火葬炉の遺体撮影と情報隠蔽-湖南市崩壊の日
昨日(8月10日)と今日(8月11日)の京都新聞を読んだみなさんは驚きを隠せないのではないでしょうか。何が驚きかと言って、これほど驚いたということは近年ありませんでした。滋賀県湖南市は自治体としての体をなしていないのです。わが国の地方自治は、住民があり、議会があり、長のもとに補助機関たる職員組織があって初めて成り立ちます。湖南市においても市民がおり、湖南市議会があり、湖南市長のもとに湖南市役所があるのです。それが自治体の体をなしていないというのはどういうことでしょうか。
これまでは前市長が湖南市のことをチェックして指摘すると、職員が現職の生田邦夫市長との間で悩むのではないかと思い、特に最近は湖南市のことに触れるのを極力控えてきました。しかし、ここまで崩壊してしまっては黙っている必要性もなくなり、むしろ市役所内の心ある職員の心が折れてしまうのではないかと考え、少し文章を連ねてみようと思います。
湖南市議会の場合
昨日(8月10日)の京都新聞のコラム「うやむや」では、湖南市議会が説明責任を果たさない体質であることを厳しく指摘されていました。とりわけ、このコラムでは、8月1日に発行された市議会広報誌である「さわやかジャーナル」で、上野顕介議長と中土翔太市議の不祥事についてその顛末と謝罪が掲載されることを期待していたのにされなかったと失望した様子が書かれています。上野議長は政務活動費で運営しているHPで後援会の会員を長年募集していたというもの、中土市議は政治活動のためにタダで借りた事務所を転貸してお金をもらっていたというものです。
詳細は当該コラムに譲りますが、上野議長は全員協議会で市民への説明は広報誌ですべきと言いながら報告をしていない言行不一致を、中土市議は証拠書類を捨て、過去の言動は忘れたとしたうえで政治資金収支報告書を訂正して終わりにしようとしたということを指摘されています。こうした説明を回避する体質は今に始まったことなのでしょうか。
そこで、改めて過去の湖南市議会の抱える課題を遡ってみると、2020年10月3日の京都新聞に《市議が選挙区内の高校に後援会費 旧姓名義で3口、「寄付」にあたり法に抵触恐れ》と藤川みゆき市議(当時)の記事がありました。これは前回の湖南市長選挙の直前のタイミングに明らかになった記事でした。
また、湖南市議会議員選挙後の2021年11月9日には京都新聞が《市長になりすまし、市議選の推薦文自作 「誇大」と文言に批判も》、翌10日には朝日新聞が《湖南市議選ビラに候補者作の市長推薦文 市長謝罪のコメント》、中日新聞が《湖南市議が市長からの推薦文自作 10月選挙のビラに掲載》、読売新聞が《市議選で市長の推薦文自作…「文案を見た覚えがない」市長は「脇が甘かった」》という森淳市議(現副議長)についての記事を載せています。
続けて11月23日には京都新聞が《市議選前、有権者にブドウ配る 市議「寄付にあたると知らなかった」》と大島正秀市議の記事を掲載し、その流れで翌2022年1月15日の京都新聞に《市議選で推薦文自作や寄付行為疑い、2議員審査へ 滋賀・湖南で政倫審》とあるように、森市議の案件と大島市議の件が合わせて政治倫理審査会に審査請求がされました。並行して18日の京都新聞には《市長推薦文自作の市議を書類送付 滋賀県警、市議選巡り公選法違反疑い》と森市議が書類送検された記事が載りました。
28日の京都新聞は《ブドウを市民に配布、推薦文自作の2市議から聴取 滋賀・湖南市政倫審》とさっそく政治倫理審査会が動き始めたことを報じましたが、この2件と対抗するかのように、同日の毎日新聞が《湖南市議、転用許可得ず農地貸す 工事事務所に、収入68万円 税務署へ申告せず》と加藤貞一郎市議の記事を掲載しました。
