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それでも彼女は「大丈夫!私は元気だよ!」という

こんにちは。橘吉次たちばなきちじです。

今日は元気がでない。
身体のどこかに、穴が開いたみたいにエネルギーチャージができず「幸せ感」がプシューと抜けていく。

原因は明確だ。
昨夜、半年ぶりに旧職同期の女性と話した

「わあぉ、ご無沙汰!どうしてるー?」
「ホント久しぶりだよね!元気―?」

ってなかんじで、愉しくスタートしたんだが、どうも様子がオカシイ
突っ込んで聞いてみれば、心療内科に通って薬を飲み始めたらしい…


男女雇用機会均等法施行!翌年入社の同期女子


1986年男女雇用機会均等法が施行された
今から36年も前の話だ。

雇用における男女差を無くそう!という名目で、今まで男性限定とされていたトラック運転手とか車掌とか自衛隊とか…
女性もその職業につくことができるようになったのよ。

大手企業では、総合職で女性を採用することが始められた。
それまでは、異動あり転勤ありの総合職は男性のみで、
女性は事務などの一般職…というのが社会常識だったのだ。

あの時代。
女性の社会進出は時代の要請だったよね。
「花嫁修業」という言葉はすでに死語だったけど、仕事を持たない女性が書類の職業欄に「家事手伝い」と記入することは一般的だった時代だ。

女性たちよ!もっと社会にでて働きなさい!稼ぎなさい!

50年後には、少子高齢化社会で労働人口が減ることを予想した国家戦略だったし、女性が自立することで落ち込んだ経済成長率を取り戻す官民総出の一大プロモーションだった。

1987年 私たちは社会人となった
同期総合職入社
「女性であることに甘えず、存分に活躍してほしい」という入社式の社長訓示を憶えている。
今なら完全セクハラ・モラハラだ。

あれから30数年

彼女は社長訓示に従ったごとく、存分に活躍し
きちじが退社する頃(ちょうど一年前)に本社広報部長に昇進した…。


絵に描いたようなキャリアウーマン


彼女はエネルギーに溢れ、行動的で、正義感強く、能力高く、
同期の男性陣を振り切って、真っ先に管理職となった。

上司に意見することを怖れず、歯に衣着せぬもの言いをして、現状に甘んじることを嫌う戦う改革者だった。
日経新聞を隅々まで読み、部下よりも早く出社し、退社後はジムに通って体調を管理するまさにキャリアウーマン!

今年の5月に一度会った。

その時の彼女…
以前より口調がきつくなり、
部下が言うことを聞かないと憤慨し、
業績の悪化を食い止められない経営陣の無能をなじり、
そんな経営陣が安住している会社そのものを批判していた…

自分が所属している共同体を批判して
共同体の仲間を信用できない毎日が辛くない訳がないじゃん!

「大丈夫?ストレス溜まってるんじゃないの?」
当然そう訊いたよ。吉次は。

ダイジョブだいじょぶ、私は元気だよ。ちょっとイライラしてるだけ」
5月の彼女はそういって笑った…

そうなのだ。

男社会で頑張る女は、みんな鎧をまとう
強い女、負けない女、前向きな女、ポジティブな女
ずーっと何十年もその鎧を着ていると、もう身体に張り付いちゃって鎧を脱ぐ術を忘れてしまう。

だから、この手の女はみんな口を揃えてこう言う

「大丈夫!私は元気だよ」


どこが大丈夫なのだ…



夜、眠れないというのに
「ダイジョブ、いい薬飲んでるから、薬あれば眠れるし」

寝坊することが怖くて、週末しかベットで寝ないというのに
「ダイジョブ、睡眠時間は確保してますから」

料理する気になれずコンビニ弁当ばかりだというのに
「ダイジョブ、最近のお弁当種類多いし」

心療内科に通っているというのに
「ダイジョブ、薬もらってるだけ。カウンセリングなんて必要ないし」

そんな状態であるのに
「ダイジョブ、だいじょぶ、私元気だから!」

自分の生活や精神状態の異常に気がつけない

気付いても弱音を吐けない
だから気づかないふりをしてやり過ごす
終いに感性が摩耗して、まったく気づけなくなる…
そのうち心を病む
身体を壊す

もうどうすればいいのだ…
どうしてあげればいいのだ…

何もできない自分
無力感ダメージがもの凄くい…


戦友たち!幸せになってくれ!


弱音を吐けない、吐かない女性はウジャウジャいる
80年代、女性の社会進出にある種の社会的使命感を感じて、男性社会の逆風のなか頑張ってきた女性たちだ。

しなかやに生きる自立した女性
自由を謳歌する大人の女

スローガンは腐るほどあったが、
どうにも働きずらい環境の中で
なんか違和感を感じながら、疑問を抱えながら働いてきた
不平不満があるわけではないが、どこか欠乏感がある生活だった

私は社会的肩書が欲しかったのか?
私はお金が欲しかったのか?
私は権力が欲しかったのか?

違うよね
私たちは、幸せになりたかっただけだ
自分の力を発揮したかっただけだ
仲間に認められて、仲間を支えてあげたかっただけだ

自分が何を望んでいたのか?
わからなくなってしまった強い女性たち。

彼女たちが、あと数年で定年退職を迎える。

友よ!戦友たちよ!
私は戦線離脱をしたが、あなたの戦いは続いている
それもあと数年で終わる

戦場から離れたあと、あなたはどうするのだろうか?

頼む。
幸せになってくれ


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