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第16回 マンション防災を考えよう

管理組合の防災活動2(活動組織化と自主防災組織)

皆様こんにちは。マンション防災研究所の城戸です。
前回、マンションにおける防災活動の主体者について考えました。
そこでは、マンション内に防災活動を担う主体者としての組織をどこに設置して活動するのかについて、3つのパターンを挙げました。今回は、その組織化がなぜ必要なのかについても少し考えたいと思います。

マンションの防災活動をなぜ組織で行うのか、すごく単純な話です。
マンションというのは、集合住宅です。そこでは、多数の他人同士が一つ屋根の下で(一つの建物の中で)暮らしています。したがって、いざという時には助け合いが必要だから、最初から組織しておけば事前の対策から実行までが円滑に進むことができるからです。
マンションの管理組合理事会や総会など、複数の人たちが何かを決めるとき、すぐにアイデアが出ずに時間がかかってしまったことや、意見が合わずに揉めてしまい、なかなか決まらないなどの経験はマンション居住者・区分所有者ならだれもが少なからず経験したことがあるのではないでしょうか。
組織の強みとして、「3人寄れば文殊の知恵」のように人数がある程度いれば様々なアイデアが出て解決策を考えることができます。一方で「十人十色/千差万別」などのように、様々な考えが出てかえって決まらないこともあるのが組織の弱みです。
防災活動は集合住宅で、みんなで考え、みんなの意見をすり合わせ、できるだけ良い準備をしていくために必要なことなのです。
また、組織化されていない防災活動を考えたとき、個人の考え方で、個人の度量で、個人の知識や都合でそれぞれが動くと、集合住宅であるマンションでは結局助け合うことができなくなるなど、コミュニティの状態が悪くなることがあるかと思います。

組織の中での意見の合わせ方、合意形成の考え方については、管理組合の運営そのものにも役立つものなので、また別途この「マンション防災を考えよう」でも取り上げていきたいと思います。

そして、もう一つ。自主防災組織についてです。
これまで考えたマンション内の防災活動を担う組織ですが、これは現在の自治体では大変重要な防災活動であるととらえられています。
現在の日本では、予算的にも、自治体や消防、警察、自衛隊などの組織的にも、大規模災害時の「公助」の一部である緊急対応が行き届かないのは確実です。そのために、地域での自治会、町会等を基礎とした防災活動の組織を「自主防災組織」として結成を促進し、災害時の地域での共助を進めていこうという方向になっています。
現在はほとんどの自治体(市区町村)で、名称は様々ですが、自主防災組織を結成して届け出をしておくと、防災用の資機材や備蓄食料、飲料水の購入に助成金が出るとか、訓練などの補助をしてくれるなどの制度を持っています。

ですから、マンションの中で組織化したものを自主防災組織として届け出をすることも併せて検討しましょう。ただし、注意が必要な点があります。
まず、自治体によってはマンション居住者だけの組織を自主防災組織として認めていないところもあるようです。元々、日本の行政活動は町会などを単位として行われていたため、マンションの自治会を単独では認定してもらえず、所在する地域の町会、自治会の中の一部としてしか認められない場合があるからです。
もう一つは、助成金などの対象として定期的な活動をすることが条件になっている場合などもありますので、単に結成時の資機材購入費の為だけに組織化することはしないで、せっかく組織化するのですから、ちゃんと活動しましょう。

さて、今回はここまでとします。次回は組織の作り方、構成などついて考えていきたいと思います。

今回もお読みいただきありがとうございました。また次回以降もご覧いただければ幸いです。よろしくお願いいたします。

マンション防災研究所 所長 城戸 学

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