母が信じてくれたからこそ
私がまだ幼かった頃、母はいつも私を見守りながら、何も言わずにそっと微笑んでいた。私がどんなに失敗を重ねても、母は一度も私を叱ることなく、ただ信じ続けてくれた。その信頼の眼差しは、私にとってどれほどの励みになったか、当時の私は気づいていなかった。
学校では、私は他の子どもたちと同じように無邪気に遊び、笑い合っていた。しかし、勉強に関しては、まったく興味が湧かなかった。クラスで最も劣等生だった私は、何度も自分の無力さを感じ、周囲からも軽蔑されていた。家に帰るたび、母の前で何度も泣いた。「僕には何もできないよ」と。
しかし、母はただ優しく私の頭を撫で、「あなたには素晴らしい未来が待っている」と何度も言ってくれた。その言葉は、子供だった私には信じられないように思えた。何度も「なぜ母はこんなに私を信じてくれるのだろう」と考えたが、答えは見つからなかった。
ある日、私は学校のテストで最悪の成績を取ってしまった。教師からの失望の目と、友達の冷たい視線に耐えきれず、家に帰る道中で泣きじゃくった。家に帰ると、母が私を出迎えてくれた。そのとき、私は初めて母の前で本音をぶつけた。
「僕には無理だよ。何もできない。僕は失敗作なんだ。」
すると、母は私を強く抱きしめ、静かにこう言った。
「失敗なんて誰にでもある。でも、それで自分を諦めてはいけない。私はあなたを信じている。どんなに時間がかかっても、あなたは必ず自分の道を見つける。あなたの力を、私は知っている。」
その瞬間、母の言葉は深く私の心に刺さった。母がここまで私を信じてくれているのに、自分自身を信じないなんて、そんなことが許されるだろうか。私はその日から少しずつ、母が言っていた「力」を信じ始めた。
時が経ち、私も成長していく中で、自分の才能に少しずつ気づき始めた。絵を描くことが得意だった私は、その道を選び、何度も挑戦を続けた。そして、いつしか人々からも認められるようになった。だが、どれだけの成功を収めても、私の胸には一つの思いが常にあった。それは、母への感謝だった。
もし、母が私を信じ続けてくれなかったら、私はここまで来ることはできなかっただろう。母の信じる力が、私を支えてくれたのだ。母がいなければ、私はきっと途中で諦めていたに違いない。
母は今、この世にはいないが、彼女の言葉と信念は今でも私の中で生き続けている。母が信じてくれたからこそ、私は自分の夢を追い続け、ここまで来ることができたのだ。母の愛と信頼は、私にとって永遠の宝物であり、これからもずっと私の道を照らし続けるだろう。