2月22日の京都新聞は《湖南市2市議 選挙時行為で政倫審 有権者にブドウ「違反」 推薦文自作「抵触せず」 法定ビラの政治責任曖昧に》と続報し、3月17日には《市民40人にブドウ配布、公選法違反疑いで市議送検 滋賀・湖南》と大島市議についての報道を重ねます。
さらに23日には京都新聞が《市長関わる事案の審査会に市顧問弁護士 「利害関係者」抵触恐れ・湖南市》と報じたものの、30日には《湖南市市議の市長推薦文自作 市顧問弁護士委員 政倫審「問題なし」》、4月1日には《市長推薦文自作の市議、不起訴「犯罪成立を認めるに足りる証拠がなかった」》と森市議については政治倫理審査会、検察庁とも問題なし、不起訴と京都新聞が続報しました。
森市議は22日の産経新聞記事《選挙ビラに市長推薦文掲載の市議「違反行為なし」審査会報告 滋賀》の中で「ようやく安堵し、胸をなでおろした」と振り返りました。一方の大島市議については、この記事の中で「政治倫理基準に違反する行為があったと判断する」とされましたが、7月27日の京都新聞が《育てたブドウを有権者に贈る 滋賀県湖南市議を不起訴 嫌疑不十分で大津地検》と報じました。
ちなみに森市議と大島市議についての審査請求を行ったのは、赤祖父裕美市議、松井圭子市議、川波忠臣市議、細川ゆかり市議、副田悦子市議、中土翔太市議、柴田栄一市議の7人でした。並行して4月12日の京都新聞は《湖南市議員農地貸し巡り政倫審請求 議長に9市議》と加藤市議が政治倫理審査会の審査対象となったことを報じましたが、審査会にこの審査請求を行ったのは、藤川みゆき市議、大島正秀市議、上野顕介市議、森淳市議、奥村幹郎市議、中土翔太市議、堀田繁樹市議、柴田栄一市議、望月卓市議の9人でした。
ここで生田邦夫市長が絡んできます。5月13日には《9市議の政倫審 請求放置なら 湖南市長 市条例抵触恐れ 「納得できるまで審査会招集しない」》、7月6日には《湖南市長「政倫審開催は税金無駄」 市議の農地貸し問題巡り 請求9市議を批判》と京都新聞が、8月3日には《湖南市長「政倫審開催は税金無駄」 市議の農地貸し問題巡り 請求9市議を批判》と中日新聞が、それぞれ生田市長が政治倫理審査会の開催に抵抗している様子を報じました。
しかし、10日には京都新聞が《滋賀・湖南市議の農地貸し出し代金無申告、政治倫理審査会で審査決定》と記事を掲載、31日には毎日新聞も《農地問題 政倫審が現地視察 加藤市議に聞き取りも 湖南》と報道しています。最終的には11月12日の京都新聞にあるように《湖南市議農地問題 市基準に違反 政倫審が認定》とされますが、26日の京都新聞では《「私的な恨み、公金使って晴らそうと」 滋賀・湖南で相次ぐ政倫審 市長が批判》と生田市長が政倫審を巡る一連の動きに疑問を投げかけました。
その後の市議会の動きとしては、2023年2月14日に京都新聞が《チーム湖南が解散 藤川氏令和会退会 湖南市会の会派構成変更》としていますが、これは2カ月後の県議会議員選挙に藤川市議の夫が出馬することを巡っての動きでした。4月10日に毎日新聞が《湖南市 塚本氏3選ならず》と報じるように、現職の自民党公認菅沼利紀県議と市議を辞職して立候補した日本維新の会公認の柴田県議が当選しました。その結果、選挙後の変動として22日の京都新聞は《湖南市議会に新会派 2会派解散》と湖南市議会では自民党系と立憲民主党系の会派が大同合併したことを伝えています。
元湖南市議の塚本県議が落選すると、6月5日の京都新聞は《塚本元滋賀県議、政活費「還流」 21年衆院選時 事務所、党に転貸 7万円 家賃を個人収入に》と報じました。12月17日には京都新聞が《立候補市議、立候補していない市議に大差敗退 湖南市会副議長選 議事に指命推選の「脚本」 立候補市議造反、シナリオ狂う 議会改革の流れに逆行》と議事の出来レースを伝えていますが、これは森市議を無投票で副議長にするシナリオが突然の赤祖父市議の立候補でご破算になり、無記名投票したら立候補していない森市議が当選してしまったというお粗末な話です。
