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心と体の新型の疲れ

「疲れ」は、痛み、発熱と並ぶ、三大生体アラームといわれています。全身だるい、体を動かすのもしんどい、日中眠くてたまらない、といった疲れの症状は体が発するSOSのサインの一つです。

痛みや発熱などに比べると、疲れは、気づきにくい面があるのも特徴です。激しいスポーツ後や育児、介護、ハードワーク、残業続き、など身体面、精神面とも酷使するような状況のときには、エネルギーを消耗し、疲れをはっきりと自覚する人が多くなります。

コロナ禍で急速に普及したリモートワークを中心とする生活や働き方は、疲れの要因や疲れ方もこれまでとは変わってきており、ますます疲れを自覚しにくくなっていると考えられます。新型の疲れの主な要因として、次の2つが挙げられます。

1.体を動かす機会が減った、身体的なストレス
2.リアルなコミュニケーションが減った、精神的なストレス

体を十分に動かさないということも身体的なストレスとなり、疲れを蓄積する要因になります。

特にデスクワークなどで長時間座りっぱなしの状態は要注意です。腰痛の原因になったり、エネルギーの消費量が減り太りやすくなったりするなどのリスクもあります。さらに1日の座位の合計時間が長いほど、がんで死亡するリスクが高まるという米国の研究結果も報告されています。

飲み会に参加しなくてよくなった、付き合いたくない人と無理に会わなくてもよくなった、など、従来の精神的なストレスが軽減される面もありますが、親しい人とリアルなコミュニケーションが少なくなったことにより新たな精神的ストレスも生じました。こうした要因による心身の疲れは、強い疲労感はないけれど、なんとなくスッキリしない、という状態になりました。

【1時間に一度は立ち上がる】

体を動かす機会が減った、身体的なストレス、を解消するためには、長時間座りっぱなしを回避することが大切です。仕事の合間に1時間に一度くらい立ち上がって背伸びをしたり、屈伸をしたりするだけでも違います。

外出時に階段を積極的に使うようにするなど、日常での活動量を増やすのも効果的です。

さらに週に1回程度は汗を流すくらいの運動を行うと理想的です。定期的な運動を習慣にすると心臓のポンプ機能が強化され、血流が改善されると、仕事や家事などによる日常的な疲れもたまりにくくなる効果が期待できます。

目にも休息を与えましょう。パソコンのモニターやスマートフォンの画面などを長時間見続けていると、目のピントを調整する働きをもつ毛様体筋が凝り固まり、眼精疲労を引き起こす要因となります。頭痛や肩こりなどの要因にもなります。

米国眼科学会では職場での眼精疲労を防ぐ人間工学に基づくヒントの一つとして「20-20-20ルール」を提唱しています。20分ごとに休憩、20フィート(約6メートル)離れたものを20秒間見るというものです。

【オン&オフのメリハリ】

リアルなコミュニケーションが減った、精神的なストレス、外に出て、人と話す機会を設けましょう。

予定がなく、仕事の時間の区切りがはっきりしない状態が続くと、気持ちの安らぐ時間が減る可能性があります。いつの間にか精神的なストレスとなり、心の疲れになる可能性があります。自分の時間を確保して、好きなことをする時間をもちましょう。

【疲れを防ぐ基本は生活のリズム】

疲れをためこまないために、重要なポイントが、生活のリズムを保つです。

・毎日決まった時間に起きる
・リモートワークの日でも、きちんと着替えて身だしなみを整える
・出勤しない日も仕事を始める前に、買い物に行ったり、近所を散歩したりするなど、外に出て光を浴びて体を動かす
・食事をできるだけ毎日決まった時間にとる
・就寝1時間前はスマートフォンやパソコンを使わない

【疲れにはこんな方法も 当院の場合】

からだが回復すると心も回復する、の方針から、まずはからだの改善をめざします。特に顕著に現れるのが、首、肩まわりの緊張。ところが首、肩まわりの不調はからだのあちこちからの複合的な原因が積み重なっています。座ることが多い現代人はお尻まわりと、血の巡りの滞りからふくらはぎに負荷がかかっていることが多くみられます。からだに圧をかけたり、お灸で温めたり、鍼で小さな刺激をいれて、治療をすすめていきます。

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