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第86回 マンション防災を考えよう

マンション防災計画の考え方2 フェーズ

皆様こんにちは。マンション防災研究所の城戸です。
このマンション防災を考えようのシリーズでは、マンションという集合住宅では戸建てとは違ったさまざまな設備や管理運営の仕組みがあることから、一般的な地域防災とは別の考え方が必要になる内容も多いため、「マンション防災」としての考え方をいろいろと考えています。

前回から、マンション防災を計画する際の考え方、考えるときの整理の仕方、を何回かに分けて考えていますが、今回はその2回目です。

今回は【フェーズ】です。
マンション防災に限らず、災害対策、準備を考える際にまず「災害が発生したらどうしよう」から入るのが一番考え易いですね。でも災害に対する準備というのは、平時から何をしておくのか、災害発生後の被災生活で困ることはあるのか、など災害が派生して直後のことばかりではありません。

したがって、災害対策を考える際には「フェーズ」で分けて考えることも必要なのです。
このフェーズは災害対応ではよく出てくる言葉で、災害発生直後の急性期から平穏期まで5期に分けるなどいくつかの考え方がありますが、私はマンションの防災として以下の4期を考えています。

1.事前準備期 2.直前対応期 3.発災急性期(発災直後~数日間) 4.復旧期(発災後数日~数週間)です。マンションの場合は管理組合での合意形成を経て活動内容が決定される場合も多く、このような時間単位で状況を予測、想定して準備をしていくことが良いと考えています。

では、それぞれの時期に対応してどのようなことを考えるのでしょうか。
1.事前準備期では、災害が発生した場合を想定して耐震工事や施設・設備の補修補強工事を行うことや、それぞれの施設・設備の状態を予想して対応策を考え、その他の組織的活動と併せて防災マニュアルなどを作成すること、その計画に従って防災訓練をすること、必要な資機材の購入、近隣地域との連携をしておくこと、居住者同士の合意形成をして防災意識を維持向上させることなどの要素があります。
2.直前対応期では、地震や火災などの突発的に発生するもの以外の災害(台風や線状降水帯による豪雨災害などが代表的)に対して、どの段階で何をするかを決定しておくことが必要です。
これはマンション全体で浸水を防ぐということだけでなく、機械式駐車場の自動車避難、バルコニーの物品保護などもありますし、それを居住者への告知展開方法なども要素として考えなければいけません。
3.発災急性期では、安否確認から救援救助その他の災害対策本部活動が中心になります。特に地震などでは発災から数日間が混乱する時期ですので、重要な期間としていろいろ考えます。
4.復旧期では、被災生活の状況予測、近隣地域や避難所・行政との連携など復旧復興に向かうために必要なことなどを計画しておきます。

本来は災害発生時から以降のことをタイムフェーズで区切って整理し、準備を整えるというのがフェーズの考え方なのですが、マンション防災では前述の通り災害発生前にしておくことも大変多いので事前準備として独立させています。

また、最近では防災用品を購入するなどの考え方として「フェーズフリー」という言葉があります。これは災害時に使うだけではなく、それを平時でも利用できるようなものを購入することでお金を効率的に使うとか、平時でも災害時のことを考えた行動をするなど、災害時と非災害時のフェーズを取り払うというものです。
代表的なものでわかりやすいのは、キャンプ用品などアウトドアに使うものは被災生活での利用奈可能なものも多く、平時はレジャーに使い、災害時は防災用品として使うなどがあります。

今回の「フェーズ」は、そのそれぞれの時期にどのような状態になってしまうかの予測、想定をする際に整理がしやすいように考えてください。

今日はここまでです。次回は防災の計画を考える際の整理の仕方の3つ目、活動単位について考えていきます。

マンション防災研究所 所長
防災士 福祉住環境コーディネーター
城戸 学

マンションに限らず防災関連のセミナーや講演、コンサルティングなどのご依頼をお待ちしております。よろしくお願い申し上げます。

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