心配なのはアナタ 2
心配されるといえばMさんのことを思い出さないわけにはいきません。
Mさんはお話しして伝えることができるお子さんでした。
当初は一語で「ブーブー」といった幼児語でお話しをされていたのですが、それは言いやすいからだとわかり、私の方からはなるべく完成された文章でゆっくり話して返すようにしていました。そのような繰り返しの中で徐々に話す内容が長くなり、つなぐ言葉もうまくつかえるようになってきました。
Mさんはわたしのことを「かー」と読んでいました。「たかし」の「か」が一番言いやすかったからです。
そんなMさんに私は常に心配されていました。私も、ですね。
トイレでMさんのオムツを替えているときに、ちょっとだけ鼻をすすると、すかさず「かー、だいじょうぶ?」とMさんが尋ねてきました。「あぁ、大丈夫だよ。ちょっと鼻水がでてきたんだけど、風邪ではないから大丈夫。」
くしゃみをすると「かー、だいじょうぶ?」。「あっ」と思わず声が出ても「かー、だいじょうぶ?」。
私がMさんのことを気にかける十倍も百倍もいつもMさんが心配してくれることを毎日感じていました。
Mさんと同じように、お話しして伝えることが難しいお子さんも、大人が気にかける十倍も百倍も「心配返し」してくれていることを感じています。
だからこの仕事はとても素敵な仕事だと思っています。