そして、2024年2月6日に京都新聞が《政活費で後援会活動 湖南市会・上野議長 HP上で会員募集 地方自治法抵触恐れ》と報じました。今回の「うやむや」のひとつですが、これは2022年11月5日に京都新聞が《湖南市会・上野副議長の政活費 HP更新なし 10万円受領 18年から3年以上 識者「実態伴わぬ」》と報じていたものが是正されていないものでした。上野議長は2月25日の京都新聞によると《政活費で後援会会員募集 湖南市会議長が謝罪》しているようですが、同日の京都新聞は新たにもうひとつの「うやむや」である《無償事務所を有償転貸 中土湖南市議と団体 金儲け図り悪質》を掘り起こします。こうした様子は3月5日のコラム「ご都合市議」で強く非難され、13日には《滋賀県湖南市議会「不祥事調査」なぜ始まらない? 2市議、違法疑いも詳しい説明なく》と市民の懸念の声を伝えています。
これが冒頭のコラム「うやむや」につながっているのですが、このコラムに至るまでにも、6月27日には《まさか市会議員が勝手に 元議長、自分の畑へ「ただ」で農業用水 権利なし「知らなかった」》と望月卓市議について、7月17日には《立民の滋賀・湖南市支部に「迂回献金」の指摘 寄付受領3日後に別団体に移す》と会計責任者だった奥村幹夫市議について不祥事を指摘しているのに、市議会は広報誌で正面から問題に取り組んでこなかったというコラムになっていたのでした。
湖南市長の場合
地方自治の車の両輪と言われる市議会がこうした状況であることに対して、もう片方の車輪である市長はどうなのでしょうか。今朝の京都新聞のスクープがそれを報じています。曰く《湖南市職員 火葬炉の遺体撮影 知人と写真共有 市、詳細公表せず》と。にわかには信じられない超ド級の不祥事なのですが、人権意識の欠如が組織的に隠蔽されてきたという致命的な状況であり、京都新聞の筆を借りると「根拠のない理由で、核心部分の事実を恣意的に非公開とし、死者の尊厳を踏みにじる前代未聞の不祥事を身内の論理で隠蔽を図っていた」というものでした。
もはやため息も出ないほどであり、組織として崩壊しています。終わっています。副市長以下の幹部で当該行為を行った職員の処分を審査し、市長の決裁を得ており、さらには市長が被害者に直接謝罪しているので、市長が事態を知らなかったはずはありません。むしろ詳細を知っていながら1割給料カット6か月という甘い処分に収めたうえ、その状況を意図的に公開しようとせず、度重なる京都新聞の調査報道の前に、ようやくしぶしぶと隠蔽の重い扉が開かれたという感じでしょうか。
火葬場の炉の確認窓を開けて亡くなられた方のご遺体をスマフォで撮影して、それをLINEで共有したということを聞いて、頭を思いきり濡れタオルで殴られた感じがし、瞬時に背筋が凍り付きました。人間としてあり得ない行為であり、公務員として信じられない状況に呆然としました。しかも、そのことを市民に公表しない。これは湖南市役所に対する市民の信頼が地に墜ちるばかりか地面を突き抜けて地球の裏側まで到達させるような案件です。行為から処分、そして隠蔽までの一連の流れを観察すれば、市民にとって、まずは、誰もが安心して火葬場を利用できなくなる可能性が出現したこと、さらにはその内容について恣意的に組織的な隠蔽行動を行ったという事実からは、市民の個人情報と職務権限の塊である湖南市長ならびに湖南市役所に1円の税金も、ひとつの権限も預けておくことができなくなったということなのです。
