怪談No.04 ベランダの友達
短めの話。
実家には昔から
何か
がいた。幽霊?妖怪?宇宙人?、全く何かはわからない
頻繁に現れるのではなく、忘れた頃に現れる。
だから何かに遭遇したのは10回も満たない。
今回はその何かの話。
何かに関する一番古い記憶は、小学校4年生のとき。
その日の放課後は友達とは誰とも遊ぶ約束はせず、家で1人ゲームをして遊ぶつもりだった。
下校し家へ着くと、自分の家のベランダに友達が俺に向けて手を振ってきた。
ベランダから「〇〇(自分の名前)〜!一緒に遊ぼ〜!」と友達が言ってきた。
誰とも約束してないはずだったのに僕は何故か驚きよりも嬉しい気持ちの方が強かった。
するとまた友達は「早く家入らんと鍵掛けんぞ(笑)」と急かしてきたから、僕も急いで家に入った。
僕は家に入ってすぐに階段を登って、友達のいるベランダへと向かう。
しかしベランダに友達の姿はなかった。多分友達はゲームのあるリビングに行ったんだろうと思ってまたリビングへと向かった。
でもまたリビングにも友達の姿はない。仕方がないから僕は友達を呼ぼうとしたが、何故か友達の名前が出てこない。
このとき急に頭の中でさっきのベランダから僕を呼ぶ友達の声がフラッシュバックし何度もリピートする。
すると気分がどんどん悪くなって頭痛がしてきた。
不思議なことに僕はまだ友達の名前を思い出そうとしていた。
必死に友達の顔を思い出そうとするが、脳の映像はぼやけていてなかなか思い出せない。
まだ頭の中で友達の声が響いているので、正直しんどくて吐きそうだった。
でも何かを閃いたときのように、友達の顔を思い出した。しかし閃いだ喜びは一瞬で失せる。
友達の眼球は真っ黒だった。
白目の部分はない。全部真っ黒。そんな目で僕を笑顔で見つめてくる。
背中が急に冷たくなった。それと並行して友達の声と顔が頭から離れない。もう何をすればいいかわからなかった。そのときに
「ごめーん!今こっちにいるわ、すぐ行く!」と友達の声がした。
僕は怖くてすぐに家を飛び出した。その声がどの部屋からしたのかは分からなかった。
そこから僕は何をしたかはちゃんと覚えていない。
ただお母さんが帰ってくるまで外で時間を潰していたことは覚えている。
ちなみにその友達は自分の全く知らないやつだった。おかしなことに僕はそいつを疑いもせず友達だと思い込んでいた。
この一件があってしばらくの間僕は1人で家にいるのが怖くて、何とかして放課後は友達の家で過ごすことにした。
これ以来何かに遭遇することは何度かある。遭遇する度に色んな人になって僕を怖がらせてきた。
今後もまた何かの話をしたいと思います。
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