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強く面白い者たち(2025年2月3日の日記)
そういや『推しの子』の舞台を見たんですよ。
アーカイブ配信でですが……そして今見たら配信期間終わってましたね。気になる人は…円盤コースだ…
実を言うと、私は推しの子を漫画でもアニメでも全然履修したことがない。いわゆるさわりのあらすじというか、人気アイドルが殺されて…彼女の双子は実は生まれ変わりで…犯人を探し芸能界へ…みたいなあたりだけ知っている状態。
そんなウロな感じで見たけれど、舞台の内容はそういうサスペンス調の「でっかい物語」をかなりばっさりと切り落とし、俳優や漫画家、舞台制作の"お仕事モノ"にフォーカスしていたので、ミリしら具合をほとんど気にせず見られて面白かった。お仕事モノとしての面白さで十分楽しめた。
しかしアレですね。お仕事ものドラマってやっぱり、どんな紆余曲折があったとて、この仕事はやりがいがあってかっこいい!ってのでできてるじゃないですか。医療ドラマとか、料理人ドラマとか。ただ、実際ドラマを作っている人たちは医者でもパティシエでも警察官でもない部外者なので、そのへんは「それらしく」してあればおkということになる。もちろん監修は入るだろうけど、もっともらしささえあればいいというか…
ただ、これは舞台制作のお仕事についての物語なわけで……本気で「この仕事はいいもんだぜ!」「これが面白い舞台ってやつなんだぜ!」って思って作られているわけですよね。というか、そうなんですよね?と思われるのを承知で作っているんですね?というか……
さらに、例えばレストランのお仕事ドラマで「感動的な味の料理」が出てくるとして、それを我々は食べられない。ははぁそういうもんなんですねそちらの世界ではね、で流せる。でも、この舞台で出てくる「感動的な演技」はちゃんと実物をお出ししないといけない。これを我々制作サイドは「感動的な演技」だと思っています!と宣言しないといけない。
そういう意味で、説得力というものがめちゃくちゃ大事な作品で、それができるという信頼と自負ありきの企画すぎることに目眩がしちゃったな。任すのも任されるのも怖すぎ!「面白いものをつくるドラマ」を作るには、面白いものがわかっていて、面白いものを作る方法もわかっていて、それを遂行する技術がないといけない。世の中には、面白いもんを作ろうとしたのに面白くならなかった成れの果てだって無数に存在するのに……
まぁ見る私も、お話何も知らないのに、中屋敷さんがやるのかァ……おお北村さんに馬場さんに鯨井さんじゃん……ふ〜ん……じゃあ見るかァ……という座組への信頼一点賭けで見たわけで……実際それに応えてもらえてこんなに嬉しいことはないのですが……
作ってて、やばいよ〜怖いよ〜ってならんかったんかな。なりはしたんじゃないかな。私だったら無理!!ってなるもん。企画する人も作る人も演じる人も全員の勇気がすごすぎる。
逆に、こんなに面白いものを作る方法がわかっているのに、やろうと思えば実行できる方程式みたいなものがきっとすでに発見されているのに、どうして世の中には面白くないものも生まれてきてしまうんだろうね?という素朴な疑問も生まれてしまったな。難しいものですね。おもしろというものは。
今日はここまで。ありがとうございました。