この後、いくら言い訳を重ねたとしても、恣意的な組織的隠蔽行動を行った市長ならびに市役所が述べることをいったい誰が信用するというのでしょうか。自民党の裏金問題など軽く吹き飛ぶような重量級の市役所崩壊状況です。しかも、県議会議長経験の市長と県から出向している副市長が市役所幹部職員と示し合わせて市民に対して情報を隠蔽したということは、政治、行政が同時に信頼崩壊を招来したということなのです。
こうした説明を回避する体質は今に始まったことなのでしょうか。大きな状況としては、もともと耐震度がなかった市役所庁舎のために危機管理や環境対応、DX対応も万全かつ最先端のものとして2020年3月までに実施設計までを終え、有利な予算措置まで準備できていた庁舎改築計画を市長選挙の争点にしようとした、市民に対する背信行為から始まっていました。生田市長が無投票当選した直後の12月1日の京都新聞が《新庁舎建て替え、時間かけ見直す 湖南市長が所信表明》と報じるように、早々にそうした無定見な方針を明示しています。
その後、22日の京都新聞は《滋賀・湖南市長が女子中学生はねる 農道交差点で 市役所向かう途中「申し訳ありません」》と生田市長運転の交通事故を報じています。これは市長としての公務ではなく、自身が経営している病院へ向かう途中で登校途上の女子中学生をはねたものでしたが、そのまま年内に説明のための記者会見はありませんでした。年が明けて2021年となると、1月5日の京都新聞が《市長人身事故「前方不注意、自身の『処分』をしたい」 滋賀・湖南》、6日の中日新聞が《車で自転車衝突事故、湖南市長「深く反省」 自身の処分も言及》と定例記者会見の様子を伝えました。14日の中日新聞が《湖南市長の給与を2カ月10%減額 市、女子中学生の事故受け》と当局発表を、20日の毎日新聞が《湖南市長の給与減額、条例案を可決 事故巡り》と市議会の議決結果をそれぞれ報じています。
京都新聞は、3月8日には《市長経営の病院、発表前に「ワクチン接種会場」看板 「立場利用し利益誘導」市民から批判》、6月2日には《医師の市長、自らワクチン接種に従事 公務時間外に自身経営の病院で》、7月4日には《コロナワクチン接種、また使用済み注射器使用 滋賀・湖南市、報告徹底指導》《使用済み注射器を刺すも、内規に反し公表せず ワクチン接種、委託先は市長経営の医療機関》と新型コロナ対応での不適切な対応や隠蔽体質を批判しています。生田市長の政治姿勢に関しては、8月4日に京都新聞が《滋賀・湖南市長いつの間にか自民復党 市長選は旧民主系の支援受けるため離党》と市長選挙時の無所属が偽装離党であったことをスクープしています。
生田市長は市長に就任しても法人理事長を兼ね続けてていたことから、翌2022年2月28日には京都新聞に《湖南市 地域包括支援センター委託 3支所、市長関連法人に 新年度から 市、「他に応募なく」 業務量増、「外部委託」の潮流も 委託料は低水準 働きかけの時間なく》と市政の私物化を批判されますが、4月6日の京都新聞では《生田湖南市長「利益出ない」 包括支援センター業務 関連法人が受託で》と反論にならない言い訳をしていることも報じられました。利益が出ようが出まいが法人と市長の双方代理は市民の疑惑を色濃くします。
さらに、6月27日の産経新聞は《滋賀・湖南市長が接触事故、1年半前も》、翌28日の朝日新聞も《滋賀・湖南市長が接触事故、「瞬時の不注意、反省」 1年半前にも》と生田市長運転の交通事故について、就任直後に女子中学生をはねたときに反省したことを忘れたかのように同じ反省を口にしている様子を伝えています。また、8月30日の京都新聞も《湖南市 市長経営病院など 物価対策で補助金 3ヵ所 国交付金余剰見込む》と法人理事長を兼ね続けていることで疑われる双方代理による利権の疑惑を回避しようともしない姿勢が報じられました。
