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雨とウソ薬

今朝は梅雨の雨がしとしと降って、静かな雨音の中で目が覚める。

子供の頃からこういう日は、本当にぐっすりとよく眠れた。という気分で起きられる。


2000年頃にあったマイナスイオンのブーム。

雨のときはマイナスイオンが発生する、マイナスイオンは健康効果があると言われていたころ、僕はそれを全く疑っていなかった。

雨の日の安らかな気分、今まで感じていたことに根拠がついて、むしろ納得していた。


「マイナスイオンってさ、嘘らしいよ。」

それだけに、友人から聞いたときはショックだった。

何処ぞやの企業や、何処ぞやの番組の思惑に踊らされていただけだったと気づく。

現在もマイナスイオンの存在や効果は黒またはグレーゾーンにあるようだ。


今朝も目が覚めてからしばし、このマイナスイオンの話を思い出していた。

そして、それに紐づいてもう一つ、ずっと昔の記憶が引っ張り出されてきた。

僕が物心つくかつかないかの頃で、記憶は断片的に残るだけだ。

父親だったか、母親だったのか、僕は車に乗って親と二人で病院へ行く。

もしかしたら1つ目の病院ではたらい回しにされて、診てもらえたのは次の病院だったかもしれない。

近所の街中の病院や医者ではなく、少し離れた大きな市の医者で診療を受けた。

病名は不明だが、症状はこうだ。(ちょっと変なことを書くが、、)

口を大きく開ける、顎(顎の骨)を少しずらす、顎をガックンとさせながら閉じる。

これを時折繰り返す、というおかしな癖がついてしまったのだ。

これが一番近そうな例えで言うと、指をポキポキ鳴らす人、だろうか。

前触れや意味が無く、手を組んで鳴らす。

そんなことを何気にやるのと同じで、顎をガックンとさせる。

指を鳴らしても別にそれはただの癖、ということで害悪はないのだが、顎をガックンさせる僕を観て、親たちはあまりにおかしな奇行だと思ったのだろう。

実際僕も、何気なくやっていたことだったと思うのだが、親たちに「何それ?」「いつからやってるの?」などと問われているうちに、重大な良くないことにをやっているという気持ちになっていった部分がある気がする。

次第に不安な気持ちになり、自分なりに止めようと思うのだが、しゃっくりのようにやめられない。

今思うと、自分で自分を追い詰めて、よけいに止まらなくなってしまう精神性に陥っていた可能性がある。


ともあれ、医者の診断を受け飲み薬を処方された。

その時の医者の言葉や病院の景色などは覚えていないが、次にある記憶は祖母の背中におぶられている光景だ。

祖母は背中の僕に「大丈夫だよ。良くなるよ。良くなってきたよ。」というような言葉をかけてくれている。

屋外の田んぼのあぜ道、夕方だ。

これも記憶に薄いが、祖母は僕が必要以上に不安にならないように献身的に接してくれていたことと思う。


その後何度かは通院したのだろうが、その記憶もほぼない。

1ヶ月か、それ以上か、医者の処方した薬を飲みながら生活して、顎をガックンさせる癖は消えた。


今思い返すと、どう考えても病気などではなく、精神的な作用で癖が止まらなくなっていたと推察するのだが。

子供頃は他の骨や関節と同様に、顎の骨の関節も柔らかくて、鳴らすのが面白くなってしまったのが始まりではないだろうか。

そして思い出すのは、医者から処方されていたあの錠剤だ。

あれはウソ薬だったのではないだろうか。

ただのデンプンの固まりのようなものとか、ビタミン剤とか、、。

実際にプラセボ薬、偽薬(ぎやく)とう物があるという。

効果を持たない薬でも、“飲んだ”という行為により無意識に効果が生じるものだそうだ。(プラセボ効果と言うらしい)


ウソ薬と祖母の献身で治ったのかと考えたら、おかしさと、申し訳ない気持ちが入り交じる。


まぁ、今日は目覚めが良かったので、マイナスイオンもあの薬も、ウソでも本当でも今となってはどっちでもいいや、の気分なのだが。


最後まで読んでくださってありがとうございました。

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