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オープンキャンパス「国際日本学科」体験授業レポート。「無意識に持つ『言葉』への直感」
9月17日(日)、関西外国語大学・中宮キャンパスにおいて、2023年度第6回のオープンキャンパスが開催されました。
この記事では、国際日本学科の体験授業の様子を詳しくご紹介します!
国際日本学科の体験授業
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模擬授業の講師を務めたのは、国際日本学科で、英語学の分野を担当する予定の山口真史准教授。
山口先生の研究内容などの詳細については、以下の記事をご参照ください。
今回のテーマは「無意識に持つ『言葉』への直感」です。
言語とは? 人間が話す言葉の何がすごいのか?
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授業の最初に、人間が話す言語(=言葉)の特徴について触れられました。
例えば、いろいろな動物が「鳴き声」などでコミュニケーションを取りますが、すべてがその時・その場に限られます。
≪ 例 ≫
トリの鳴き声 ⇒ 求愛
サルの鳴き声 ⇒ 天敵が来た!
一方で、人間だけが複雑な事柄を表すことができる言葉を使うことができます。
人間が話す言語=言葉の特徴について
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それでは、人間が話す言語(=言葉)には、どのような特徴があるのでしょうか。
例えば、
過去のことや、遠い未来のことを表すことができる
遠く離れた場所にも情報を伝えることができる
といったこともできます。
また、人間の赤ちゃんは言語に触れることで言葉を話すことができるようになります(第二言語を学ぶ時のように、特別な勉強をしなくても言葉が話せる)。
その他、「同じ言語のネイティブスピーカーは、同じ文法能力を持っている」といったことなども、人間が話す言語=言葉の特徴として解説されました。
イヌという発音に「四足歩行」という意味はない!?
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日本語の「イヌ」という単語を聞いたら、当然ですが動物のイヌをイメージするでしょう。
ただ、イヌという単語の意味と発音には論理的な関係はありません。もう少し具体的にいうと、イヌという単語の発音に「四足歩行」「耳がある」「面長な動物」といった意味はなく、そこに論理的なつながりはないというとこです。
(日本語以外のdog、Hund、chien、cane、perroの各単語でも同じ)
ただ、一部の音声には、意味と因果関係があると考えられる場合があり、それを音象徴(sound symbolism)といいます。
「ゴジラ」が「コシラ」ではダメな理由
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体験授業では、音象徴(sound symbolism)の事例がいくつか紹介され、例えば誰もが知っている「ゴジラ」という怪獣の固有名詞について。
ゴジラの名前の由来は「ゴリラ」と「クジラ」をあわせたものですが、
ゴリラ+クジラなら、「クリラ」でもいいのでは?
「ゴジラ」ではなく、「コシラ」だとどういった印象?
といった疑問が参加者のみなさんに投げかけられました。
結論から言うと、濁音(有性阻害音)には、「大きい」「力強い」というイメージがあり、巨大怪獣のゴジラは「コシラ」でも「クリラ」でもなく、やはり「ゴジラ」でないといけないというわけです。
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また、ゴジラに続いてポケモンの名前における濁音・モラ(=日本語の音の単位)と体重・体長の関係についても触れられました。
ことりポケモンのポッポの場合、
・ポッポ 1.8kg 0.3m
・ピジョン 30.0kg 1.1m
・ピジョット 39.5kg 1.5m
というように、濁音が入り、名前が長くなるほど強くなります。こうした音象徴は誰に教わったわけでもなく我々が自然と身につけたもので、例えば、
「a/ア」の発音をするときには口を大きく開く
「i/イ」の発音のときは口をほとんど開かない
ということから、a音が入る単語とi音がある単語を比べると、前者の方が大きく感じる(大きなものをイメージする)人の方が多いということが研究でも立証されています。
(発音時の口の大きさと、「大きい」「小さい」というイメージが関連している)
助詞「に」と「で」の使い分けについて
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今回のテーマである「無意識に持つ『言葉』への直感」に関連して、日本語の助詞の使い分けについても言及されました。
例文として挙げられたのが、以下の2つの文章です。
1. John was in his room.
ジョンは自分の部屋にいた。
2. John watched TV in his room.
ジョンは自分の部屋でテレビを見た。
上の①と②の文章を見ると、英語では2つとも場所を表す前置詞「in」が使われていますが、日本語の場合、「部屋に」「部屋で」と助詞が違います。
では、なぜそのような違いが出てくるのでしょうか?
体験授業でも参加者に同じ質問が投げかけられましたが、いざ日本の助詞「に」「で」の違いを訊ねられると、うまく解説できない人が少なくありませんでした。
答えをいうと、
「に」 ⇒ 「状態・存在」を表す場合に用いられる。
「で」 ⇒ 「出来事」が起こっている場所を表す場合に用いられる。
ということで、日本語母語話者は、無意識にこれらの助詞を使い分けているということが説明され、一方で外国人などに日本語を教える際には、こうした「無意識に使っている言葉」をいかに論理的に説明できるかが大切、ということが講義されました。
参加者のコメント
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専門的なことばかりではなく、身近なことや流行りを上手く話題に取り入れ、英語や日本語の話と結びつけて教えてくれているのに感銘を受けました。
普段何気なく使っている日本語の奥深さを知ることができ、より日本語を学びたいという意欲が湧きました。
面白かったです。普段何も考えずに話している日本語を解説していくと難しくて、「よく今まで日本語を話せてたな」と思いました(笑)。
面白かったです!言語に興味がとても湧きました!(^-^)
日本文化も英語にも興味があるのでどちらもたくさん学んで活かして行きたいです。
日本語教師になるという夢があり、日本語について考え直すきっかけになって、すごく興味深かったです。ありがとうございました。
来年(2024年)から新しく開かれる学科なので、どういうことが学べるのかあまり分からっていませんでしたが、今日の体験授業を受けてとても面白かった。ここに通えるよう頑張ります!
改めて考えてみると、日本語って難しいなと思いました。めちゃ面白かったです! 新学科で英語と日本文化などについて学び、日本の魅力を世界に発信したいです!
言語一つにしても無意識に使っていて、深く知らないことがまだまだ沢山あると感じました。また、体験授業に出てきた「助詞の違い」は、私がアメリカ留学をしていた際にホストシスターに聞かれたことでもあったので、すごく興味深ったです。
面白かった。また受けてみたいです!
さいごに
次回、オープンキャンパスは、2023年12月16日(土)、中宮キャンパスで行います。
詳細は確定次第、以下のページでお知らせいたしますので、チェックしてみてください。
国際日本学科の体験授業も開催される予定で、次回、どんな中身になるか、お楽しみにしておいてください!
【国際日本学科・特設サイト】
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