映画は感情が咲く花瓶
映画の感想を書き残す場所として始めたこのnote。
でも、書きたいのに書けなくて。
うーん、感想を押し付けているような書き方になってしまう。芸術の受け取り方は千差万別。「こう思えないとだめ」なんて存在しないから、キャッチャーじゃなくて、あくまでピッチャーの立ち位置である必要がある。
なぜかって手持ちの語彙が足りないんだ。「面白い」「すごい」「感動した」これじゃあ足りないとわかっていながら、じゃあなんだ?がわからなくて。
私が高校生のとき、周りに空前の「映画ブーム」が到来していた。
でもそんな周りを他所に私は、「ガリ勉女」だった。だから、「映画なんて2時間の無駄じゃね?」と思っていた。という建前で、本音は2時間集中できなかった。
そのまま大学生になって、2年目、嫌でも映画を観ることになった。これがきっかけになった。
入ったゼミで「英語に慣れるためには会話を聞くことが大切!1か月に4本、洋画を観なさい」と毎月課題が出された。
どうしたものか。
でも、不思議なことにどうやら私の気持ちは見たい、見たくないよりも、何を観ようか。という方向に気持ちは向いていた。
よく覚えている。一本目は「プラダを着た悪魔」を選んだ。皆さんは見たことがありますか。
友人からおすすめされたので観た。あっというまの2時間だった。
このとき、映画の内容よりもNYの街並み、雰囲気にやられた。
観た後に赤いヒールを思わず買ってしまった。
二本目はたしか、「キャロル」だったと思う。
「映画を考えるうえで、女優や俳優はその作品のキャラクターでしかない。どんな賞を取っていても演技の評価はまた別の話。」とおっしゃっていた評論家の方がいて、確かにその通りだと思う。けど、この作品においては”女性”と”少女”という境界線がくっきりしたキャストだったことはなによりこの映画で大事なことだったんじゃないかなと思う。
こうして本数が増えていき、次第に映画が好きになってきた。きめての作品…に行く前になにが好きなのかについて少し。
もちろん内容もそうだけど、特にその影響力に惹きつけられるんだと思う。
初めて「好き!」と思った映画を見たあと外に出たとき、その足取りはびっくりするほど軽くて、まるで私も映画の一人に思えてくる。(ごめんなさい)オーシャンズ8観た日の帰りも、自分のものとは思えない堂々とした足取りで「私、カッコいい女」かと勘違いする。
最初、こんな感情にさせられることに動揺した。
でもそれで救われることがある。
例えば、バイト先の店長からめっちゃ怒られた日。
大寝坊をかました日。
反省してもしきれないどうしようもないときとか。ネガティブな感情を、映画がひっくり返してくれちゃう。荒々しく引っ張られる感情に振り回されるのは返って救いになる。
もうひとつ。映画をみたとき、その作品に思い出が添付されるところが好き。いつ誰と、どんな気持ちだったか思い出せる。(前にも書いたかも)
私は「そわそわどきどき映画デート」を経験したことがないから甘酸っぱい思い出は無いけれど、デートで観た作品は思い出にすごく残っていると思う。
デートは無いけど思い出は私にもある。ある日バイト中に同じシフトだった人に「この映画面白そうですよね」と話したら「じゃあ今日見に行こう」ということになった。残念ながらその人と二人ではなくて他の人にも声をかけて結局三人で見にいった。それが『ブリジットジョーンズの日記』
内容とはまた別にそのときの状況が思い出される。楽しかったなあ。
お待たせしました。
私が映画が好きになった極めつけは『Before Sunrise』
ビフォアシリーズの最初の作品。たった一日の美しくてはかない話。
この作品の中に大好きな台詞がたーくさんある。ひとつひとつがじんわりする。特にこの台詞に付箋を貼りたい。
"別れで一番つらいことは、相手を思う心が足りなかったと悔やむこと。でも相手は自分を思ってないこと。別れを悲しむどころか、これでサッパリしたと思ってる。
You know what's the worst thing about somebody breaking up with you? It's when you remember how little you thought about the people you broke up with, and you realize that is how little they're thinking about you. You'd like to think you're both in all this pain, but really they're just, "I'm glad you're gone".
残酷かもしれないけどこれは本質だとも思う。それを理解しながら出会いと別れに一喜一憂するんだ。二作品目も最高なのだけれど…それはまたいつか。
「この映画をみていないのに映画好きなんていえない」みたいな話を聞いたりするけれど、私は決してそんなことないと言いたい。
私だってハリーポッターは1作目しか見てないし、マーベルもまちまちだから他の作品のネタがでてきてもポカンとしてる。
でも映画が好きです。読んでくれてありがとう。
紹介した映画別に見なくてもいい。
映画は別に人生に必ず必要なものじゃないから、寄り道。
けど思わぬ花に出会うかも。