そんな生田市長は、新年を迎えた2023年1月12日の京都新聞が《湖南市出初め式で 生田市長救急搬送 「健康状態に問題なし」》と報じるように、体調不安が伝えられます。4月に県議会議員選挙を控えた2月10日、今度は《滋賀・湖南市長が公職選挙法に抵触か 後援団体に寄付行為》と迂回献金の疑いを掲載します。18日には《湖南市長が事務所費肩代わり 支援団体、家賃計上せず 政治資金収支報告書に 規制法抵触か》、27日には《湖南市長政治資金報告書不正記載 秘書が無断で記名押印 有印私文書偽造 重大な違反行為 相次ぐ不正 見えぬ実態 秘書1人で会計 歯止め効かず》と塚本県議を巻き込んで事態は大きくなり、結果として塚本県議は落選してしまいました。その後、塚本県議本人にも政務活動費還流疑惑が報じられたことはすでに触れました。いずれも京都新聞のスクープです。6月5日には京都新聞が《政治資金報告書に虚偽記載 滋賀・湖南市長が自身に2度目の減給処分へ》と報じています。
さて、ここで説明を回避する体質の元となった庁舎問題に触れていきましょう。8月4日には京都新聞が《湖南市庁舎再整備 年度内にも中間案》と報じます。そして、29日に京都新聞が《湖南市 石部文化センター撤去へ 図書館など廃止で 耐用年数27年残し》と伝えると、ここから雲行きは一気に怪しくなります。なぜなら石部にある西庁舎なら耐震度が不十分で建て替えが必要なのですが、石部総合文化センターは耐震度が十分ある建物なのです。それを廃止すると突然言い出したので、石部地区は蜂の巣をつつく騒ぎになりました。
9月19日に《石部の図書館・文化ホールと文化総合センター 「廃止・解体」地域に波紋 湖南市、説明乏しく 住民「市会で積極的議論を」》、20日は《滋賀県湖南市の図書館と文化ホール、「廃止」は継続審議 傍聴人、異例の多さ》と京都新聞が伝えますが、ここでこれまで県に拒否され続けた副市長人事として30日の京都新聞が《湖南市副市長 橋本氏を選任》を報じました。10月4日には《石部図書館蔵書を配布意向 廃止検討の湖南市長 市内全小中学校に》と生田市長が議会を軽視して火に油を注ぎ、15日に《石部図書館廃止案を否決 湖南市会委員会 全員反対、本会議でも否決へ》、さらには11月11日に《滋賀県湖南市議会、図書館と文化ホールの廃止案を否決 「丁寧な説明したのか」》と構想がとん挫する様子を京都新聞が報じ続けました。
さらに、12月9日には京都新聞が《滋賀・湖南市長の公約「小学校給食無償化」 任期中の実現は困難な状況に》と見切りをつけましたが、年が改まって2024年1月31日の京都新聞が《滋賀県湖南市の生田市長が転倒、腰の骨折る》と伝えるように、これ以降の生田市長はほぼ車椅子生活で市長活動を続けています。庁舎問題では、3月22日の読売新聞が《湖南、大津、近江八幡 3市庁舎耐震不十分》と指摘、元日の能登半島地震やこれから警戒される南海トラフ地震への不安を覗かせました。また、4月3日には京都新聞が《湖南市庁舎整備24億円増見込み 建て替え 市長「一定仕方ない」 概算の参考費用を公表》と報じて市民の反発が広がりました。
そうこうするうちに、5月20日の京都新聞が《「椿井文書」文化財解除へ 湖南市「偽史理由」に》を報じると、29日には産経新聞も《日本最大級の偽文書の価値は 滋賀・湖南市「椿井文書」異例の文化財解除へ》と続き、6月1日の《滋賀県湖南市の「椿井文書」絵図は偽文書? 文化財指定解除の方針に地元は反発》、5日の《「椿井文書」文化財指定解除方針 湖南市長「結論に時間」》と京都新聞が伝えるように、湖南市長は江戸時代の偽文書を巡り振り回されるようになります。
