僕達がファッションモンスターたちの政治発言(ハッシュタグ)に心動かされる理由~禁断の説得術(プロパガンダ)
「#検察法改正案に抗議します」
ここ最近インターネット、とくにtwitterで多くの人が取り上げた話題がいくつかありました。
「#検察法改正案に反対します」もその一つです。
水増し、捏造ではという声はありましたが、総twee数は述べ一千万件をこえていたという話もあります。
ここまで声が大きくなった理由には、多くの有名人達がこのハッシュタグで政治的意見を呟いたというのが大きかったでしょう。
とくに注目されたのが歌手の「きゃりーぱみゅぱみゅ」さんも、このハッシュタグをつけた呟きをされたことでした。
現在、このtweetは削除されています。
その理由も全て彼女の固定tweetで見ることが出来ます。
今回この記事では彼女の発言の内容に対して言及はしません。
ただ何故彼女の発言が私たちに検察法改正案」といった政治問題に意識を向けさせたのかを、説得術、とくにプロパガンダのテクニックの観点から紹介したいと思います。
ここで使うプロパガンダとは
「政治的な宣伝、広報」という意味で考えて貰えれば大丈夫です。
テクニック⒈『認知的不協和』
彼女に限らず、思いがけない人々の発言が多くの人々の心を動かすことはあります。
みなさんもグレタさんのことは覚えられているでしょう。
スエーデン生まれの16歳の少女ながら環境活動家として有名です。
初めて彼女の存在を知り、国連で演説する姿を見たとき私たちは驚かされました。
その後ノーベル賞の候補となり、
アメリカの雑誌「TIMS」では
2019年を代表する人として
史上最年少で表紙を飾りました。
われわれ人間の脳はギャップ、矛盾といったものを嫌います。
そして外の世界の出来事が矛盾していた場合、頭の中で考え方の方を合わせようとします。
これを「認知的不協和」と言います。
グレタさんを例に見て見ます。
私たちがニュースでグレタさんの国連での環境活動のニュースを見たとします。
私たちのいつもの生活では「16歳の女子高生」tたが「国連」で「環境問題について演説する」姿は不思議に見えます。
これがいかにも大学教授といった「中年」の「植物学者」が国会で、環境問題について説明していたらどうでしょ。
どちらがギャップが強いでしょうか?
どちらが訴えている内容が重要に思えるでしょうか?
私たちは少女の訴えを見聞きすることで、彼女の訴えを必要以上に考えてしまうのです。
今回のきゃりーさんの発言にも似たようなところがあります。
普段の歌手としてのわれわれが知っている彼女から出てくる言葉として「検察法改正案」というのは大きなギャップを感じます。
これがラサール石井さんや松尾貴史さんといった、
普段からリベラルな発言を繰り返しているタレントの書き込みだったらどうでしょう。
やはり彼女のハッシュタグの方が問題をより重要にみせてくれます。
同じ世界平和を訴えるにしても安倍総理やトランプ大統領よりも、
制服姿の女子中学生のスピーチの方が胸に迫ってきます。
これも「認知的不協和」によるものなのです。
テクニック⒉『美しい人』
芸能人の政治的発言で注目されたのが柴咲コウさんでした。
彼女もまた削除をされましたが「種苗法」という聞き慣れない法律が改正されると声を上げました。
きゃりーさんは親しみのある可愛い女性ですが、
柴咲さんは綺麗な女優さんと言う気がします。
このような"美女"の訴えは私たちの心に残ります。
このような美しい女性や男性が影響力を強めるということはよくある事です。
『影響力の武器』でもk「権威」という章の中で、
見た目を良くすることで説得力上がるということが取り上げられています。
実際に公共機関のポスターには若手の女性タレントが採用されていますし、
一日警察署長に女性タレントがなるというのもあります。
そして業界が自分たちをアピールするのに「美しすぎる〇〇」として
代表的な美女をイメージ戦略とすることが流行りました。
【参照】
