世界の文化が織りなす、仕覆の至福!?
2019年は、
私にとって「お茶元年」と言えるような年だった。
大きなきっかけは、
世界に現存するただ3つの曜変天目茶碗に会いに行ったことだ。
春先、同時期に国宝の曜変天目が展示される、
またとない機会だと話題になった。
まず東京・世田谷の静嘉堂文庫美術館の稲葉天目、
続いて京都・大徳寺龍光院蔵の曜変天目を滋賀県のMIHOミュージアムで、
そして最後に奈良国立博物館では藤田美術館所蔵の曜変天目をみた。
曜変天目は中国の南宋から伝わったもので
唐物全盛の室町時代には、最高位の茶碗だったらしい。
茶碗はもちろんだが、初公開された龍光院の宝物は、
消化不良を起こすほど見応えがあったし
各会場でその数々の美術品から美意識やら時代の気の洗礼を受け、
よくぞこの時代まで大切に守ってきてくださいましたと
感謝の気持ちでいっぱいになった。
それから改めてお茶関連の本を読みまくり
まつわる時代や人物に触れた。
さらに12月には、
あの稲葉天目を包んだ仕覆が展示されているとのことで
静嘉堂文庫美術館の「名物裂と古渡更紗展」へ。
茶道具や煎茶道具を包む仕覆の美しさにため息・・
明時代の様々裂地の仕覆がずらりと並び
一つ一つに歴史と異国の空気やら高い美意識が感じられて
ただただ至福の時間だった。
これまで茶席で仕覆を拝見しても
ピンとこなかったのは、
まだ心の眼が開かれてなくて
結局、見ているようで見ていなかったのだ。
包む装飾の裂にまで心をゆきわたらせて
道具を大切にし
美意識を磨きあった茶道の世界の奥深さに
やっと気づけたのだった。