人は誰しも自分を核にして世界を認知している
どんなに優れた論理的思考の持ち主でも、自分を中心にして世界を認知している以上、その人の持つバイアスを取り払うことはできない。意識の質感であるクオリアの謎を解き明かすまで、人はその葛藤の中で生きていくしかない。たとえ、フレームシフト・ポジションシフト・タイムシフトを使いこなしたとしても、最終的にそれを認知するのは、自分であり、その核(コア)である自我の壁を超越することは不可能である。だが、それで良いと私は考える。人智とはその不可能性の壁の中で、苦悩した分だけ、強く、美しく進化を遂げていくものであると、私は信じている。
このnoteというツールを、私は一種の「ストレスノート」として活用している。何か強い違和感やわだかまり、不満や葛藤を感じたときに、それらの思いを文字にすることで、整理・整頓することで、ストレスを発散している。感情をドキュメンテーション(文書化)することによって、自分は何にストレスを感じているのか、その原因は何か、何をどうすれば解決できるのか、といったことを目に見える形にすることで、解決の糸口が見つかり、精神の平穏を取り戻すことができている。また、それが多数の人の目に触れ、共感を得ることができれば、これらの心の葛藤は昇華され、やがて正のエネルギーに変わっていく。
誰かのためではなく、自分のために生きよう
自分にとっての最大の理解者は、他の誰でもなく「自分自身」である。まずは自分自身の声に耳を傾けよう。何を成し遂げたいのか。何が欲しいのか。何を救いたいのか。わがままに生きよという意味ではない。自分を理解できない人に、他人を理解することはできない。内なる声に耳を澄まし、自分自身とゆっくりコミュニケーション(対話)したい。自分に優しく接することができる心の余裕を持つこと、それが他人(ひと)に対する優しさへとつながる。自分を大切にすることができて、はじめて人は他人を大切に思うことができる。
他人とのつながりを大切にしよう
他人とのつながりから、等身大の自分が見えてくる。他人とのつながりは自分を映す鏡である。他人に対して行った言動は、必ず自分に返ってくる。自分が大切ならば、他人を大切にしよう。他責思考を脱却して、自分を見つめ直そう。自分が変わることで、自分を取り巻く世界が変わる。思考に注意しよう。いつかそれは行動に変わる。世界は思ったよりも狭い。あなたの思いは、行動に変わり、あなたの他人に対する言動は、巡り巡って自分に返ってくる。
物事には必ず因果関係がある。この世界は、全てが全てに依存することで形成されている。他人に対する思いやりは、いつか必ず自分に返ってくる。あらゆる事象はつながっている。光があるから、闇がある。表裏一体の関係を他人事ではなく、自分事として理解できるかどうか。プラス(正)があるからマイナス(負)が存在する。世界はこのバランスの中で、安定を保っている。物事をありのまま受け入れることができれば、負のエネルギーを正のエネルギーに昇華することができる。他人への思いやりが、自分を救うことになるという、因果応報という世界の法則を理解して味方につけよう。
自分の中のバイアス(bias)の存在を受け入れよう
誰しもが持っているバイアスとは、「ある集団の人々あるいは片方の議論に対する好意的あるいは反意的な強い感情であり、往々にして公平な判断には基づいていないもの」である。
自分が認知しているこの世界は、自分が持つバイアスによって、ある種の偏重が加わっていることを素直に受け入れよう。人は誰しもが、この偏見ともいえるバイアスが加わった認識の上で、世界を認知している。偏見の存在を認識しよう。この事実に気が付けるかどうかで、世界観は大きく変わる。
人はそもそも、この世界を七色の色眼鏡で見ている。自分の認知するこの世界は、自身の色眼鏡というフィルターを通して構築されているものであることを受け入れることができれば、この多種多様な価値観が混在する世界を、もっと柔軟に理解することができるようになる。
高度に情報化された現代を生き抜くために
インフォメーションテクノロジーによって、格段に高度な情報化社会がもたらされた現代において、ITリテラシーを身に着けることが如何に重要であるかはいうまでもない。ただ、上述の偏見の存在を前提として理解しておくことが、情報の取捨選択を行っていく上で非常に重要になる。偏重した認識が、自己に都合の良い情報だけを無意識に取捨選択させ、虚構の世界を構築させる。
自身の視座・視野・視点を理解しよう。枠組・立場・時系列を積極的にシフト(変化)させよう。偏見がもたらす自身の認知の限界を突破しよう。もう一度まっさらな目で世界を見よう。「なぜ」を繰り返して、真因に辿り着こう。情報とは手段であり、それそのものは目的ではない。手に余る情報の数々を、本質を見極める思考で使いこなそう。
最後に
できるだけたくさんの情報に自分自身の手で触れることが肝要である。受動的なメディアからの情報を鵜呑みにせず、能動的に多くの情報を手に取ろう。たくさんの情報に触れることで、偏見を助長するのではなく、自己の論理的基軸(イデオロギー)を確立しよう。
自身の核を、公正中立な視点で見つめよう。自分が変われば、世界が変わる。この世界の普遍的な性質に目を向けよう。自分が世界を愛することで、世界に愛される人になろう。