そこに降って湧いたのが、今回の火葬場での遺体撮影事件と一緒に処分された外国人差別発言事件でした。6月1日の京都新聞は《「働かない外国人が増えたら、生活保護が増える」発言の職員、差別として懲戒処分…滋賀県湖南市》、毎日新聞は《「外国人に偏見ある」発言も 市職員2人を懲戒処分 滋賀・湖南》、読売新聞は《「火事の際、外国人が火を消したら破壊活動になる」…不適切発言の湖南市職員を懲戒処分》と報じましたが、SNS上では湖南市が炎上することになりました。19日には京都新聞が《立て続けに市職員が不祥事 滋賀県湖南市長と副市長「引責減給」議案を提案》と伝える結果となりました。これは、女子中学生をはねたこと、政治資金収支報告書に虚偽記載をしたことに続く3度目の処分で、27日に市議会で議決されています。
庁舎問題は7月8日の中日新聞が《湖南市の庁舎整備、市民アンケートで「全面建て替え」が6割以上に》と報じましたが、4年前に着工直前まで行くときに市民理解は予め得ていたので今さらであり当然のことでした。そして、8月7日の京都新聞が《滋賀県湖南市の市庁舎整備計画「任期終了までに方向性示すのは難しい」市長が方針転換》と伝えるように、自ら選挙の争点に掲げたすでに実施設計まで終わっていた庁舎改築計画をわざわざ止めたことにより、あとは着工しさえすれば、もう2年も前に新しい庁舎が完成して、安全安心な危機管理対策が可能となっていたものを、さらに費用をかけ、さらに先送りしなければならないことが明らかとなりました。
結果として市民は
そして、本日(8月11日)の京都新聞のスクープである《湖南市職員 火葬炉の遺体撮影 知人と写真共有 市、詳細を公表せず 情報隠蔽「身内の論理」》につながるのです。トップである市長が重ねてきた当初からできない公約をその場限りの言い訳で繕い続けるということと、度重なる不祥事に情報公開の重要性を忘れて神経が麻痺し、公務員の基本を忘れて隠蔽を組織的に行おうとするフォロワーたちで構成される市役所ができあがったことは、必然であったといえます。
6月27日の令和6年6月湖南市議会定例会最終日で「湖南市長等の給料月額の特例に関する条例の制定について」が議決され、生田市長の4年の任期中3度目の処分が行われました。市長の処分はお手盛りになるのを防ぐために減給の場合は議会の議決が必要になります。最初の女子中学生をはねたことは極めて外形的なので議論の余地もないでしょう。2度目の政治資金収支報告書に虚偽記載をしたことについても、2023年2月10日、18日、27日と3度にわたる京都新聞の調査報道が詳細に実態を伝えていたことから特に本人からの弁明がない限り処分は妥当だったでしょう。しかし、3度目の処分についてはどうだったでしょうか。
外国人差別発言を繰り返した50代次長級職員と何をしたかわからないが次長の倍の処分を受けた20代男性職員の2人の処分の引責減給ということであれば、どう考えても何をしたかわからないが次長の倍の処分を受けた20代男性職員が何をして処分を受けたのかをなぜ議会が問い質さなかったのか、と不思議に思います。そこには生田市政が誕生するに際して集まった議員たちとの間の共存関係が影響しているのでしょう。共依存ですから、「第三者」である市民の姿はそのかけらも目に映っていません。市民のために説明させるという職責を湖南市議会は放棄しているといえます。
そうした市議の動きのひとつとして、7月11日にはびわ湖放送が《湖南市長選に市議会議員が立候補表明》と藤川みゆき市議の市長選出馬会見を報じました。藤川市議は昨年の県議会議員選挙で生田市長の応援を受けながら夫が選挙をして落選したという間柄になります。その後、生田市長とつながっているのか袂を分かったのかについての経緯は何らの説明もないので、どういう立ち位置になるのかは不透明です。政治家には説明をする義務があります。そして、政治家に対して説明を求める権利は有権者にあるのです。
誰も説明しないまち、湖南市。政治と行政の信頼は地に墜ちています。