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私はまだお姉さん。
お菓子屋さんでアルバイトをしていると沢山の子どもと接する。お菓子を手放したくなくて泣きながら渡してくれるboy(鼻水付き)。可愛いドレスとティアラを身につけ、「私の王子はどこ?」と今にも言いそうなプリンセスgirl。そんな子どもたちに笑い悩まさられながら、私はお菓子を届けている。
私はまだお姉さん。
私は9歳から10歳になる時泣いた。1桁の数字が2桁になったことに。急に大人にならなければいけない気持ちになった。
私は19歳から20歳になる時このまま消えてしまいたいと泣いた。20歳になるということは本当の大人になるということだ。周りはお酒を飲めると喜んだ。その隣で私はお茶を飲みながら泣いた。
20歳になってから1年がすごく早く感じる。50歳のパートさんは”若いっていいね”と言ってくれる。30歳のパートさんは”まだまだ若い”といってくれる。
それでも私にそんな言葉は入ってこない。
子どもと接していると、
"あぁこの子たちは私のことおばさんだって思ってるんだよな"と思ってしまう。
私が小学生だった頃、高校のセーラー服で自転車を漕いでいる学生を見て”大人だなぁ”と思った。
中学生だった頃、成人式の振袖を見て"すっごく大人だなぁ"と思った。
その度に私が大人になるのはまだまだだと思っていた。
気づけばもう大人。
あの頃"大人"だと思って見ていた人たちの年齢になった。あの頃見ていた"大人"と今の私はかけ離れすぎてまた泣いた。大人になりたくない。
ある時、レジに来た小さな男の子がお母さんに言った。
このお菓子お姉さんに渡したらいいの?お姉さん、このお菓子下さい。
私ってまだお姉さんなんだ…。
ある時、プリンセスな女の子が言った。
そのゴム(髪留め)可愛いね、プリンセスだね。
私ってプリンセスなんだ…。
泣いてお菓子を渡してくれない子ども。カゴにいっぱい詰めたお菓子を一つ一つ手渡ししてくれる子ども。そんな子どもたちに笑い悩まされ泣かされた。
まだお姉さんでいていいんだね。
小さい頃に憧れたプリンセスに私はなっていたんだね。
大人にはまだなりたくない。
だけど私が思っているよりも、結構いい大人なれているのかもしれない。
お姉さんでプリンセス。最高じゃん!!
思いがけないことで、子どもに救われたそんなお話。
⚠︎私の中でお姉さんは大人ではありません。子どもと大人の間。私の持論。