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第103回 マンション防災を考えよう

宅内の災害対策3

皆様こんにちは。マンション防災研究所の城戸です。
このマンション防災を考えようのシリーズでは、マンションという集合住宅では戸建てとは違ったさまざまな設備や管理運営の仕組みがあることから、一般的な地域防災とは別の考え方が必要になる内容も多いため、「マンション防災」としての考え方をいろいろと考えています。

今回は宅内対策の続きとして、個人宅(各戸)での備蓄についてです。
宅内の備蓄について、何から買えば良いかという質問をよくいただきます。私はいつも以下の物【三種の神器】をまず真っ先に揃えるようにお伝えしています。

三種の神器<1>
1つ目は水と食料です。食料は1人1日3食を最低2週間分、水は1人1日3Lを同様に2週間分以上です。4人家族の場合、食料は3食×4人×14日=168食分、水は3L×4人×14日=168L、特に水は2Lのペットボトルで84本分、6本入りケースで14ケースにもなります。この量は収納にも工夫が必要です。中にはペットボトルの段ボールケースを並べてベッド代わりにその上で寝ているという人もいました。マンションの場合、部屋数が各戸ごとに違いますが、2LDK~4LDK程度が一般的だとすると、その他備蓄品も併せて収納スペースを特別に設けることも検討しなければなりません。
この食料と水は、よく防災で「日常備蓄」や「ローリングストック」と言われる方法で備蓄することをお勧めします。それなりの量があるので、期限切れ近くに全部を入れ替えるのは一時的に多額のお金を必要としてしまいますし、面倒ですし、買い替え時を忘れる可能性も高くなります。食料なども日常的に食べているものを中心に考えれば、普段から少しずつ食べ飲み、補充する方が生活に無理がありません。

ちなみに、一般的な家庭では特に災害備蓄を考えなくても1~2週間分程度の食料は持っているという調査結果もあるようです。米、パスタ、うどんそばなどの乾麺、インスタントラーメン、野菜、缶詰、乾物など、どれくらいがあるかを一度確認してみるのも良いと思います。

三種の神器<2>
2つ目はカセットコンロとガスボンベです。水と食料があるときに、それを温める、消毒する、調理するなどのためにコンロは必要です。キッチンのガスコンロは地域のガス供給が停止する可能性もありますので、自宅内で調理をする方法を確保しておかなければいけません。もちろん火を使うので十分に注意が必要であることは言うまでもありません。

ご家庭でも冬の鍋料理などで使う機会もあると思いますので、カセットガスのボンベがどれくらい持つかを検証しておくこともおすすめします。季節による気温の違いなどで変わりますが、一般的には1本で1~2時間程度と言われています。
備蓄の量としては、1本で2時間として1日4時間の使用を2週間続けると。2本×14日=28本、3本セットの商品で最低10セット分以上と考えましょう。

併せて、コンロに水を入れて調理をする際に、耐熱ラップ、ビニール袋を用意しておくこともぜひお勧めします。簡単に調理ができるだけでなく、水を調理で汚さず、別の料理もできる、消毒にも使えるなど、とても便利です。最近はラップゴハンのレシピ本なども出ているので、参考にするとよいでしょう。

三種の神器<3>
3つ目は災害用トイレです。これはとても大切です。過去の災害時、避難所やその他でトイレが使えない(マンションでも)、衛生的に良くないなどの理由でトイレに行く回数を減らそうとして、水分の摂取を控えたり、食事の量・回数を減らしたりする人が、そのうちに体調を崩してしまう健康被害が生じるケースが多発しました。食事などを取ることと同じように排泄をすることも健康にためには必要です。特にマンションでは地震の際はまずトイレを使わないところからスタートするので、災害用トイレは必需品です。最近は100円均一ショップでも売っているので、ぜひ準備しましょう。

量としては、1人1日5回分×14日分以上、4人家族だと5回×4人×14日=280回分です。使い方をよく見て、タイプによってはトイレで使うのではなくバルコニー等の外で使用できるものもあります。使用した災害用トイレは一旦各戸のベランダに保管し、自治体で災害ゴミの処理が始まってから、自治体ごとのルールに従って廃棄します。ある程度の期間は保管することになるので、ニオイが漏れない方が良いです。実際に売っている商品では、BOSというものが一番ニオイを通さないのではと思います。

今日はここまでです。次回は、宅内の備蓄についてその他の物を考えていきます。
よろしくお願いいたします。

マンション防災研究所 所長
防災士 福祉住環境コーディネーター
城戸 学

マンションに限らず防災関連のセミナーや講演、コンサルティングなどのご依頼をお待ちしております。よろしくお願い申し上げます。

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