見出し画像

1918年(大正7年)1月10日 祖父16歳の日記

一月十日 木曜日 雪後晴

1五時に起き、六時家を出づ。
月は出でおらざれば道暗々往々雪の中に入る。今日は暖かであったので非常に楽であった。
昼を待ちて餅を食う時の美味さとは格別なり。掃除して家に帰る。

2 寒稽古に行くことができたので第一に嬉しかった。
先生よりそれについて注意があった。

1自分の力を一時に出さず少しづつ出し必ず終わりまでなすこと。
2稽古にあまりを遅れずに期定の時間に必ず来ること。
遅れて来てただ2,30分ばかりするのは益少なし。この寒稽古は心身を練りて実力をなすが目的なれば寒き程良きなり。
3爪は短く切ること。
等であった。

3 皇太子殿下は朝4時より寒稽古をせらると。
それは我々に我を手本とせよとて示さるるが目的なりと。恐れ多きてとなりされば我々は少しの寒さには打ち勝つ元気がなければ我々臣民としての値は無きなり。
今年は雪は格別にて五十年以来の降雪なりと。舟津付近は五尺。高山は三尺五寸ほどふりなり。されば高山、舟津、富山の交通不便にして新聞などは今年にて2回ほどしか見ざると、以って察すべし。
また今年のブリの高きは交通不便のが大なる原因なりと言われた。