自分がやりたいことをやらない人生で、それでいいのか?
10代や20代の若い留学生たちと話をしていると、必ず一度は将来の話になる。
これからどういう人生を送るのか。
特に18歳になってない人たちは、とりあえず目の前に大きな人生の選択が迫っている。
日本からの留学生たちは、たまにこんなことを言う。
帰国生入試で入りやすい大学を受験します。
将来できるだけ稼げる仕事につきたいです。
親がこの職業がいいと言うんです。
確かに、そんな基準で18歳以降の選択をしてもいいだろう。「賢い選択」かもしれないし、それで「うまく」いくかもしれない。
でも、そこには、留学生自身が「自分はこれがやりたい」という基準がないように思う。
入りやすい大学も、稼げる仕事も、親が勧める職業も、自分の「外」の基準だ。
もちろん、現状をよく見ることは大切だし、客観的な情報も重要だ。お金を出してくれる親御さんの意見は尊重すべきだろう。
でも、一番大切なのは、「自分は何がしたいのか」ではないのか。それを持たずに、「外」の基準だけで人生の大切な選択をしてもいいのか。
そんな留学生には、私たちは、自分は何をしたいのかを一度考えてみてもいいかもしれません、とアドバイスをする。おせっかいも甚だしい。
でも、彼ら彼女らが30歳、40歳になったときに、自分の人生は自分で決めてきた、自分は自分がやりたいと思ったことをやってきた、と思えるかどうかは、とても大切なことだと思う。
そしてもう少しおせっかいなことを言えば、人生の大きな選択をするときに、「自分は何がしたいのか」そして「それはほんとうに自分が心の底からしたいことなのか」をゆっくりと深く考えることが必要だとも思う。
だって、人生は一度きりだ。18歳の一年間も、20代の10年間も、たった一度しかないし、二度と取り戻すことはできない。
その貴重な時間を、自分がやりたいことで埋めなくてどうするのか。入りやすい大学や稼げる仕事や親が勧める職業で、その時間を過ごして、それでいいのか。自分がやりたいことをやらずに終わる人生で、ほんとうにいいのか。
そんなことを、人生の大きな選択を前にして、一度じっくりと考えてみてもいいかもしれない。
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