テクニック3.『ダレトク?」
『韓非子』にこのような話があります。
呉の国王にはどうしても倒したい敵国がありました。
しかしその警戒心が強く守りが固く攻めいることが出来ません。
そこである計略を実行します。
彼は自分の大切な部下に演説を次のような演説をさせました。
「われわれはかの国に攻め入って滅ぼさねばならない」
呉国王はその発言が不謹慎なものであるという理由で部下をすぐさま殺してしまいました。
敵国の王はその話を聞き呉国王に対して安心感を覚えて武装を弛めました。
武装が緩んだのを確認した呉軍は敵国に討ち入り滅ぼしてしまいました。
ここに相手の信頼感を得るのに有効なルールを学ぶことが出来ます。
自分自身の利益に反する行動、つまり
何も得るものがない、むしろ損するかのように見える行動をとる事で
相手に信頼できるような人物に見せることができるのです。
きゃりーさんのtweetも彼女にとって何のメリットも見られません。
むしr彼女の発言に対してアンチが避難するような言動が書き込まれデメリットもうまれました。
彼女の言葉を信じる人々にとってあの時の彼女は
火あぶりにあう聖女ジャンヌ・ダルクに見えたかも知れません。
テクニック⒋『影響を与えない』
あなたは今ある株のセールストークを受けている。
その証券マンはあらゆる資料、データを提示してあなたにAという企業を勧めてくる。
彼によると今あなたがこの企業の株を購入すると少なくとも1.5倍にはなると言う。
これは上得意の1部の客にのみの特別な情報だと、お決まりの口説き文句を言う。
しかしあなたは結論を保留にして彼と別れる。
セールスマンが客に株を売り込むのは当然の仕事であり、彼らはそれによって報酬を手にする。
彼らの言葉を100%信じ込むのは愚かとも言える。
しかし家に帰るとあなたの妻(夫)があなたに告げる。
彼女は喫茶店で例の証券マンを見かけた。
そして偶然彼とその同僚がプライベートでの株の取り引きの話をしていたという。
それによると証券マンが奨めていた株は1年後には1.5倍では済まない利益を出すというのだ。
しかも証券マン達はすでにかなりの額の株を購入しているという!!
あなたはすぐさま証券会社に電話して担当者を呼び出すことにした。
同じ内容の情報でも、説得しよう、納得しようという意図が見えると説得力が落ちることがあります。
あなたに向けられた言葉もあなたに何かアクションを起こさせようと言う意図を感じると身構えてしまうのです。
きゃりーさんの最初の発言は
「#検察法改正案に抗議します」だけでした。
同様のtweetの多くが、
この改正によって大変なことが起こるという呟きをしていたことを考えると、
あっさりとしたものです。
それだけに説得力はより一層強くなっていたのではないでしょうか。
一緒に抗議して欲しいとか、政治批判がないことで検察法改正に対する彼女の抗議に関する意思が強く感じられます。
ここで「アベガー」「独裁ガー」と言う言葉は添えられていたなら、
野党の女性政治家やワイドショーの女性コメンテーターの姿と被り
そのtweetの影響力は彼女のイメージと一緒に落ちて行ったかもしれません。
プロパガンダという言葉を聞くと、
ヒトラーやナチス・ドイツが使っていた、
歴史上の政治テクニックと思われがちです。
しかしワイドナショーで指原莉乃さんが参加交渉を受けていたという証言があるように、
現代でもある種のムーブメント、
とくに政治的発言を誘導するのに使われています。
もちろんこれらのテクニックを知ることで
プロパガンダを使った個人攻撃からあなたの身を護ること役立ちます。
逆にあなたが使うことで見知らぬ多くの他人を味方にすることも可能なのです。
また機会があればまたプロパガンダテクニックを紹介してみたいと思います。
そのことで現代のわれわれの身近にもプロパガンダのテクニックが使われていることを感じられるでしょう。
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