったようだ。
いちいち(わざわざ)食べ物を測ったりしていた自分に、急に冷めてきた。
頑張っていた頃の自分を否定はしないし、よく頑張ったと褒めたいけれど。
あくまでも、私に合っていなかった、それだけ。
だから、もう、終わろうと思った。
その後の採血では、血圧値を見た看護師さんに、別室へ連れて行かれた。みんなは1人ずつ、パーテーションで区切られた大きな空間で、横並びに採血している。
私は「低血圧だから」と。奥にある別室で、ベッドに寝ながら、採血された。その後もしばらくは寝たまま安静にするよう言われたので、普通に仮眠を取った。
長らく続いていたが、これを機に。私のダイエットブームは確実に、終わった。
その後は、宅トレに費やしていた時間を、ストレッチに使った。これが自分には合っていた。
宅トレをやめて、ステッパーを購入した。これもまた、自分には合っていた。
体重こそ変わらなくとも、体脂肪率は落ちたようで。周りに「痩せた?」と言われる機会が増えた。ダイエットブームの時はそんなこと言われなかった。
ダイエットは勿論、悪いことではない。徹底した食事管理も、筋トレも。ストイックにやれるのは素晴らしい。
ただ、自分の中で義務化したり、それで体調が悪くなったりしたら。元も子もない。心身共に健康であるのが、一番に決まっている。
ダイエットして良かったことは沢山ある。だから、やって良かった。
例えば、食事管理アプリのおかげで、自分に合う大体の食事量は分かるようになった。炭水化物が少なくなりがち、野菜はもっと摂取して大丈夫、逆に主食はもうちょい減らそう。など。
他に、適正体重も分かったし。
なので、これからも、限度を超えない限りは自分の食べたい物をバランス良く食べ。ステッパーを踏み続ける。
ダイエットはやらないが、健康であるための、努力はする。
今日も私は、元気にステッパーを踏む。
健康でいたいから。